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James Brown – Sho Is Funky Down Here (1971)

 ファンキー・ミュージックの歴史において常に頂点に君臨していたJames Brownだが、彼のキング時代最後のアルバム『Sho Is Funky Down Here』の存在は膨大なディスコグラフィの中でいとも簡単に忘れ去られている。バンド再編の過渡期に録音され、古株のMaceo Parkerも新人のWilliam "Bootsy" Collinsもメンバーに参加しておらず、同時にSly StoneやEddie Hazelら後進アーティストの影響を如実にうかがわせるサイケデリック・ファンクを展開した異色作だ。
 スタジオにはMary Ellen Bellを除いたThe Grodeck Whipperjennyのメンバーが入り、セッションは特にKenny Pooleのファズ・ギターが強烈な存在感を発揮した。The Grodeck Whipperjennyはオルガン奏者Dave Matthewsを中心にした白人のアシッド・ファンク・グループで、唯一のアルバムをBrownの関連レーベルから70年に発表している。タイトル・トラックの「Sho Is Funky Down Here」や「Can Mind」では実際にBrownもハープシコードで参加し、なんとも頽廃的なメロディを奏でてる。
 大所帯に拡大していった後のPファンクとは異なり、ホーンレスという最小限のバンド形態で繰り広げられる演奏だが、完璧主義なBrownの統率の下で各々の個性が見事にぶつかり合う。メンバーはポリドール以降のBrown作品にも携わっていくことになり、特にMatthewsは『Get On The Good Foot』などでアレンジャーとして深く貢献している。