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JATECコースに参加して鼻血が出た

普段鼻血など流すことのない私。なぜ鼻血が出たのでしょうか?

Japan Advanced Trauma Evaluation and CareTM(JATECTM)

外傷救急の初期対応のトレーニング。丸2日間のみっちりコース。

イメージは以下の動画のようなものです。お人形を使います。

当時わたしは三次救急病院に勤務し、夜間救急を担当していました。

JATECコースを受講した理由

交通外傷や転落、災害など高エネルギー外傷に対する初期対応を覚えたかったのです。

というのは建前で…

本音を言うと、当時の救急医に愚痴ったのです。

「形成外科医に三次救急の当直は荷が重いです。」ってね。

そしたら救急部の部長に「こう言うコースがあるから受けて見たら?」と提案されたのです。(はぐらかされた)

それが通称『JATEC』。

外傷の初期診療を実際に手足を動かして学ぶコースです。二次救急に求められるスキル。専門家につなぐまでの初期対応を身に着けます。

「座学が苦手な私でも手足を動かして模擬練習できるとなれば、スキルが身につくかもしれない」そう感じてスケジュールを確認して速攻で申込みをした次第。意外にこういうのは嫌いじゃない。

そうしたら、事前にこれだけは頭に入れておいてね💌という通達(メール)が届きました😭

以下に示す用語の定義を理解し、略語の意味と内容を記憶してください。
用語;Primary survey、Secondary survey、Tertiary survey、蘇生、確実な気道確保、輪状甲状靱帯切開(穿刺)、ジェット換気、ショック、血胸と大量血胸(及び、その相違点)、気胸と緊張性気胸(及び、その相違点)、開放性気胸、心嚢液貯留と心タンポナーデ(及び、その相違点)、Flail chest、非出血性ショック、閉塞性ショック、神経原性ショック、脊髄ショック( spinal shock)、初期輸液療法、頸椎X線3方向、頸椎損傷クリアランス、根本治療、転送、Preventable trauma death誤りやすい用語;気管内挿管→気管挿管、バックマスク→バッグバルブマスク、乳酸加リンゲル液→乳酸リンゲル液、高炭酸ガス血症→高二酸化炭素血症、クロスマッチ→交差適合試験、切迫するDの異常→切迫するD、PASG→MAST、骨髄輸液→骨髄内輸液、開放性骨折→開放骨折、気管変位→気管偏位、trauma pan-scan、picture archiving and communication system (PACS)、multiplanar reconstruction (MPR)、focused assessment with CT for trauama (FACT)略語、暗記法;ABCDEアプローチ、FAST、JCS、GCS、AMPLEなどなお、JATEC;Japan Advanced Trauma Evaluation and Careの略。ジェイ・エイテックと読む。

JATECコースでは意識レベルの評価は原則としてGlasgow coma scale (GCS)で行います。コースの中で、先生方にGCSを用いた意識レベルの評価を頻回に行っていただくことになりますので、GCSに不慣れな先生は受講までにテキストで事前学習しておいてください。

JATECより

ラジャー😭

コースの内容

緊張性気胸や出血性ショック、意識障害など。刻一刻とバイタルサインが変化する中、緊急度の高い損傷を見つけ出して速やかに対処していく。

意識は?息してる?脈拍は?血圧は?

眼瞼下垂の診断などしている暇はありません👿

CT検査、採血などの検査をする前の段階の医療行為です。迅速性が求められます。なぜかって?検査室に移動中に心臓止まったらOUTでしょ。

情報も限られる中、検査よりも優先すべき医療処置があるのです。

実際に人形モデルを使い、胸腔ドレナージや外科的気道確保を行います。アドレナリンがドバドバでます。受講者は目がギラギラ😳

最後に試験

どんな損傷があるか、わからない状態からスタートです。

人形モデルの頭から足先まで、網羅的に見て聞いて触って診断。一方で、血圧が下がり始めたり、意識を失ったりというストーリーまで用意されています。

試験官(多分救命救急医)たちに囲まれて、一人ぼっちで人形と向き合います。バイタルサインをしめすモニター画面と音を頼りに手順良く捌いていくのです。

異次元の緊張です。想定外の事に出会うと、頭真っ白。

え?なんで血圧下がるの?

え?なんで呼吸状態が急に悪化するの?

自分の脈拍はバクバク、血圧はバーストし、そして呼吸を忘れ、脳は反応なしになってしまいます😅自分が急変してしまいます。
「そこの先生たち、黙って見てないで助けてよ!!」なんて言えません。だってテストですから。

ぼうっとしてたら模擬患者さんは「死亡」。。。で不合格になってしまいますからね。

みっちり2日間のコースを堪能し、燃え尽きたのでした。無事試験をパスし、家路につきました。身体の表面ががピリピリしているのを感じます。まだ緊張が残っているようです。

そして自宅の風呂で緊張をほぐそうと湯に浸かると…赤い液体が…そこで気づいたのです。鼻血が出ていることに😭

ここまで疲労がたまっていたとは…「まだ緊張状態が解けていなかった」とたしかに自覚した瞬間でした。

自分にお疲れ様と言いたくなりました。こんな状況、普段はないです。

このJATECのコースはこんな人にオススメ

  • 研修医

  • 二次、三次救急の当直を担当する、救命救急専門でない医師

ちなみに形成外科医には必要なし!
https://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html

あとがき

わたしにとっては普段は縁がありませんが、災害時の対応にも非常に有用なスキルになると信じます。

可能ならTwitter,Instagramも覗いてみて。 https://twitter.com/dr_kanaz https://www.instagram.com/dr_kanazawa/ いただいたサポートはJETSTREAMのペンの購入に使わせていただきます。