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医療におけるニューノーマルを作れるか?オンライン診療(LINEドクターや診療アプリcuron)の取り組み事例について考察してみました。

こんばんは!師走に入り、グッと寒くなってきましたね。気軽に病院に行きにくい状況になってきていて、風邪を引くのも怖い、という心持ちになってしまうこの頃です。。どうか、皆様もご自愛くださいませ。

今日のテーマは「デジタル&フィジカル目線でのオンラインで受けられる医療サービス」です!特に今年に入ってから、「オンライン診療」というニューノーマルな体験をサービスとして提供する企業を見かけるようになりました。今回はオンライン診療に対する意識調査のデータや、サービス事例についてご紹介できればと思います。

オンライン診療ってどんな仕組み?

オンライン診療とはその名の通り、スマートフォンやPCから接続し、画面越しに医師からの診療を受けられるサービスのことです。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外出しにくい、病院にいくのに抵抗がある、といったようなニーズに応えるため、徐々に浸透している状況です。

オンライン診療のだいたいの流れとしては、以下のようです。※サービスや内容によって前後します

①アプリや専用サイトから必要な情報を記入して予約
②指定した予約の診察時間になった際にアプリで待機し、医師から呼び出しを待つ
③ビデオチャットや音声で診察を受ける
④オンライン上で支払いを済ませる
⑤服薬指導が必要な場合は、調剤薬局を検索してオンライン服薬指導を申し込む

病院のようにいつ呼ばれるのかを待ち続けるようなことがないのは、とても嬉しいですよね!

■ユーザーメリット

・わざわざ通院しなくてよい(場所を選ばず診療を受けられる)
・事前に予約するので時間がかからない(並んだり、混雑を避けられる)

■ビジネスメリット

・効率的に診療できる(時間帯に合わせてシフトや対応を変えられる)
・新しい顧客獲得(遠方で利用できなかったユーザー層の獲得)

双方のメリットを考えてみると、時間的な効率が生まれることが最大のポイントな気がしていきました。実際のところはどれぐらい普及しているのでしょうか?気になったので調査データを調べてみたのですが...

オンライン診療、「受けたことある」のは約6%(MMD調査より)という衝撃の結果!

目新しく、まだスタンダードになり得ていないサービスということもあってか、世の中には浸透していない状況のようですね。

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画像引用:MMD研究所
オンライン診療の認知度については、「知っている」と答えた人が33.4%、「名前は聞いたことがある」とした人が50.7%に上った。20代の認知度は80%を下回るが、60代は90%を超えるなど、年代が上がるにつれ認知度は上昇する傾向にある。一方、オンライン診療を知っていると答えた人のうち、実際に診療を受けた人の割合は年代が上がるにつれ減少。20代男性が43.4%、女性が32.5%に上るのに対し、60代は男性が6.6%、女性が7.2%にとどまった。合計すると、オンライン診療の受診経験者は全体の6%となった。

この調査データで面白いと思ったのは、「年代が上がるにつれ認知度が上昇している」という点でしょうか。さらに認知度は60代の方が高いのに、実際のサービス利用は20代が多いということ。年代が上がるにつれて、利用ハードルが高くなると思うのかもしれないですね。

今の時代だからという回答理由でもありますが、実際に利用した人の中で一番大きかった利用理由は「感染予防のため病院に行きたくなかった」(38.9%)でした。病院にいくことのリスクが高まっている状況でもある中で、あえて選んでいるという人もいるのかもしれません。その上で、「かかりつけ医がオンライン診療に対応していた」(31.8%)、「通院時間短縮のため」(29.0%)というような理由も上位を占めているようです。

ということは、まだ利用していないという潜在層の中でも、「かかりつけ医が利用していれば使ってみたい」というニーズは一定数あるのかもしれません。

なるほど〜。とても興味深いです!実際に利用している人はまだ全体数でいうとかなり少ないようですが、今後コロナ渦が続く中で新しい診察のカタチとして導入が進む可能性は大いにありそうですよね。では、実際にどのようなサービスが提供されているのか、各社の事例を以下にまとめました。

補足:現在、コロナウィルスの感染拡大の状況下においての時限的・特例的な対応として、医師が医学的に可能であると判断した範囲において、初診からのオンライン診療の実施が可能とのこと。詳細は、2020年4月10日発出の厚生労働省の事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」をご確認ください。

オンライン診療サービス事例①オンライン診療・服薬指導アプリCLINICS (クリニクス)

App Store メディカル カテゴリ 1位 (2020年4月)をとるほどの人気を誇る、オンライン診療の先駆けとなるようなアプリの「CLINICS(クリニクス)。

24時間いつでも予約可能、問診票もアプリで回答、診察前の待ち時間ゼロという「スマートスピーディー」な体験がアプリひとつで行えてしまいます。

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引用元;https://clinics.medley.life/guide

基本的には初診は医療機関で対面診療を受けてもらう必要がある、ということなので、「かかりつけ医(再リピート)」という観点での利用ニーズが高そうですね。

このサービスでの大きなポイントは、「オンライン服薬指導」ができることです。薬局で調剤されたお薬を受け取る際、薬剤師から受けていた副作用や服用方法についての説明をオンライン上で行うことができるので、非常に便利!自宅にいながら、薬の面でもすべて対応してもらえるなんて。。

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引用元:https://clinics.medley.life/#online-take-medicine

便利だなと思う反面、「今すぐ薬が欲しい」という場合はオンラインで発行された処方箋をリアル店舗で引き渡す必要はあります。配送=即日受け取れるわけではない、というのは若干時間がかかると思うかもしれません。

オンライン診療サービス事例②オンライン診療アプリcuron(クロン)

1つ目でご紹介したクリニクスと同じく、アプリでオンラン診療を利用できるサービスなのがcuron(クロン)。

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クリニクスとの大きな違いは1回ごとにアプリ経由での手数料がかかること、オンライン服薬指導のサービスは提供していない辺りでしょうか。1回あたり330円かかるので、利用者方の負担は増えてしまいますね。しかしながら、利用している医療機関がこのアプリを採用していれば「使わざるを得ない」となりますし、交通費や手間などを考えたら安いと感じるかもしれません。

クロンはアプリの中でオンライン服薬診療を取り込んでいないようですが、ドラッグストアなどの調剤取扱店舗にBtoBでサービスを提供しているようです。

2021年1月から全店で、オンライン服薬指導への対応を開始予定とのことなので、ますますオンラインで利用する流れが加速していきそうですね!

オンライン診療サービス事例③LINEドクター

3つ目にご紹介するのは、LINEが始めた「LINEドクター」です。

アプリを入れなくても「LINE」でお医者さんに相談できてしまうという革新的なサービスが登場しそうです...!(まだサービス開始していません)

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引用元:https://linehealthcarecorp.com/ja/lp/common/recruit/clinic-202009

LINEドクター最大の売りポイントは「LINEpay」が使えることではないでしょうか。他のアプリではクレジットカードの登録などで手続きが若干手間な気がしていたのですが、LINEpayが使えるならスマートな利用ができそうです。

さらにアプリをわざわざインストールしなくても、LINEアカウント上でできてしまうという手軽さ。ご高齢の方の利用ハードルを下げるサービス提供にもなりそうですよね。

とはいえ、センシティブな相談をするという意味でLINEのビデオ通話って「精神的なハードル」は高いのかな?とも考えてしまいました。アプリとして独立して利用するときだけ使うという方が、普段の生活に密接に紐づいているLINEよりも、いい意味で切り離しができるのではないかな、と。そういう意味で、手軽さと相談という面での利用しにくさ、どちらが勝るのかは今後楽しみでもあります。

アプリで手軽に利用できる反面、リスクもある

利用の便利さを感じられる一方で、医師と患者双方の「なりすまし」の危険性があるという警鐘もあるようです。

医師の場合は不適切な診療による健康被害、患者の場合は薬剤の不正入手などが考えられ、日医は本人確認の徹底を主張した。
引用元;https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2011/06/news052.html

なりすましのリスクについては、AIによる本人認証システムの導入できる、と言われてはいますが、手軽に利用できてしまうことで起こりうるリスクというのも念頭に入れておいた方が良さそうですね。

まとめ:非対面で受けられるサービスとして、今後はオンライン診療の需要は拡大するのではないか。

各社のアプリUIも触ってみたのですが、わかりやすく使いやすかったので、難しくなく使えると判断されれば若年層の利用は高まっていくと考えられます。また、LINEのように日常的にあるサービスのオプションとして提供開始されれば、今まで以上にニューノーマルな体験として定着していくかもしれません。

しかし、(水を差すようですが)いろいろ調べていく中で気がついたこと、それは、「お医者さんとは対面で話したいかもしれない...?」ということでした。何故なら、対面でしか伝わりにくいニュアンスやその時の感情、直接声を聞いて安心したいみたいな「温度感」を画面越しに伝えられるかがわからないから。特にもしかして病気かもしれない、という不安を画面越しで伝えられるのかなぁと...。あとは、対面でお会いしたことがない初診をオンラインで利用するというのは非常にハードルが高いのでニーズとしては少なさそうだと感じました。よっぽどのことがない限り、再診利用でしょうか。

オンライン診療は、カジュアルに相談できる内容のときに、わざわざ病院にいきたくない。というニーズで使えるのかもしれないと思いました。もしくは持病の定期的な相談など。私の場合なら、ピル服薬の相談や、病院専売の化粧品など。医師の指導が必要だけど、深刻な悩み(対面で相談じゃなくてもよい)ではないものに対して、積極的にオンライン診療を取り込んでいきたいなと思いました。

今後もますます非対面で利用できるサービスが増えていきそうですね。便利さが加速していく中で、私たちは自分にとって「これは良い体験なのか、また利用するべきなのか」を急速に判断してジャッジしていく必要がありそうです。(その流れが年々早まっていきそうですね!)

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アイキャッチ画像の引用元;<a href='https://jp.freepik.com/vectors/technology'>Freepik - jp.freepik.com によって作成された technology ベクトル</a>

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