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月経と片頭痛について

月経は片頭痛と密接に関連することが分かっています。
月経の期間だけ片頭痛を発症する人や、日頃から片頭痛はあるけど月経期間は特に痛みが強くなる人など、症状の出方は様々です。
今回は月経と片頭痛の関係性やその予防についてまとめます。


月経と片頭痛の関係性

月経関連片頭痛とは

文字通り月経の時にのみ片頭痛が起こったり、日頃より症状が強くなったりする片頭痛のことで、頭痛の分類として認められています。
正確には生理開始の2日前から生理3日目の間に起こる片頭痛を指すのですが、その数字はあくまで目安です。
ある研究では片頭痛持ちの女性の約50%が、月経時には何らかの形で片頭痛が増悪すると言われています。
そして、普通の片頭痛より痛みの期間が長引きやすいと言われています。

なぜ月経時は片頭痛が強くなるの?

その理由として、エストロゲンを含む女性ホルモンの変動が挙げられます。
月経の際には、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが急速に枯渇し、それにより月経が引き起こされると言われています。
一般に片頭痛の誘発因子として急速なホルモンの変動があると考えられています。それは女性はどうしても月に1回のホルモンの乱高下によって片頭痛が引き起こされやすい体質といえます。


月経関連片頭痛の治療

予防に効果がありそうな成分

月経関連片頭痛のよく効果が期待されるのはビタミンEやマグネシウムが挙げられます。
これらは一般的な片頭痛の予防としても効果が期待できますので、日頃から片頭痛に悩んでおり、月経で更に悪くなるような人は月経以外の時期にもサプリを常用したり、食品での摂取を心がけるのがいいかもしれません。

他の成分として植物性のエストロゲンが挙げられます。
これは月経時のエストロゲンの低下によって頭痛が悪くなるので、
エストロゲンに似た成分を補充して頭痛の増悪を防ぐ目的があります。
ですので、常用というよりは月経前後に気がけて摂取するのが良いかもしれません。
植物性エストロゲンとしては大豆イソフラボンがあります。
大豆イソフラボンについては、
50mg/dayの摂取で片頭痛の頻度や持続時間を減らしたという研究、
月経の最初の3日間に76mg/day摂取し、重症度を軽減させたとの研究、
など効果は結構しっかりとした研究で示されています。
納豆1パックで大豆イソフラボン50mgくらいなので食事でも十分摂取できそうな量ですね。
月経の前後は大豆製品を積極的に食べてみるのもいいかもしれません。


よく処方する漢方

女性や月経関連の頭痛に関してはいくつか漢方を試してみたりします。
劇的な効果といわけではありませんが、効果を実感いただける方もいます。

当帰芍薬散
片頭痛患者の女性のうち、痩せ型色白の東洋医学で虚と呼ばれる体質の方に適しているとされます。
どちらかといえば冷え性で下痢気味で、疲れやすいといった特徴があります。
また、安胎漢方薬とも呼ばれ妊娠を考えている女性にも比較的安全と言われています。

桂枝茯苓丸
こちらはどちらかというとがっしりとした実と呼ばれる体質の方に勧められます。赤ら顔で便秘がち、肩こりに悩んでいるイメージです。

抑肝散
月経関連頭痛に伴い、イライラ感を訴える方に処方したりします。


トリプタンとCGRP関連抗体薬

月経関連の頭痛は重症度も持続期間も長いことが知られており、
ロキソニンなどの一般的な鎮痛薬では効果が得られない場合があります。
そのような際にはトリプタン製剤が推奨されています。
スマトリプタン(イミグラン)、リザトリプタン(マクサルト)、ナラトリプタン(アマージ)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)では月経関連片頭痛への効果が研究で示されています。
中でも一番効果があると言われているのは、マクサルトのようです。
また月経関連片頭痛は持続時間が長いことを踏まえ、比較的薬効の長いアマージを推奨される先生もいるようです。
いろいろ試してみて、自分に合う薬を見つけるのがいいのではないかと思います。

また、決まって月経の度に強い頭痛に襲われる方は、トリプタンの予防内服という手もあるようです。
具体的には月経の時期にアマージ1mgを1日2回や、ゾーミッグを1日2~3回予防内服することはアメリカのガイドラインにば記載されています。
日本では保険適応外なのでお気をつけください。

また、最新の頭痛予防薬であるCGRP関連抗体薬は月経関連片頭痛にも予防効果が示されているので、それを試すのもありかと思います。


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