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本の紹介・読書の記録

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2021年3月の記事一覧

「エデン」ツールドフランスの表彰台

「サクリファイス」を一気に読み終えた翌日,続編の「エデン」を一気に読んだ.世界最高峰の自転車ロードレス「ツール・ド・フランス」が舞台だ.アシストとしての能力を評価され,日本からスペインのプロチームへ,さらにフランスのプロチームへと移った主人公の活躍が描かれる. 近藤史恵,「エデン」,新潮文庫,2012 しかし,それだけで終わるはずがない. 栄光のマイヨジョーヌ(チャンピオンジャージ)に袖を通すために,いや,エースにマイヨジョーヌを着せるために奮闘する選手たち.それに報い

「サクリファイス」そこまでするのか(絶句)

普段,小説を読むことは滅多にないのだけれど,某所で紹介されていて面白そうなので読んでみた. カバーを見ての通り,自転車ロードレースを題材にした小説だ.漫画&アニメ「弱虫ペダル」はロードレースに縁のなかった人達がロードバイクに興味を持つきっかけを作って話題になった.そんな感じの青春小説かなと思い,読み始めた.しかし,とんでもなく壮絶だった 近藤史恵,「サクリファイス」,新潮文庫,2010 自転車ロードレースはチーム競技だ.エースを勝たせるために,その他のメンバーは捨て駒に

「砂と人類」のあまり注目されない関係が興味深い

限りある資源と言えば,石油やレアメタルなどが思い浮かぶが,まったく注目されていない「砂」の争奪戦が熾烈を極めつつある.これまで意識してこなかったものに注意を向けてくれる本を読むのはとても面白い.「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド)や「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)などもそうだ. ヴィンス バイザー 「砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか」 草思社,2020 道ばたに掃いて捨てるほどある,どうでも良さそうな「砂」を,誰がどうして欲しがるのか.一体