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Johnny Burnette And The Rock 'N Roll Trio (1956)

 名曲「Dreamin'」のヒットでポップ歌手の仲間入りをする以前、メンフィスの生まれのJohnny Burnetteの初期のキャリアには、とかくElvis Presleyを追従するイメージがついてまわっていた。かつては、Presleyの高校の後輩であり、さらにはバイト先の会社までも同じだったなどという話がまことしやかに囁かれたものだ。
 ひとえに重要なのはBurnetteがPresleyにリスペクトを寄せていたこと、そして確かなのはベーシストの兄Dorsey BurnetteやPaul Burlisonとともに結成したトリオが、デビューに際して当時Presleyの在籍したサン・レコード・カンパニーのドアを叩いたことである。結局のところ、オーディションは不合格(皮肉にもその理由はPresleyに似すぎているというものだった)となったものの、1956年のデビュー作にはPresleyとも一味異なるヘヴィな雰囲気がただよっているのは興味深いところだ。
 「Honey Hush」や「The Train Kept A-Rollin'」におけるBurlisonのファズ・ギターのリフはトリオの最大の魅力のひとつで、特に後者は後のThe Yardbirds版(曲調自体は「Honey Hush」の方が似ているかもしれない)のハードなサウンドを10年近くも先取りしている。その一方で「Lonesome Train (On A Lonesome Track)」ではカントリーを、「Rock Billy Boogie」はブギーをそれぞれストレートに演奏する。彼らの音楽的ルーツであるカントリーの風合いは、女性コーラスをフィーチャーした「I Love You So」などに顕著だ。実に陽気で親しみのあるナンバーである。ロカビリーの永遠の名作「Lonesome Tears In My Eyes」、けたたましいシャウトが魅力の「All By Myself」は、Burnetteのボーカルとしての才覚が際立っている。