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保険診療と自費診療のマインドセットの違い(思考実験)

眼瞼下垂の治療で「健康保険を用いた手術」と「自費での手術」の違いについてよく聞かれます。診断、治療方針等についてはこちらの記事を参考にしてください。どのような場合に健康保険が適用できて、そしてできないのか。詳しく解説しています。

さて今回は視点を変えます。外科医の視点

結論。外科医のマインドセット(思考パターン)が違うということ。(個人の感想です)

保険診療の場合

ガイドラインやエビデンスに基づいて決まった処方や術式を提供します。そこにクリエイティブな要素が入る余地は少ないです。

いやむしろ「クリエイティブな要素はあってはならない」という考えもありうるでしょう。なぜならば標準を逸脱した医療を健康保険で提供するのは社会通念上許容されないと思うから。保険を支える第三者(働く現役世代)がいるから。

たとえば、健康保険で開腹で胃の手術をするとします。手術の時についでに皮下脂肪を取り除いてウェストを細くしてあげるなんてことは無料サービスであっても許されません。胃の切除後の再建方法も定型化したものがあり、それに従う必要があります。医師と患者との相談で(コレがいいと信じて)血管付き遊離組織移植をすることはできません。

よってパターン化された業務になります。多くの業務を短時間に効率的にこなします。とはいえ精神的負担は重くありません。

さて自費診療は?

クリエイティブな要素が入る余地があります。担当医や患者本人の思いを治療プランに混ぜ入れてデザインしますがそこに制限はありません。二者同士の契約ですから。医療費を支払う保険者はここに介在しません。税金も投入されていませんから自由にプランをデザインすることができます。(限度はあります)

自由度が高い分効率性は保険診療より下がります。自由度があるということはコストや精神的消耗も伴います。外科医は消耗疲労します。(※結果が保険診療より優れることを意味するわけではありません。)だから健康保険よりは高額になるのは必然です。

公的な交通機関を使うか、個人的に車やヘリをチャーターして行くかの違いというイメージでも良いでしょうか。(でも公的な交通機関のほうが早く着いちゃうなんてシナリオもありますよね)

以上抽象的な思考実験でした。


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