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大学院に行くか迷っています。

職業柄、画像のような質問(大学院に行くか迷っている)をよく受けます。
そのたびにどう回答してよいかわからず、結果的にスルーしてしまっています。(ごめなさい)

なぜどう回答してよいかわからないかというと、進学の目的、学んでいる学問の分野、国立か私立か、国内か海外かなどの組み合わせによって回答内容が大きく変わるからです。つまり、質問にあるような内容では、情報量が少なすぎてどう回答したらよいのかわからないのです。

ですのでここでは、進学の目的にフォーカスして、さらにそれを「学びをさらに深めたい」/「研究者になりたい」の2つに単純化して回答したいと思います。

さらに学びを深めるために大学院に行きたい人向けの回答

大いに行くべきだと思います。

学生からの相談を受けていると、質問者のケースのように、早く稼いだ方が良いと考えている保護者はかなり多いです。確かに数年間働かずに学費を払うことは金銭的にはマイナスかもしれません。ですが、その数年間で得られる分析的な考え方や思考力は、それ推して余りある価値をあなたの人生にもたらしてくれると思います。

大学院に行ける環境にあり、またその目的がさらに学びを深めたいということであるならば、迷わずに大学院に行くことをお勧めします。どう働くかは、そのあと考えたらよいと思います。

研究者になりたいために大学院に行きたい人向けの回答

基本的には応援したいですが、単純に学びを深めたいという人よりも慎重になる必要があるかもしれません。結論から言うと、研究者のポストに就けないかもしれないけど、そうなったらそうなったですぐに方向転換できる、くらいの柔軟さを持っているなら大学院に行くことをお勧めします。

なぜそう考えるかというと、単純に研究者のポストが少ないからです。研究者にもいろいろな雇用形態があり、一番多いのは大学に雇用されるケースですが、ご存じのように少子化の影響を受けて大学を取り巻く状況は厳しさの一途をたどっています。今後ただでさえ少ないポストがさらに削減されることが予想され、少ない席をめぐって熾烈な争いとなることは間違いありません。名の知れた大学であればなおさらです。

一般的に、研究者になるためには、修士課程を終えて博士課程に進む(博士号を得る)ことになります。上でも述べた通り、博士課程は3年間ですので、最短でも修士を合わせて5年を費やす必要があります。人によってはこの費やした時間に囚われてしまい、見込みが薄いにもかかわらず研究者のポストに就くことに固執してうまく方向転換できないケースが少なくありません。先に述べたような気持ちがないと精神的につらくなってしまいます。

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いずれにせよ、大学院に行くことにもう少しお金がかからない社会であれば、こういう回答をしなくて済むのにと思うと、わが国の置かれた現状に忸怩たる思いを抱かざるを得ないのですが、現状では残念ながらこのような回答にならざるを得ないのが正直なところです。


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