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The Young Rascals – Groovin' (1967)

 The Rascalsの功績として良く知られているのは、アトランティック・レーベルと契約した初めての白人によるロック・バンドだった(意外かもしれないが、当時これはすごいことだったのだ)ことや、いわゆるAORの源流として位置していることである。それもすべて、彼らが真に迫ったソウルを歌うことが出来たからにほかならないのだが、1967年の傑作『Groovin'』は、単なるブラック・ミュージックにとどまらない、幅広く繊細なジャンルのブレンドによって構成されている。
 収録曲は多くがFelix CavaliereかEddie Brigatiのオリジナルである。まばゆいばかりのバブルガム・ポップにソウルフルな歌が響く「A Girl Like You」、そのあとに続く「Find Somebody」は、なんとも実験的なギター・ロックだ。Gene Cornishも「I Don't Love You Anymore」という忘れがたい名曲を生んでいる。
 Vanilla Fudgeのように重厚なハード・サイケ「You Better Run」や、ラテン・ナンバーの「Sueño」、Hubert Lawsがフルートで参加した「It's Love」など、聴きどころを挙げればキリがないが、やはり白眉は大ヒット・シングルとなった「Groovin'」と「How Can I Be Sure」だ。初期の強力なR&Bに惚れ込んでいたアトランティックのJerry Wexlerは「Groovin'」のシングル・カットを渋ったというが、結果的に全米一位を獲得したこの曲は、The Rascalsの新境地を見事に証明してみせたのである。