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Carlos Santana & Buddy Miles – Live! (1972)

 Buddy MilesはThe Electric Flagでブルースを生まれ変わらせ、Band Of Gypsysではサイケの旗手だったJimi Hendrixをファンク・ロッカーへと変貌させた。ロック界最高のドラマーとなった彼と、ラテン・ロックの地平を切り開いたCarlos Santanaが繰り広げるライブには、息もできないような力強さが満ちていた。ウッドストックにおけるSantanaのデビュー・ライブも十分にセンセーショナルなものだったが、本作の壮絶なサウンドはそれ以上の衝撃がある。
 演者も豪華で、JourneyのギタリストNeal Schonの最初期の作品でもある。また、Gerald Wilsonの門下生であるHadley Calimanがリードを演奏しているが、このブラス隊とMilesのドラムは最高に相性がいい。名曲「Them Changes」はBand Of GypsysよりもBuddyのソロ版に近く、A面のハイライトとして位置付けられている。「Evil Ways」に至っては初期の色っぽかったムードは脱色され、力強いコーラスによるゴスペル色の強いアレンジとなった。B面を埋め尽くす「Free Form Funkafide Filth」は、後にSantanaが傾倒するラテン系フュージョンを感じさせる25分間のジャムだ。
 スーパースターの競演が生むエネルギーが、ここまで純粋な熱気に変わることは意外に少ない。音楽の革新性という意味では、Santanaの初期のスタジオ・アルバムには及ばないかもしれないが、ロックの熱をこれほどまでに放つアルバムはなかなか出会えるものではない。