【書評】重度障害者による初の芥川受賞作!「ハンチバック」
こんにちは、サカモトです。
今回はこちらの本、「ハンチバック」の紹介です。
この作品は色んな意味で話題を振りまいている作品です。
まずは、作者の市川沙央(いちかわさおう)さんが重度障害者、先天性ミオパチーという難病の当事者であり、さらに、この作品の主人公が作者と同じく重度の障害者であることです。
こうしたことは、長い芥川賞の歴史の中でも初めてのことだそうです。
そして、受賞の際のコメントも話題になってます。
どうしてそれが2023年にもなって初めてなのか、というの言葉が話題になっています。
さらに続けてこうも言っています。
僕が一番気になったのが、この読書バリアフリーという言葉です。執筆に関しては、大変だろうと想像していたところですが、読書に障害を感じていたとは意外に感じました。
作者は背骨が歪んでいるそうなので、紙の本は持つだけで大変です。
そして、なかなか書籍の電子化が進まず、読書バリアフリーが実現しないことにいらだちを感じ、その思いを小説の中で主人公に語らせています。
さらに、別箇所ではこんなふうにも綴られています。
表現がちょっときついですね。でも、気持ちは分からないではないです。
このように重度の障害者が普段どのような生活をしているのかが詳細に綴られていて、どんなことに不便や不満を感じているのかがよく分かります。
障害者やバリアフリーなどを考えていくにあたり、やっぱり実態を知らないことには始まりませんからね。そういう意味でとても勉強になる本だと思います。
ただですね、いきなりはじめから、風俗店での体験談から始まります。これは、主人公がライターの仕事をするにあたり、求めに応じて書いているということが明かされるのですが、表現がかなりきついです。
性的な表現がかなりありますので、そのあたりのことがあまり好きではない方はおすすめしません。注意して読んだほうがいいでしょう。
それにしても、そういう意味で、今回の芥川賞はかなり攻めたと思います。
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