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と言う勿れ。

2022/05/06

写真は田中ハルさん撮影。私の新著『私、子宮がんやめました 抗がん剤、やってどうなる?』(新評論より2022年5月下旬発売)のチラシに使わせていただいた著者近影写真です。チラシより大きくここでならお見せできると思い、田中ハルさんの許可をいただき写真掲載しています。とても気に入っています、はい、とてもです。

その田中ハルさんとお話できるように、森田ゆり(2021)『トラウマと共に生きる 性暴力サバイバーと夫たち+回復の最前線』築地書館を読了。少し考えを整理するために、引用を多く示します。頭のなかでできつつある考えと理解の骨組みの粒々を、ここで固め治せたらと。これまで考えてきている『記憶の継承』とも、とても近いことに気づけたので。

さて、「サバイバー」について、森田さんはこう示しています。

一九七二年に出版された『女性という性奴隷』という本の中でキャサリン・ベリーが、自分の体験を語ることで、性暴力に対する社会全体の意識の改革に貢献してきた人たちを『生存者』と呼ぶことを提唱したのでした。以来、性暴力の分野全般では、彼らの勇気に対する敬意と感謝を込めた『サバイバー(生存者)』の語を使うことが一般化したのです。184ページ

『サバイバー』という言葉が俄然身近になったのは、私が子宮がんサバイバーなんだと自覚したときから。「サバイバーとは?」と考えていたときに、断然良い!とかんじたのは、『ミステリと言う勿れ』第8巻でした。ライカの話を聴いた整くんが、こう言います。

何年か前 アメリカで 長い年月 拉致監禁 されてた 女性たちが 助け出された 事件が あったんです p.129
その被害者の 一人が 自宅に帰る 映像が あったんですけど 近所の人や 友人知人が 列をつくって 拍手で 迎えるんです 彼女は ガッツポーズを して 家に入っていきました 僕はすごく びっくりしたんです 日本では ありえない 気がして p.130
あちらでは 彼女たちは 〝生き抜いた人”  〝あなたは 生きることで 犯人に勝ったんだ”と 賞賛されるそうです p.130

友だちも恋人もいなかった整くんにとって、最初の気になる人になったライカに、心からの思いやりと気遣いで「なんでも勝ち負けで言うのはどうかと思いますが でも」と断ったうえで、ライカにこう言います。

“被害者”じゃなくて “サバイバー”だと 生き延びたんだと 思えたら … いい。あなたは レプリカじゃ ない あなたと 千夜子さんは 力を合わせて 生き抜いたんです p.131

このあとで、ライカは感動的な言葉を言いますよね。その感動的な言葉も大好きなんですが、わたしは“生き抜いた”“サバイバー”に対して、「賞賛」という言葉をあてていることに、とってもいいなぁと思っていたのです。どう、いいのか。それをどのように説明したらいいかと考えつつ、冒頭で示した森田さんの『トラウマと共に生きる』の“サバイバー”の定義に、おぉ!と思ったのです。

✴︎次に続く

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