見出し画像

Lindisfarne – Fog On The Tyne (1971)

 タイン橋はロック・バンドLindisfarneの名前の由来となったホーリー・アイランドから、南に数十キロ下ったニューカッスルを流れるタイン川にかかっている。フォークとカントリーをブレンドしたのどかなサウンドにどこか陰りを漂わせた彼らの音楽は、霧にけぶ●●るこの街の情景にピッタリだ。
 74年にJack The Ladとして分裂する以前の、第一期Lindisfarneによる傑作『Fog On The Tyne』は、Alan HullはもちろんSimon CoweやRod Clementsら各メンバーのソング・ライティングが最大限に開花したアルバムとして大ヒットを果たした。器用なプレーヤーでもあるHullが印象的なピアノを聴かせる「Meet Me On The Corner」は夜のパブで聴くには格好の名曲で、シングルとしても5位にランクインしている。Raymond Jacksonがリード・ボーカルとハーモニカを執った「Uncle Sam」や粘っこいブルース「Train In G Major」などは特にアメリカっぽいテイストが強く、ほかのヒット曲に負けない存在感がある。
 Hullが生んだもう一つの名曲「Fog On The Tyne」は、90年のサッカー・ワールド・カップのノベルティ・ソングとして後にアレンジされている。イングランド代表Paul "Gazza" Gascoigne(彼はタイン川の近くのゲーツヘッドの出身だった)の歌をフィーチャーし、さらにサウンドは現代風のダンス・チューンとして大きく生まれ変わって話題となった。
 サード・アルバム『Dingly Dell』の発表後にメンバーは一旦枝分かれするが、70年代の後半に再びアルバムを発表する。再結成後のアルバムも『Back And Fourth』をはじめ名盤ぞろいで、彼らの絆が変わらず深いものであることを証明している。