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PTAは良くも悪くも日本の縮図、「政治学者、PTA会長になる」

今回紹介するのは「政治学者、PTA会長になる」です。

これはおもしろかった!

政治学者!!PTA会長!!とタイトルからしていかにも面白そうですが、期待を裏切りませんでした。

子どもを持つ親にとって、特に小学生の子どもを持つ親にとってPTAというのは、ポジティブな意味でもネガティブな意味でもどう関わりを持つかは大きなテーマでしょう。どちらかというとネガティブな意味の方が大きいのかもしれませんがね。

作者は専修大学の政治学の教授

作者は専修大学の政治学の教授です。人の営み、関係性についての学問が政治学であり、そしてPTAは人の営み、関係が全てと言えるので、うまくいきそうですが、もちろんそんなことはないです。

作者はPTAを魔界と表現しますが、まさしく魔界というにふさわしい出来事が次々に起こります。これが想定の範囲内のこともあれば、予想のはるか上を行くことだったりします。

新旧役員の顔合わせ

作者は当初PTA会長になる気は全然なかったものの、色々とあって説得されて会長に担ぎ出されます。そこで、内定した段階で現役員と内定した新役員との顔合わせの席が設けられますが、その場で新旧役員同士で口論が勃発します。その口論に唖然としながら、その後の行く末を案じる出来事となります。

作者の通う学校は、東京の特別区に位置することもあって、大体が女性が役員やっていて、それまでも女性が会長をやっていたそうです。そこに、男性しかも、大学教授ということで警戒されたようですね。それにしても口論をしてしまうとは、、、、

変えることが不安!

これはこの本で一番なるほどと思ったところです。

とにかく役員のみんなが旧役員から引き継がれたことをひたすらなぞってやろうとしているので、作者が変えたらどうかと言っても変えようとしないで、それはなぜかというと「不安です」という答えが返ってきます。不安ですというのはなるほどと思いました。やり方を変えてしまって、影響があった時に責任を取らされたくないということでしょうね。

これはPTAに限らず、日本のあらゆる組織でこういうことが行われているんじゃないでしょうか。実は自分の職場でも同じようなことはあって、いろいろなところで旧来のやり方を変えようと言うのですが、なかなか変えようとしない人が多くてなぜだろうと思ってました。不安だったんですね。これは勉強になりました。

前半は改革を進めるものの後半は鈍くなる

前半は作者が言い出しっぺになって周りの反発もありながら、どんどん変えていくんですね。その辺は面白いのですが、後半は周りを置いていって無理やり変えていくことに作者も不安を覚えるようになって、改革のスピードが鈍っていきます。常識が違う人の中で古いやり方を変えていくことは、やり方が間違っているんじゃないかと悩むようになってきたり、中々難しいのだなと感じます。

具体的なエピソードが面白い

PTAは民主主義的な組織でなければならないと、作者が理想とする組織のあり方を説明して周りに引かれてしまうとか、全体的に一つ一つのエピソードが具体的に書かれているので、面白いです。また、昭和的なやり方、20世紀的なやり方のような古く非合理的なやり方を残しているところを変えていくのがなかなか難しいと言うのは、日本のさまざまな組織での行われていることで、PTAは日本の縮図だと改めて感じさせられましたね。

小学生の子どもを持つ親はもちろんのこと、古い組織の中で働く方は面白く読めると思います。

ちなみに、プレジデントオンラインで、この本の内容が一部紹介されています。こちらを読んで面白いと思ったら、この本を読んでみてはいかがでしょうか。


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