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本の紹介・読書の記録

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2022年11月の記事一覧

「量子力学で生命の謎を解く」で量子生物学の面白さに触れる

原子のスープから生命体が誕生するのは,廃材置き場の上を竜巻が通過した後にボーイング747ジェット機が出来上がっているのと同じような確率である.そう言ったのは,ビック・バンの名付け親である天文学者フレッド・ホイル博士だ.そのような状況だから,原子スープ説にはいまいち説得力がない.しかし,その確率計算は古典的な力学(ニュートン力学と熱力学)に支配された世界を仮定している.もし,量子の効果が生命誕生にかかわっているとしたら,状況は一変するかもしれない.もっと容易に生命が誕生するかも

脱炭素ビジネスで世界経済を動かす「グリーン・ジャイアント」が日本には存在しない

自分がカーボンニュートラル(CN)の勉強を始めたばかりの素人なので,内容を評価はできるわけではないのだが,よくまとまっていて読みやすい.この界隈の勉強をしようと思っている人が最初に読むには良い本だと思う. エネルギー業界において,20世紀は石油メジャーが世界経済を牛耳っていた.その代表格がエクソン・モービルだが,アメリカの地方電力会社であるネクステラ・エナジーがエクソン・モービルの時価総額を抜くという事態が起こった.2020年10月のことだ.ただの地方電力会社にすぎなかった

「カーボンニュートラル・プラットフォーマー」を読んで日本のCN戦略について考える

日本総合研究所の瀧口さんから名刺代わりに手渡しで本書「カーボンニュートラルプラットフォーマー」をいただいた.私自身,これまで環境やCNを主眼とする研究に取り組んできたわけではないし(研究成果に付随してCO2削減が達成されることはある),特に気にかけてきたわけでもない.ホテルの歯ブラシや髭剃りをなるべく使わないようにして,使ったら持ち帰って何度か使うようにするくらいだ. そんな私が恐らく初めて「カーボンニュートラル」についての本を読んだわけだが,まず,著者の熱い想いが伝わって