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Rare Earth – Ecology (1970)

 デトロイトの至宝Rare Earthは、もともとはThe Sunlinersという名前で1960年代の初頭から活動していた歴史のあるグループで、R&Bの名門モータウンが新たにロックのマーケットを開拓するために立ち上げた新レーベルの契約第一号となった。彼らがどれだけ会社の肝煎りであったかは、レーベルの名前がそのまま〈レアアース〉と付けられたことからもうかがうことができる。
 驚きに値するのは、彼らのヒットさせた「Get Ready」や「(I Know) I'm Losing You」といったシングルが、アルバムではいずれもきわめて長尺な大曲であるということだ。本作に収録された後者は、モータウンの先輩にあたるThe Temptationsの名曲を徹底的に生まれ変わらせている。John Parrishのうねるベース・ラインとRod Richardsのファンキーなギターがさく裂しためりはりのあるナンバーで、レアアース・レーベルの目論見であるヘヴィなサイケ・ロックを見事に体現した、という点でも重要な一曲だ。
 The Beatlesの「Eleanor Rigby」も、換骨奪胎ぶりではVanilla Fudgeのバージョンにも負けてはおらず、Gil Bridgesのフルートが印象的な「Born To Wander」は、重厚なジャズ・ファンク好きに強く訴えかけるサウンドだ。Richardsのロック・ギターが圧倒する「Satisfaction Guaranteed」、Parrishによるオリジナル「Nice Place To Visit」のハードなリフもあるが、アルバム全体の雰囲気を損ねることはない。プロデュースのNorman Whitfieldや、作曲の大部分を手掛けたTom Bairdの手腕もまた見事だ。