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Big Bill Broonzy, Sonny Terry & Brownie McGhee – Blues (1959)

 オーラル・ヒストリーの大家であるアメリカの作家Studs Terkelは、音楽の世界でも様々な功績を残した。シカゴのラジオ局のパーソナリティーとして、Bob Dylanをはじめ様々なミュージシャンと交流し、また1956年に出版された名著『ジャズの巨人たち(原題:Giants Of Jazz)』の平易な語り口は、ジャズの偉人の素顔をこれ以上なくリアルに後世へ伝えてくれる。
 『Blues With Big Bill Broonzy, Sonny Terry And Brownie McGhee』は、そんなTerkelのラジオ番組のような構成で、カントリー・ブルースの巨人を迎えた一大音楽ドキュメンタリーである。司会のTurkelは〈What Are The Blues?〉という核心からインタビューを始めた。3人のブルースマンはそれぞれの音楽体験、スピリチュアル、そして女の事…ブルースには欠かせない様々なファクターについて非常に和やかな雰囲気で語っており、その穏やかな会話の空気に乗せて次々とブルースを実演してくれる。時にBroonzyは〈Blues is a steal from spirituals.〉と言い放ち、あるいはMcGheeが〈I've never had the blues.(中略)Blues had me. 〉と断言するなど、興味深いブルース哲学を垣間見ることができる。
 問答無用の名曲「Key To The Highway」をはじめとして、「The Blues」など、Broonzy、Terry、McGheeが一堂に会して行う貴重なセッションは非常に素晴らしい録音の宝庫といえる。ラストの「When The Saints Go Marching In」の合唱はブルース・ファンにはまさに感涙モノだ!
 XTRAレーベルから出されたイギリス盤では収録曲や順番などが変更された。諸事情によりフォークウェイズ盤では短縮されている「Key To The Highway」の完全なイントロや、「Blues Improvisation」などはこちらの再発盤で聴くことができる。