80年代の職場ってこんなにもなんでもありだったの?!「クライマーズ・ハイ」
こんにちは、サカモトです。
今回は、久々の書評です。「クライマーズ・ハイ」です。
先日、映画「ヘルドックス」を見たと書きました。現代社会でヤクザ映画というのはどうなんだと思ったものの、うまく説明できませんが、妙に気にかかる不思議な映画でした。
同じ原田監督作品の「クライマーズ・ハイ」を見たくなりましたが、残念なことに今は配信してないということで、仕方なく小説を読み返しました。
小説は文庫版ですが、2006年出版ということで、約15年前ですが、読んだときの生々しい思いがよみがえってきました。やっぱり名作は違いますね。
あらすじ
主人公は、群馬に本社を置く北関東新聞の記者、悠木。過去に犯した仕事上の失敗から実力があると認められつつも、組織的にもてあまされる存在となっていたところに、1985年の御巣鷹山での航空機事故が発生し、悠木が全権デスクに任命される。組織の論理に振り回される中、よい紙面とするために奮闘する話。
一方で、うまくいかない親子関係だったり、同僚と事故当日に衝立山という難しい山にチャレンジする予定だったものの、悠木は事故のせいで行けなくなり、同僚も深夜に倒れ病院に運ばれる。同僚は深夜に何をしていたのか、というのも見どころの一つ。
みどころ
見どころというか、小説なので、読みどころですが、何といっても職場の雰囲気でしょうか。もらい事故とはいえ、自分の県で起きた世界最大の航空機事故を報道するに当たり、殺気立っている。
上司とか関係なく、部長に対しても「てめえ」呼ばわり、それに対して部長がみんなの前で面子をつぶされたと、土下座をしろと騒ぎ出す。こんな騒ぎは日常茶飯事でさらにすごいことに、事故の写真を載せるために外した広告の関係で、広告部と胸ぐらつかんで喧嘩を繰り広げたりまでする。はじめて、読んだときは脚色がすぎると思っていたけど、今ではあながちそうとも言い切れないかもという気がしている。
80年代の職場環境
あとがきに書いてあるが、当時作者の横山さんは群馬の上毛新聞にいたとかで、事故直後の新聞社の混乱を見ていたはずで、ある程度当時の状況を踏まえているはずである。
こうした殺伐した雰囲気が、もともとなのか、前代未聞の事件が起きたからなのか、全然判断がつかないが、80年代の職場はどこもこうした雰囲気がただよっていたんだろうなと思う。2000年代以降の自分の職場を見ていると到底信じられない。上司の言うことに納得できなくても、表面上はおとなしく従うのが当たり前なので、隔世の感がある。
いいのか悪いのか
こうした雰囲気がいいのか悪いのか、判断がつかないが、読んでいて、スカッとしたのは確かだ。自分がいいと信じたもののために、ぶつかるのを恐れず、また、なにかあれば責任を取るため辞表を胸に忍ばせる、そうした生き方ができたらどんなにいいのだろうと思ってしまった。
もちろん、色々としがらみがあるので実際に行動移すのはなかなか難しいんですけどね。
映画はとてもいい
ここまで小説版の「クライマーズ・ハイ」について書評書いてきました。
小説もいいんですが、映画はもっといいです。主人公の堤真一がとてもかっこいいんです。昔、配信か何かで見たと思うんだけど、また見たいなと思っている!DVDを買おうかな。