見出し画像

バランスが良くなるトレーニング【DPT】

バランス能力は、スポーツにおいて適切な姿勢を保つために非常に大切であるだけでなく、転倒の防止や、特に高齢者にとってはしっかりと「立つ」「歩く」という生活機能に大きく寄与する能力です。

今回はそのバランス能力の向上に役立つ理論をご紹介しましょう。

●バランスが良くなる理論の基礎:そもそもバランス能力とは?


▶︎バランス能力とは

バランス能力とは、静止姿勢または動的動作中において、姿勢を任意の状態で維持したり、不安定な姿勢から速やかに回復したりする能力のことです。

▶︎バランス能力を決めるもの

 バランス能力は、視覚や体性感覚(筋肉、関節、足裏の圧感覚など)、平衡感覚(内耳の三半規管)などの情報をもとに、脳が中枢として司令を出し、それを骨格筋などが実行することで発揮されます。つまり、バランス能力は、感覚系・中枢司令系・筋力系などの総合的な機能によって決まるのです。

ただし、総合的な機能というのは心理的要素が大きく関わってきます。仮に身体のスペックが同じであってもやる気がある場合とない場合でも大きく差が開くのは周知の事実です。

ちなみに、
若者においては通常、静的・動的な状態で姿勢を維持するだけの十分な筋肉が備わっているため、筋力についてはあまり重要視されません。
一方、高齢者は加齢により筋力が大きく低下しているため、筋力がバランス能力を規定する大きな要素と考えられています。

▶︎バランス能力の評価法

バランス能力を簡単に評価するためには、片足立ちが一般的です。文部科学省の新体力テストでは、高齢者のバランス能力の評価方法として、開眼片足立ちが採用されています。

●バランスが良くなる理論:グッズを用いたトレーニング

▶︎バランストレーニンググッズとは

バランス能力のトレーニング用に、様々なグッズが販売されています。最も一般的なトレーニングは、大きなゴムボール状の器具(いわゆるバランスボール)や、それを平たくしたような器具(バランスディスク)の上で、座ったり、立ったり、姿勢を色々変えたり、スクワットなどの課題を行ったりするものです。

▶︎バランストレーニンググッズへの評価

 これらのグッズを使用したトレーニングによって、実際にバランス能力が向上することが、いくつかの研究から明らかになっています。

ただし、これらのグッズによるトレーニング手法は、「不安定な支持面を作り、その上で姿勢を保持する」ものですが、実際に不安定な支持面上で姿勢を保持しなければならない状況は実生活上でほとんど無いため、実動作とかけ離れたトレーニングであるとして、否定的な見解もあります。

●バランスが良くなる理論:グッズを用いない体幹トレーニング


・体幹(コア)とは?

 広義では頭部と手足を除いた胴体全体を体幹(コア)といいますが、狭義ではインナーユニットを構成する4つの筋肉(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群)を体幹(コア)といいます。この体幹(コア)トレーニングによって、静止時でも運動時でも安定性が増し、動きの中でもぶれない姿勢を作ることができます。

・体幹トレーニングの方法

 前述のバランスボールなどの器具を使ったトレーニングも体幹を鍛えることはできますが、道具を使わなくても体幹のトレーニングを行うことはできます。以下に道具を使わない体幹トレーニングの例をご紹介しましょう。

プランク:腕立て伏せの姿勢から、肩の下に肘が来るようにして床につき、頭からおしりまでが一直線になるような姿勢をとります。肩や腕に力が入らないように、お腹を引き締めた状態で姿勢保持をします。腹直筋と腹横筋を鍛えます。

フロントクランチ(ニータッチ):膝を90度に曲げた状態で横になります。両手はももの付け根につけリラックスします。手をももの付け根から膝の頭まですべらせるようにして、上体を起こしていきます。この時肩甲骨が床から浮くくらいまで上体を起こすことで腹直筋の上部が鍛えられます。上体を戻す時は、起こしたときの2倍の時間をかけてゆっくり下していきます。

 レッグツイスト:仰向けで横になり軽く両手を開きます。両足をまっすぐ持ち上げ左右におろしていきます。この時肩が上がったり、体が捻じれて背中が浮かないように注意して行うことがポイントです。腹斜筋と腹直筋を効果的に鍛えます。

 knee to elbow:四つん這いの姿勢から、対角の手足を一直線になるように伸ばします。その状態からお腹の下で肘と膝がつくように曲げていき、ついたら伸ばします。この動作を繰り返し行います。腹直筋をメインに、全体的に鍛えることができます。

 ツイストブリッジ:腕立て伏せの姿勢で片脚を浮かせます。膝を曲げ足首を内側に入れ反対側の手と足の間に滑り込ませます。この時極力脚が床につかないように意識し、体幹部を安定させましょう。腹斜筋や腹横筋などウエスト周りの筋肉を鍛えることができます。

▶︎体幹トレーニングの注意点

 体幹トレーニングを始める際は、まず呼吸を意識しましょう。呼吸やお腹の収縮に関わる筋肉は、お腹の最も深い部分にある筋肉であり、この筋肉を活性化することが体幹トレーニングの第一歩です。

 そして、体幹トレーニングは正しい姿勢で行うことが重要です。誤った姿勢で行うと、効率が悪いだけでなく、怪我の要因にもなりえます。また、コンディションを維持することも重要ですので、間違ったトレーニングのやり過ぎには気を付けましょう。

そのためにもまずは以下の動画(ダルマパーソナルトレーニング)をみて、一緒に行い、基礎を作っていきましょう。


▶︎体幹トレーニングのその他の効果

このような体幹トレーニングには、バランス能力の向上以外にも多くの効果があります。

例えば、筋持久力が上がることによって、疲れにくい体になります。また、強くしなやかな体幹が衝撃を吸収するため、怪我もしにくくなります。肩こりや腰痛などが改善される場合もありますし、呼吸が深くなるので、睡眠の質も高くなります。
 スポーツにおいても、体の軸が強くなることで、手足が軽く自由に動くようになり、動きが良くなります。

●バランスが良くなる理論:効果的なトレーニングのために


 バランスが良くなるためのトレーニングを紹介してきましたが、これまで何らかのトレーニングをしようとして挫折してきた人も多いのではないでしょうか。

 実はトレーニングには、その効果を高める五大原則というものがあります。

▶︎5大原則


・意識性の原則:目的をはっきりする
・全面性の原則:バランスよくトレーニングする
・反復性の原則:あきらめず継続する
・個別性の原則:自分にあったトレーニングを行う
・漸進性の原則:少しずつ質と量を高める

 トレーニングを行う際は、この五大原則を意識して、漫然と行うのではなく、今どの部分を鍛えているのか、何のために行っているのかを、しっかり考えながら行いましょう。そうすれば、あなたのバランス能力も必ずや向上することになるでしょう。

それに加えて、ダルマパーソナルトレーニングの理論を組み込むならば、より効果的にトレーニングできるようになるはずです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?