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アジア最速の男

 アジア最速の男は誰だ?

 そんなキャッチフレーズでその大会は始まった。
 スポンサーはインドのサンボ財閥。なんと賞金は3千万ルピー(日本円にして約8千万円)

 参加資格はアジア人なら誰でもよし。ドーピングすら規制されない。
 そんな呼び込みの下、多くのアジア人が応募した。
 まさしく「アジア最速の男が誰なのか」それだけを賭けたレース。

 最速と言っても短距離走者も長距離走者もいる。
 また直線が得意のものから、コーナーを巧みにせめる者もいるという中、それではとおそらく誰も走ったことがないであろうコース設定がなされた。

 コースの真ん中に巨大な柱。その柱の直径およそ10m。
 その柱の周り、つまり30mほどのトラックの周りを走り、20分の間に何周できるか競うというもの。

 スタートの合図と共に男達は必死で走った。
 あるものは薬を使い、またある者は体内に機械を埋め込み必死でコースを走った。
 まさしく、そこにはアジア・・・いや人類最速の男達がいた。そのスピードはもはや普通の人間の目では追えないほどであった。

 そして、終了の合図が鳴った20分後。

 会場には黄色い最高の溶かしバターの大きな池が残りました。
 スポンサーのサンボはそれを真鍮の壺にいれて、家に持って帰り、小麦粉と卵とミルクと砂糖をくわえてお皿一杯のパンケーキを焼きました。
 サンボは、あまりにも美味しかったので169枚も食べてしまいました。だってお腹が空いていたんだもの。

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