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医師のキャリアアップを考える(卒後15年目くらいから30年目くらいまで)

 医師のキャリアアップについて、これまで研修医~卒後5年目くらいまで、そして専攻医~卒後15年目くらいまでの期間について書いてきました。
今回はそれ以降の卒後15年目くらいから30年目くらいまでの医師としてのキャリアアップについて書きたいと思います(まさしく私の世代です)。
 
 既に取得するべき専門医や認定医・資格は取り終え、各施設において指導的な立場であったり、主要メンバーとしての活躍が期待される年代です。
 またクリニックを開業(親族の医院を継承することも)したり、研究職に軸足を移す方もいます。
 
 年齢的には40から50歳代となり、若い頃のように不眠不休で働くことは体力的に厳しくなってきます。ただある程度の規模の施設では、複数の部下や同僚がいるため業務分担をして負担軽減は出来ると思いますが、世代的には責任の大きさは増える一方でしょう。
 他方でプライベートでは、お子さんがいる場合には成長するに従い、徐々に進学のことが様々な場面で話題に上がり、学資の確保などで経済的には若い頃より自由がきかなくなってくる頃かもしれません。中にはこの時期に親世代の介護などの負担が出てくる可能性もあります。
 
 このように自身の周辺環境が大きく動く時期に、なかなか医師として自身のキャリア形成を考える余裕がなくなってくることが考えられます。
 それでも、医師としての能力や経験値の伸びしろがどの程度なのかをかなり冷静に自己判断出来ているはずであり、その中で医師人生の後半戦をどのように戦っていくかを否応なく考えさせられる時期でもあります。
 
 私自身もここ数年で自分の外科医としてのキャリアをどこまで続けるのか、自分が最もやりたいこと・楽しいと思えることは何かを考え続けてきました。
 
  そこで一番大切なことは何か。
 
 それは、自分の能力や業績、仕事に対する向き合い方をもう一度見直し、長所短所を再度確認することだと思っています。
 これを私自身は「医師としてのキャリアの棚卸し」と勝手に呼んでいます。
 
 若い時分から馬車馬のように働き、可能な限り出来ることを増やし、得意なことも不得意なことも、とにかく数多くこなしてきた期間をもう一度振り返りながら、
 
  自分が医師として出来ることは何か
  自分が求められていることは何か
  自分が一番やりたいことは何か

 
をしっかりと見つめ直すことが大切なのではないかと思います。
 
 時には上司・同僚や家族に意見を求めたり、客観的な評価をもらうことも有用ですが、やはり自ら自己評価を冷静に行うことがこの時点では最も重要なことだと思います。
 
 その中で、これからの医師としてのありかた、社会との関わり方、家族との関係など、多くの関係性の中で自身の進路を決めていく必要があります。
 
 もし医師100人いれば100通りのキャリアプランが出来るでしょう。
 
 臨床医として第一線で働くこと、教育機関で若手の医療人を育てること、医療とは別分野であらたなキャリアを積むこと。私の周囲にはそれこそたくさんの生き様を見せてくれる同世代の友人医師達がいます。
 
 その多くの友人達に共通して言えることは、
 
「自分で必死に考えたキャリアプラン通りに生きている人は輝いている」
 
ということです。
 
 なかなか思い通りにキャリアを積み上げることは難しいですが、人から与えられた仕事をこなすだけでは自分の人生を彩ることは出来ないのでしょうか。
 一度しかない人生、医師として、社会人として、そして一人の人間として本当にやりたいことに挑戦してみる、そんなキャリアアップを自分目指してみたいと思ってみたいし、同世代そしてこれからこの世代になっていく医師の方々にも目指してもらいたいと願っています。


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