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Elliott Randall – Randall's Island (1970)

 セッション・ミュージシャンによるいぶし銀の魅力は、多くの音楽ファンを惹きつけてやまない。とりわけ、後にSteely Danの輝かしい名作に携わることになるギタリストElliott Randallによるファースト・アルバム『Randall's Island』は、そういった作品の中でも特に尊敬を集める傑出した出来ばえだ。
 サックスで参加しているPaul Fleisherは、かつてRandellとクラブを共に渡り歩いた旧知の仲だ。Randellのサイケデリックなファズ・ギターと、Fleisherの重量感のあるブロウが響く「Sour Flower」は、ジャズ・プログレ的な雰囲気をたたえているが、続く「Life In Botanical Gardens (Oh, Yes)」はAORのように爽やかなボーカル曲である。アルバム全体としてはインスト曲と歌モノを巧みに配合しており、まさにミュージシャンズ・ミュージシャンらしい仕上がりだ。またキーボードで印象深いプレイを聴かせているのは、NRBQのオリジナル・メンバーとして知られるTerry Adamsだ。
 ホーンをフルートに持ち替えたFleisherが美しいメロディを紡ぎだす「All I Am's」は、ストリングスのアレンジも相まって神々しい讃美歌のようだが、対してRandallのギターは非常にブルージーだ。Led ZeppelinのギタリストJimmy PageはRandallの優れたギター・テクニックを激賞し、そのエピソードは彼の伝説性に拍車をかけた。
 後に自身が率いるバンドの名前にもなったこの記念碑的なアルバムは、ジャズ、ブルース、ファンクといったあらゆる音楽ジャンルを吸収した名盤だ。万人が息をのんで聴きいってしまう彼の実力がレコードのそこかしこに散りばめられている。