Bob Margolin – Chicago Blues (1991)
Muddy WatersはかつてJohnny Winterを〈俺の義理の息子〉とさえ呼んだ。しかし、ブルースファンならば70年代中期から長きにわたってWatersを支えた名ギタリストBob Margolinの貢献も忘れてはならない。
Margolinのキャリアは意外にもThe Freeborneのギタリストとして、60年代中期のボストンから始まっている。サイケデリックの典型だったサウンドの渦の中には、彼のブルースマンとしての持ち味はかすかに感じられるのみであった。Muddy Waters Blues Bandの中では大いに存在感を発し、Waters亡き後はアリゲーターやブラインド・ピッグといった名門レーベルを渡り歩いていくことになる。
職人気質であった彼のもとには多くの素晴らしいサイドマンが集まった。彼の異名にもなった「Steady Rollin' Man」はKim Wilsonのハープと並び立つようにしてギターを奏でている。ファンなら思わず唸ってしまう「Rollin' And Tumblin'」のベースレスの構成は、まさに昔を懐かしんでいるようだ。「Dust My Broom」では一転してMark KazanoffのけたたましいサックスとPinetop Perkinsのピアノが加わり、Margolinのスライドはこれ以上なく炸裂している。意外にもボーカルのハマり具合が素晴らしい「Tribute To Howlin' Wolf」のメドレーも昔ならば考えられなかったチョイスだろう。
『Chicago Blues』のセッションは、かつてスターを支えたサイドマンたちの同窓会のような様相を呈している。往年の名曲が素晴らしいのはもちろんだが、オリジナルである「Born In The Wrong Time」や「She And The Devil」のアコースティック版も聴き逃すわけはにいかない。