GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での使用に対する危険性


近年、糖尿病治療薬として広く使用されているGLP-1受容体作動薬が、一部の自由診療クリニックでダイエット目的で処方されていることが問題視されています。2023年10月25日の定例記者会見で、日本医師会常任理事の宮川政昭氏は、この適応外処方の問題に対し、強い警鐘を鳴らしています。

適応外処方の危険性

宮川常任理事は、医師が「GLP-1ダイエット」と称して自由診療を行うことに対して、「同じ医師として大変遺憾に思い、看過できない」と述べました。さらに、ダイエット目的でGLP-1受容体作動薬を使用した場合、仮に副作用が発生しても医薬品副作用被害救済制度の対象外になることを強調しました。

日医はこれまでも再三、ダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬の使用に対する注意喚起を行ってきましたが、供給不足により本来の糖尿病患者への処方が難しくなっている現状を踏まえ、今回の見解を表明しました。医薬品供給不足緊急アンケートでは、「GLP-1受容体作動薬をダイエットの薬で使って、糖尿病の患者に処方できない」といった声が上がっており、宮川常任理事は「健康な方が不適切に使用する状況は、国民の健康を守るという日医の立場として看過できない」と語気を強めました。

法的対応の難しさ

自由診療での使用は「想定外」であり、法的に禁止するのは現実的には難しいとなっています。

GLPー1受動体作動薬の安全面

比較的新しい薬剤であるため、昔からある薬剤と比較するとデータは少ないが膵炎(9倍)、腸閉塞、胃不全麻痺のリスクを増加することが報告されている

また、GLP-1受容体作動薬が非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)との関連も示唆され今後明らかになると思われます

特に、長期間でのGLP-1受容体作動薬のリスクはまだそこまで明らかになっていない現状です。

GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での使用には重大なリスクが伴い、本来の治療目的で使用するべき薬剤が不適切に使用される現状は深刻な問題です。医療機関や医師が適切な情報提供と指導を行い、患者の安全を最優先に考えることが求められます。


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