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本の紹介・読書の記録

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2020年7月の記事一覧

動ける柔軟な體(からだ)を取り戻した話

幸せであるために,誰もが健康であることを願う.ただ,健康とはどのような状態であるかについて,きちんと考えておく必要がある.病気を患っていないことは大切だろうけれども,それだけでは十分でないように思える.身体だけではなく,心身共に健康であることが必要だろう.そのような観点から,身体に栄養を与えるための食事は忘れないくせに,心に栄養を与えることには無頓着な人が多いという批判もなされる.だから読書せよ,ということも言われる. ショーペンハウアーは「幸福について―人生論」の中で「健

ハーバードの次はスタンフォードの講義「20歳のときに知っておきたかったこと」

非常に示唆に富む本だ.本書「20歳のときに知っておきたかったこと」を際立たせているのは,これがスタンフォード大学で起業家精神について教える集中講義の様子を伝えていることだろう.多くの自己啓発本のように,自分のためだけに読むこともできるが,教育に活かすこともできる.冒頭には,次のように書かれている. わたしは,スタンフォード大学の工学部に属するSTVP(スタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラム)の責任者を10年にわたって務めています.科学者や技術者に起業家精神と

私の講義での漫談も「ハーバードからの贈り物」のように意義があるといいな

私は担当する講義でよく漫談をする.担当科目には直接関係ないが,学生に伝えておきたいと思うことを話す.それは,私が学生のときに聞いてよかったことや聞きたかったことでもある. 「しょせん,人間は,自分が学べることしか学ばない」というメフィストフェレス(ファウストに登場する悪魔)の言葉がその通りだとしても,教師の役割は学生が学べる範囲を広げることだろう. 私が話すのは,「学生/技術者/研究者向けアドバイス一覧(随時更新)」にズラリと並べた記事のようなことだ.例えば,新入生対象の