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#ロードバイク

ツール・ド・フランスを舞台に事件が起きる「スティグマータ」

プロが競い合う自転車ロードレースにも様々な種類があるが,とりわけ有名なのがグランツールだ.2週間以上にわたってレースが繰り広げられ,その走行距離は3000kmにも及ぶ.ツール・ド・フランス,ジロ・デ・イタリア,ブエルタ・ア・エスパーニャの3つがグランツールと呼ばれる.自転車選手の憧れの舞台でもある. グランツールの中でも特に有名なのがツール・ド・フランスだろう.「スティグマータ」は,そのツール・ド・フランスを舞台にした小説である. 近藤史恵,「スティグマータ」,新潮文庫,

大学自転車部の話「キアズマ」

自転車ロードレースに出たことも出るつもりもないのだけれど,ロードバイクでのサイクリングが大好きで,ツール・ド・フランスやパリ〜ルーベのようなレースを見たりもするので,「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」に続いて,この「キアズマ」も読んでみた. 近藤史恵,「キアズマ」,新潮文庫,2016 これまでの「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」はプロチームの選手達の話だったけれども,「キアズマ」は大学の自転車部が舞台だ.続編というわけではなく,独立した話になっている.

ロードレース短編集「サヴァイヴ」

自転車ロードレースを舞台にしたミステリー「サクリファイス」に登場するプロ選手達が見ている世界.チーム競技でありながらも,注目され,記録に残るのは勝利したエースのみ.その他の選手はエースを勝たせるための捨て駒に徹する.そんなアシストたちの視点から描かれている短編集だ. 近藤史恵,「サヴァイヴ」,新潮文庫,2014 高速走行する自転車レースに事故はつきもので,いつ選手生命が絶たれるかもしれないという恐怖に向き合いながら走り続けるプロ選手.エースの座から引き摺り下ろされるかもし

「エデン」ツールドフランスの表彰台

「サクリファイス」を一気に読み終えた翌日,続編の「エデン」を一気に読んだ.世界最高峰の自転車ロードレス「ツール・ド・フランス」が舞台だ.アシストとしての能力を評価され,日本からスペインのプロチームへ,さらにフランスのプロチームへと移った主人公の活躍が描かれる. 近藤史恵,「エデン」,新潮文庫,2012 しかし,それだけで終わるはずがない. 栄光のマイヨジョーヌ(チャンピオンジャージ)に袖を通すために,いや,エースにマイヨジョーヌを着せるために奮闘する選手たち.それに報い

「サクリファイス」そこまでするのか(絶句)

普段,小説を読むことは滅多にないのだけれど,某所で紹介されていて面白そうなので読んでみた. カバーを見ての通り,自転車ロードレースを題材にした小説だ.漫画&アニメ「弱虫ペダル」はロードレースに縁のなかった人達がロードバイクに興味を持つきっかけを作って話題になった.そんな感じの青春小説かなと思い,読み始めた.しかし,とんでもなく壮絶だった 近藤史恵,「サクリファイス」,新潮文庫,2010 自転車ロードレースはチーム競技だ.エースを勝たせるために,その他のメンバーは捨て駒に