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新しい購入体験②スマホがレジ代わりになる「カスミのScan&Go」

スーパーKASUMI(カスミ)のレジに並ばないスマホ決済「Scan&Go」とは?

関東を中心に店舗を構えるスーパー「カスミ」がレジに並ばないスマホ決済アプリ「Scan&Go」の導入を開始しました。東京・埼玉・千葉を中心に約20店舗ほど導入されています。カスミのスマホ決済ははどのようなものなのか?使いやすさはどうか?などを実際に体験してきました。

Scan&Goの仕組み

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引用元:流通ニュース

カスミが提供する公式アプリには、スマートフォンのカメラによる商品登録、キャッシュレス決済の機能を搭載。「Scan&Go」は、店舗で購入したい商品のバーコードをアプリで読みとるだけで、レジに並ばずに簡単に買物できる仕組み。会計画面に表示されるQRコードを、店舗に設置されたQRコードリーダーにかざすことで、お買い物が完了します。イオンのレジゴーはお店で貸し出している端末を利用する必要がありますが、カスミのScan&Goは「自分のスマートフォン」で決済まで完結できます。使うことで以下のようなメリットがあります。

・混んでいるレジに並んでいる時間が少ない(混雑を避けられる)
・購入前の商品の合計金額がわかる
・自分のスマホで決済まで完了できる(支払いまでできる)

イオンのレジゴーよりも、さらに「非接触」に特化したアプリを提供しているともいえます。

実際の店舗での利用率は?

今回私が体験したスーパーはフードスクエアカスミオリナス錦糸町店。店舗は年齢層の高いユーザーが多い印象。お店自体が全面的に利用を促進していない雰囲気があり、店舗で使っている人は少ない雰囲気でした。(レジゴーと違い、自分のスマホで操作するため目視しにくいという理由もありますが...)

体験レビュー①Scan&Goの利用を促していないため、サービスへの認知が弱い印象

最初に店舗に訪れて感じたことは、Scan&Goの利用を促進するエリアがないこと。スーパーに訪れるユーザーが「アプリをDLしている」前提のように感じられました。店内には、入り口付近にポスターが掲載されていましたが、かなり目立たない位置に掲載されていて、お店として全面的に利用を促すような雰囲気は見られませんでした。

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体験レビュー②アプリの登録フローが複雑

事前にアプリの登録を行いましたが、自力でたどり着くのが極めて難しい登録の流れになっているため、現時点での利用率はかなり低いのではないだろうかと想像しました。現在カスミは公式アプリもあるため、一般ユーザーがアプリストアで「カスミ」と検索したら「①の公式アプリ」が検索で引っかかるようになっています。

①カスミの公式アプリ
②Scan&Go

実際にScan&Goにたどり着けたのは、公式サイトのバナーからでした。また、インストール後も利用開始までに会員登録・クレジットカードの決済情報を入力する手間があるため、初回登録時のハードルが高いと感じました。このハードルを乗り越えてまで「使いたい」と思わせる体験の提供が必要ではないでしょうか。

体験レビュー③Scan&Goの端末の操作性

アプリを使える状態した後に、アプリの中にある「チェックイン」を押すと店舗でのお買い物で利用できるようになります。基本的には商品のバーコードを読み取ってスキャンしていくだけなので、操作性はシンプルでわかりやすい作りとなっていました。バーコード自体の読み取りもスムーズ。バーコードスキャンした後の流れはレジゴーの操作性と似ているので、今後業界のスタンダードなUIとなりそうです。

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体験レビュー④ 最後にQRコードを読み取るエリアがわかりにくい

Scan&Goは決済まで完了できるアプリですが、お店を出るまでにQRコードを読み取るエリアで「QRコードを読み取ってお店を出る」という行動が必要になります。QRコードの読み取りエリアは、通常のレジエリアとは別の場所に設置されており、店員さんに聞かないと利用できない状態になっていました。店舗側としてのオペレーションが不完全なため、ユーザーが気持ちよく利用できる体験はまだ整っていないように見受けられました。

体験レビュー⑤ 「レジで決済していないのでは?」(万引きしているのでは?)と思わせてしまうフローになっている

私が一番気になったのはQRコードをかざして店内を出るときの「後ろめたさ」でした。通常のレジエリアとは異なる場所で、QRコードをかざしてその場で商品をつめてスーパーを出るという体験に違和感を感じたのです。それは客観的に見て、「万引きしていると思われないだろうか」という不安でした。イオンのレジゴーとは異なり、専用端末ではなく自身の端末で決済まで完了できるというメリットがある分、「最後にスーパーを堂々と出られる」ことへの障壁を取り除いていく必要はあると感じました。お店自体のプロモーション、ユーザーへの認知がしっかりと根付いた状態であれば、この後ろめたさ自体はなくなっていくのかもしれませんが、「初回利用時の違和感」を少しでも感じてしまえばリピート利用にならない可能性も高いため、やはり最初のファーストタッチポイントである「堂々と出られる」状態を空間や、店員側からの呼びかけなどで対応していく必要がありそうです。

まとめ

使ってみた体験としては、以下になります。

・アプリの認知や店舗側でのプロモーションが弱いため使われていない印象
・アプリのUI自体はシンプルなので、違和感なく操作できる
・お店を気持ちよく出られる体験づくりは必要

利用するユーザー側が負担だと思わない入り口と、店舗側の積極的なプロモーション・気持ちよく使える体験づくりの提供は今後の課題だと感じました。「Scan&Goは、どうあるべきか(ToBe)?」をユーザー視点で描きながら、ビジネス的な利益を生み出す上流の部分までを一連の流れでイメージできるように可視化しつつ、その先を見据えた戦略を追う必要がありそうです。これから先、良い体験を提供する競合に飲まれないために、サービスのコアを作る「ユーザー体験」をしっかりと見据えることの大切さを今回の体験を通じてより強く実感しました。

「ニューノーマルな次世代の買い物体験アプリ支援サービス」を始動中!

最後に私たちネットイヤーグループ(デジタル&フィジカルデザインチーム)では、リテール業界に特化した新しい買い物体験を支援するためのアプリ開発サービスが始まりました。

今回のカスミが提供している様なScan&Goのように、オフライン・オンラインを問わずに利用できるアプリ構築が可能です。詳細は以下のページよりご確認ください。ぜひお気軽にお問合せいただければと思います。



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