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Dr. Feelgood – Stupidity (1976)

 イングランドのエセックス出身であるDr. Feelgoodの黄金期とも呼べる時代、つまり偏執狂的なパフォーマンスで知られるWilko Johnson在籍時のライブアルバムである。本作は、いちパブロックバンドの作品としては驚異的なセールスを記録し、現在まで聴き継がれる名作として位置づけられている。
 セットリストには、オリジナルはもちろんR&Bの重要曲がならぶ。Rufus Thomasの「Walking The Dog」やSolomon Burkeの「Stupidity」はソリッドなリズム隊にJohnson特有のリズミカルなギターが乗り、全く新しいグルーブが生まれている。「She Does It Right」の強烈なリフと、マシンガンのように細かく刻んだギターソロは後のガレージロックへと大きな影響を与えた。
 Mick Greenの薫陶を受けたフィンガースタイル奏法のJohnsonは、ソロを弾く際にも非常にパーカッシブなのだが、「Back In The Night」ではひと際独特なスライドを披露しており、「Twenty Yards Behind」ではやや投げやりな歌も聴ける。Brilleauxは個性的で優れたシンガーであるが、ハーププレイヤーとしてさらに評価されるべき男でもあるだろう。「Going Back Home」で披露される彼のブロウは力強くラフだが、一分の隙もない。
 本作にはパブロックにおける間違いなく最高のパフォーマンスが収められている。しかし、さらに吸収すべきものがあるとすれば、Johnson時代のライブをDVDで確かめてみることだ。Brilleauxの眼光、カラクリ人形のような挙動のJohnsonと卑猥なメタファーに満ちたパフォーマンスの真価は、やはり映像で味わい尽くしたいところだ。