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朝鮮民主主義人民共和国災害防止および救助、復旧法

大韓民国国家情報院『北韓法令集』下巻299〜312ページ
日本語訳は、投稿者によるものです。

チュチェ103(2014)年6月27日 最高人民会議常任委員会政令第76号として採択
チュチェ106(2017)年6月21日 最高人民会議常任委員会政令第1775号として修正補充
チュチェ109(2020)年4月5日 最高人民会議常任委員会政令第303号として修正補充
チュチェ109(2020)年11月26日 最高人民会議常任委員会政令第468号として修正補充


第1章 災害防止および救助、復旧法の基本

第1条(災害防止および救助、復旧法の使命)

朝鮮民主主義人民共和国災害防止および救助、復旧法は、災害防止、非常災害危機対応、災害救助、復旧事業において、制度と秩序を厳格に定め、国家の安全と人民の生命安全、国家および社会協同団体、公民の財産を保護することに寄与する。

第2条(用語の定義)

この法において災害とは、洪水、暴雨、干ばつ、台風、高潮、地震、火山などの災害性自然現象や、その他の要因により、人民の生命安全や、国家および社会協同団体、公民の財産にもたらす厳重な被害のことをいう。

第3条(災害の等級区分)

災害性自然現象や、その他の要因により発生する被害の範囲や規模により、災害を特級災害、1級災害、2級災害、3級災害に区分し、次のように定める。

  1. 特級災害は、災害性自然現象や、その他の要因により、特別に重要な対象や地域、または5つ以上の市(区域)、郡を包括する地域が、厳重な人命および財産被害を受け、国家的な非常措置をとるべき場合である。

  2. 1級災害は、災害性自然現象や、その他の要因により、道(直轄市)の中で2つ以上の市(区域)、郡を包括する地域が、厳重な人命および財産被害を受け、道(直轄市)的な非常措置をとるべき場合である。

  3. 2級災害は、災害性自然現象や、その他の要因により、市(区域)、郡の中で2つ以上の里、洞を包括する地域が被害を受け、市(区域)、郡的な非常措置をとるべき場合である。

  4. 3級災害は、災害性自然現象や、その他の要因により、1つの里、洞を包括する地域、または個別の機関、企業所、団体が被害を受け、当該地域、または機関、企業所、団体において非常措置をとるべき場合である。

第4条(非常設災害防止対策委員会の組織)

国家は、災害防止および救助、復旧事業を統一的に掌握、指導するために、国家非常設災害防止対策委員会と、道(直轄市)、市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会、部門非常設災害防止対策委員会を組織する。
国家非常設災害防止対策委員会は、内閣総理を委員長とし、委員会、省をはじめとする中央機関、人民武力機関、国家保衛機関、人民保安機関、検察機関、勤労団体の責任活動家により構成する。
道(直轄市)、市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会は、道(直轄市)、市(区域)、郡人民委員会委員長を委員長とし、地域内の機関、企業所、団体、武力機関、保衛機関、社会安全機関、勤労団体の責任活動家により構成し、国家非常設災害防止対策委員会の統一的な指揮に服従する。
部門非常設災害防止対策委員会は、機関、企業所、団体別に組織する非常設委員会として、当該単位の責任活動家を委員長とし、必要な活動家により構成し、国家非常設災害防止対策委員会、当該地域非常設災害防止対策委員会の統一的な指揮に服従する。
国家非常設災害防止対策委員会事業の実務保障は中央災害管理事業指導機関が、道(直轄市)、市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会の実務保障は当該地域の災害防止事業指導機関が、部門非常設災害防止対策委員会事業の実務保障は機関、企業所、団体の災害管理事業を担当する部署、または活動家が行う。

第5条(災害防止事業の基本原則)

災害危険対象を抜かりなく掌握し、防止対策を事前に立てることは、災害防止事業の基本要求である。
国家は、災害防止事業に対する投資を体系的に増やし、治山治水事業を展望性を持って計画的に行い、洪水、暴雨、台風などの災害性自然現象や、その他の要因により被害が発生しうる対象に対する被害防止対策を、事前に抜け目なく立てていくようにする。

第6条(非常災害危機対応および災害救助、復旧原則)

国家は、非常災害危機対応体系を整然と築き、災害危機発生時、必要な人的、物的、技術的潜在力を総動員し、即時的かつ効果的な救助と復旧を行うようにする。

第7条(災害と関連した知識普及原則)

国家は、各種の災害に対処するための教育を実用的に行い、新聞、放送、出版物、コンピュータ網、移動通信網を通じ、災害を引き起こす自然現象や、その他の要因、災害防止、非常災害危機対応、災害発生時の行動秩序、一次救急治療法など、必要な知識、または常識を人民に広く知らせるようにする。

第8条(科学研究および専門家養成原則)

国家は、災害防止および救助、復旧と関連した科学研究事業を強化し、この部門の科学者、技術者、専門家を展望性を持って養成するようにする。

第9条(災害と関連した交流と協調強化原則)

国家は、災害防止および救助、復旧事業と関連し、他国、国際機構との交流と協調を強化するようにする。

第10条(法の適用対象)

この法は、機関、企業所、団体と公民、わが国にある他国および国際機構代表機関と外国投資企業、外国人に対して適用する。

第11条(他の法との関係)

山火事、火災事故、爆発事故、労働災害、海難事故、交通事故などの要因により発生した被害に対処する救助、復旧秩序は、当該法規に依る。ただし、規模が非常に大きく、状況が厳重な被害に対処する救助、復旧秩序は、この法に依る。

第2章 災害防止

第12条(災害防止戦略の作成)

中央災害管理事業指導機関は、国家の災害防止および救助、復旧政策に基づき、災害防止、災害危機対応、災害救助および復旧のための総的目標と段階別目標、実行方途を示した国家災害防止戦略を作成しなければならない。
国家災害防止戦略は、国家非常設災害防止対策委員会の審議、承認を受ける。

第13条(地域別、または部門別計画作成および実行)

地方人民委員会と当該機関、企業所、団体は、国家災害防止戦略に基づき、管轄地域、自単位の災害防止計画を立て、誠実に実行しなければならない。
地域別、または部門別災害防止計画は、当該非常設災害防止対策委員会の審議、承認を受ける。

第14条(国家災害防止戦略および災害防止計画に反映すべき事項)

国家災害防止戦略と地域別、部門別災害防止計画に反映すべき事項は、次のとおりである。

  1. 国家的に重要な意義を持つ地域、対象に対し、展望的に、または緊急に遂行しなければならない災害防止および救助、復旧対策

  2. 梅雨の期間、河川、貯水池における水管理を統一的かつ科学的に、迅速に遂行するための、国家的、部門別、地域別の水管理指揮システムの樹立およびその運営対策

  3. 貯水池下流地域、暴雨時に水の流れが形成される地域、山崩れ発生危険地域、堰堤、河川堤防、海岸防潮堤、防波堤をはじめとする災害発生危険地域や対象に対する調査、掌握および予防対策

  4. 洪水、暴雨、台風、高潮、山火事、山崩れ、地震、火山活動などの災害性自然現象に対する観測および予報、警報体系の樹立

  5. 各種の災害の形態と危険性レベルに応じた人員と物資の退避および疎開対策

  6. 非常災害物資の造成と保管管理および供給対策

  7. その他必要事項
    国家災害防止戦略と地域別、部門別災害防止計画は、当該地域、または部門の人的および物的対象や気候などが変化するのにあわせて変更できる。この場合、当該機関の承認を再度受ける。

第15条(災害危険対象の掌握および退治)

地方人民委員会と当該機関、企業所、団体は、貯水池下流浸水区域や、暴雨時に水の流れが形成される地域、山崩れ発生危険地域などの災害危険地域や、住宅、堤防、堰堤、防波堤、海岸防潮堤をはじめとする施設物、構造物が、設計基準許容限界に達せず、災害性自然現象や、その他の要因による被害を受ける危険を造成している対象を抜かりなく掌握し、危険をなくすための事業を、人民経済計画と国土建設総計画に反映し、年次別に、計画的に行わなければならない。

第16条(水管理における機能性確保)

水管理における機能性確保は、洪水被害を防止するための重要な事業である。
国家非常設災害防止対策委員会と道(直轄市)非常設災害防止対策委員会は、国土環境保護部門、農業部門、閘門管理部門など、水管理に関係する機関、企業所、団体の水管理事業を統一的に指導する体系を立て、水管理指揮において科学性、迅速性を保障しなければならない。

第17条(災害防止事業条件の保障)

気象水文機関、地震観測機関、科学研究機関と、当該機関、企業所、団体は、国家災害防止戦略と、地域別、または部門別災害防止計画作成に必要な資料を、適時に保障しなければならない。
国家計画機関と労働行政機関、財政銀行機関をはじめとする当該機関は、災害防止に必要な労力と設備、資金などの星用と関連した計画を正確にすり合わせ、責任を持って保障しなければならない。

第18条(災害危険地域における建設禁止)

機関、企業所、団体は、災害危険地域において勝手に、住宅、公共建物、施設物を建設したり、農作物を栽培したりするような行為をしてはならない。
地方人民委員会と当該機関、企業所、団体は、災害危険地域に住宅、公共建物などを建設せず、水陸線に近い住民の住宅、公共建物をはじめとして、災害危険地域にある対象に対する安全性を検討、考慮しながら、安全地域へ移すための事業を、展望性を持って計画的に行わなければならない。

第19条(災害防止対策状況に対する掌握)

中央災害管理事業指導機関は、地方人民委員会と当該機関、企業所、団体において、災害防止計画を立てた状況を定期的に了解し、該当する対策を立てなければならない。

第20条(災害防止対策状況総和)

各級非常設災害防止対策委員会は、災害防止対策を立てた状況を、季節ごとに定期的に総和、対策しなければならない。

第3章 災害性自然現象に対する観測と警報

第21条(災害性自然現象観測において守るべき要求)

災害性自然現象に対する観測は、気象状態や河川、貯水池の水位と水量状態、海洋状態の変化、地殻運動過程を、連続的に監視、測定し、災害性自然現象を予報するための基礎資料を得る、重要な事業である。
気象水文機関、地震観測機関は、洪水、暴雨、干ばつ、台風、高潮、暴雪、ひょう、地震、火山などの災害性自然現象に対する監視、測定および予報において、科学性と迅速正確性を保障しなければならない。

第22条(観測の区分と方法)

自然災害に対する観測は、観測対象により気象、水門、海洋観測と、地震および火山活動に対する観測に、観測方法により専門観測と群衆監視に区分する。
専門観測は、気象水門機関と地震観測機関が観測機材により行い、群衆監視は、当該機関、企業所、団体が一定の地域単位に設定した監視哨所を通じ、河川や貯水池の水位、山火事、動物の動き、地下水の変化などの異常自然現象を監視、記録する方法により行う。

第23条(観測および情報通信網の構成)

中央気象水文指導機関および中央地震観測機関、当該機関は、必要な場所に観測所を設置し、情報通信手段により接続し、災害性自然現象に対する国家的な観測および警報通信網を形成しなければならない。

第24条(観測資料の報告)

気象水文機関、地震観測機関は、観測を中断したり欠測したりせず、観測した資料をリアルタイムで体系的に記録しなければならない。
観測資料は、中央災害管理事業指導機関と当該機関、地方人民委員会に適時に報告、伝送しなければならない。
機関、企業所、団体、公民は、被害を引き起こす異常自然現象を発見した場合、遅滞なく当該機関に知らせなければならない。

第25条(災害危険地域と災害危険対象に対する観測)

中央災害管理事業指導機関と当該中央機関、地方人民委員会は、災害性自然現象が予見される場合、気象水文機関と地震観測機関に災害危険地域、または対象を適時に知らせ、当該地域と対象に及ぼす可能性のある災害性自然現象に対する観測を特別に強化するようにしなければならない。

第26条(災害性自然現象に対する予報、または警報)

気象水文機関、地震観測機関は、災害性自然現象が予見される場合、適時にそれに対する予報、または警報を出し、中央災害管理事業指導機関に通報しなければならない。この場合、災害性自然現象の類型と強さ、特性などを具体的に明らかにしなければならない。
中央災害管理事業指導機関は、当該中央機関、地方人民委員会、人民保安機関に災害性自然現象に対する予報、または警報を迅速に通報し、国家非常設災害防止対策委員会に報告しなければならない。

第27条(災害性自然現象に対する警報伝達)

災害性自然現象に対する警報は、国家警報伝達体系によるあらゆる手段を通じて行う。
出版報道機関と逓信機関は、災害性自然現象に対する警報内容を、放送、新聞をはじめとする出版報道手段、通信技術手段を通じ、機関、企業所、団体と公民に適時に知らせなければならない。

第28条(災害危険地域に対する非常通報)

中央災害管理事業指導機関は、非常通報体系を築き、災害の危険が予見される場合、当該地域の非常設災害防止対策委員会に即時に通報しなければならない。
通報を受けた当該非常設災害防止対策委員会は、地域内のあらゆる機関、企業所、団体に通報し、必要な対策を立てるようにしなければならない。

第4章 非常災害危機対応

第29条(非常災害危機対応の定義)

非常災害危機対応は、災害性自然現象、またはその他の要因により災害の危険が造成された場合、国家の安全と人民の生命安全、国家と社会協同団体、公民の財産を保護するために取る、先制的で能動的な対応事業である。

第30条(非常災害危機対応のための事前準備)

国家非常設災害防止対策委員会と当該災害防止対策委員会は、災害発生時の機関、企業所、団体と公民の退避場所、設備および資材疎開場所と移動経路をあらかじめ定め、退避および疎開訓練を計画的に組織しなければならない。
機関、企業所、団体は、災害性自然現象が予見される時期、災害予報、または警報に従い、いつでも災害危機に対応できるよう、非常連絡網体系を築き、必要な救助人員と救助設備を準備および待機状態に置き、災害性自然現象に伴う一次退避および疎開場所をあらかじめ選定し、退避、疎開略図を作成、掲示しなければならない。
退避指揮は、地方人民委員会、社会安全機関と当該機関が行い、機関、企業所、団体と公民は、退避指揮に服従しなければならない。

第31条(非常災害危機対応案の作成、審議、批准)

中央災害管理事業指導機関と当該機関、地方人民委員会は、災害性自然現象に伴う非常災害危機対応案を作成しなければならない。
非常災害危機対応案には、災害危機発生時に、人的、物的、技術的潜在力の動員および指揮体系、人員の退避および行動秩序、設備、資材の疎開秩序、被害状況の掌握と通報体系、救助隊、救護隊の組織および任務、被害地域人民の生活安全と救護物資保障対策などを反映する。
非常災害危機対応案は、当該非常設災害防止対策委員会の審議、批准を受ける。

第32条(非常災害危機状態の宣布)

国家非常設災害防止対策委員会は、災害性自然現象や、その他の要因により、特級災害が発生する危険が造成された場合、即時に非常災害危機状態を宣布し、それに該当する対策を立てなければならない。
道(直轄市)、市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会と部門非常設災害防止対策委員会は、災害性自然現象や、その他の要因により、1級、または2級、3級災害が発生する危険が造成された場合、国家非常設災害防止対策委員会の指示に従い、当該地域、または自単位の非常災害危機状態を宣布し、それに該当する対策を立てなければならない。

第33条(非常災害危機対応期間の非常設災害防止対策委員会の地位)

非常災害危機対応期間、非常設災害防止対策委員会は、あらゆる機関、企業所、団体に対する統一的な非常災害危機対応指揮を行う。
非常災害危機対応期間、各級非常設災害防止対策委員会の事業を保障するために、中央と道(直轄市)、市(区域)、郡非常災害危機対応指揮部を組織する。

第34条(非常災害危機対応期間の国家非常設災害防止対策委員会の任務と権限)

非常災害危機対応期間、国家非常設災害防止対策委員会は、次のような任務と権限を持つ。

  1. 非常災害危機対応、災害救助および復旧事業を統一的に指揮する。

  2. 災害性自然現象に対する観測と予報および警報体系をより厳格に築き、非常災害危機に対応するための、先制的で能動的なあらゆる措置をとる。

  3. 被害を受ける可能性のある対象と要素を抜かりなく探し出し、それらを退治するための事業を組織および動員対策を立てる。

  4. 発電用貯水池、灌漑用貯水池、河川に対するリアルタイム通報体系と、統一的で能動的な指揮の実現のための指揮通信体系を築く。

  5. 武力機関をはじめとするあらゆる単位と連携作戦を実施するための対策を立てる。

  6. 社会と武力、軍需単位をはじめとするあらゆる単位において、掌握通報体系を整然と築く。

  7. 人民の生命安全と、国家および社会協同団体、公民の財産を保護するために、疎開および退避をはじめとする安全対策を立てる。

  8. 災害発生時、被害状況を正確に掌握し、災害等級を定め、それに伴う対策を立てる。

  9. 非常災害危機対応、災害救助および復旧事業と関連する指示や事業指導書、技術指導書を作成し、機関、企業所、団体に示達し、その執行状況を掌握、統制する。

  10. 非常災害危機対応、災害救助および復旧に必要な力量と手段、物資の緊急動員措置をとる。

  11. 災害発生地域、または災害危険地域を遮断したり、人員と物資の流動を遮断、または制限したりする。

  12. 社会的安全と秩序を維持するための対策を立てる。

  13. 必要に応じ、災害危険のある地域、または単位の人員、設備、物資を退避させたり、営業を中止させたりする。

  14. 道(直轄市)、市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会、部門非常設災害防止対策委員会の事業を統一的に指導する。

  15. この他に、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業と関連して提起されるあらゆる対策を立てる。

第35条(非常災害危機対応期間の道、市、郡、または部門非常設災害防止対策委員会の任務と権限)

非常災害危機対応期間、道(直轄市)、市(区域)、郡、または部門非常設災害防止対策委員会は、国家非常設災害防止対策委員会の統一的な指導のもとに、管轄地域、または自単位の非常災害危機対応、災害救助および復旧事業を組織、執行する。

第36条(非常災害危機対応期間の機関、企業所、団体の任務)

非常災害危機対応期間、機関、企業所、団体は、次のような任務を遂行する。

  1. 機関、企業所、団体は、国家非常設災害防止対策委員会の統一的な指揮に無条件で絶対服従し、提起される問題を当該非常設災害防止対策委員会に適時に報告しなければならない。

  2. 各級非常設災害防止対策委員会は、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業状況を毎日総和し、必要な組織事業を行い、現れた偏向を適時に掌握、対策しなければならない。

  3. 機関、企業所、団体は、自単位の災害危険要素を抜かりなく見つけ、徹底した安全対策を立てなければならない。

  4. 機関、企業所、団体は、非常設災害防止対策委員会において組織するのに従い、非常災害対応、災害救助および復旧に必要な人員、設備、物資を適時に保障しなければならない。

  5. 情報化機関、逓信機関をはじめとする当該機関は、非常災害危機対応、災害救助および復旧と関連する指揮の情報化を責任をもって保障しなければならない。

  6. 地方人民委員会と国家保衛機関、人民保安機関、検察機関は、災害発生時、民心と人民生活を安定させるための対策を立てなければならない。

  7. 省、中央機関、地方人民委員会は、災害発生時、電気と食料、副食物、燃料、飲料水などを、責任をもって保障しなければならない。

  8. 地方人民委員会と教育機関は、災害発生時、学生の学業を中断なく保障するための対策を立てなければならない。

  9. 地方人民委員会と医療機関は、災害発生時、伝染病が発生しないようにするための対策を立てなければならない。

  10. 当該機関、企業所、団体は、災害に対処する緊急救助隊を組織し、貨物車、クレーン車、消防車、ブルドーザ、救急車、救急治療設備、医薬品などの、救助活動に必要な設備、物資を備えなければならない。

  11. 国家保衛機関、人民保安機関、検察機関をはじめとする当該機関は、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に対する法的監視を強化しなければならない。

第37条(非常災害危機対応期間の機関、企業所、団体、公民および外国人の義務)

非常災害危機対応期間、機関、企業所、団体、公民および外国人は、非常災害危機対応、災害救助および復旧のための、非常設災害防止対策委員会がとるすべての措置に、絶対服従しなければならない。

第38条(非常災害危機状態の解除)

非常災害危機状態は、国家非常設災害防止対策委員会と当該非常設災害防止対策委員会の指示に従い、解除される。

第5章 災害救助および復旧

第39条(災害等級に応じた救助および復旧)

災害発生時、救助および復旧は次のような原則で行う。

  1. 特級災害が発生した場合には、国家非常設災害防止対策委員会の指揮により、国家的な力量と手段を動員して災害救助および復旧を行う。

  2. 1級災害が発生した場合には、当該の道(直轄市)非常設災害防止対策委員会の指揮により、道(直轄市)的な力量と手段を動員して災害救助および復旧を行う。

  3. 2級災害が発生した場合には、当該の市(区域)、郡非常設災害防止対策委員会の指揮により、市(区域)、郡的な力量と手段を動員して災害救助および復旧を行う。

  4. 3級災害が発生した場合には、部門非常設災害防止対策委員会の指揮により、機関、企業所、団体の力量と手段を動員して災害救助および復旧を行う。

第40条(災害救助および復旧の協力)

国家非常設災害防止対策委員会は、必要に応じ、1級、または2級、3級災害発生時、災害救助および復旧事業に、他の道(直轄市)、市(区域)、郡や、機関、企業所、団体の力量と手段を動員させることができる。

第41条(災害発生時の救助および復旧措置)

各級非常設災害防止対策委員会は、次のような災害救助および復旧措置を取らなければならない。

  1. 崩れた建物、構造物に敷かれたり、閉じ込められたり、危険な状態にあったりする人員を最優先かつ迅速に救助するための措置

  2. 負傷者治療と搬送および緊急医療措置

  3. 破壊された堰堤、堤防、住宅、道路や橋、鉄道、電力、通信、上下水道などの重要施設、建物の迅速な回復措置

  4. 災害地域住民に対する安全地帯疎開と食糧、水、被服、寝具類、臨時居住地保障などの生活条件の保障措置

  5. 死亡者処理、伝染病予防などの衛生防疫措置

  6. 洪水、大雨、台風、高潮、地震、火山活動などの災害性自然現象によって発生する可能性がある、火災、爆発、山崩れ、崩壊、有毒性、または放射性物質の流出などの2次被害を防ぐための措置

  7. 災害地域において社会秩序を立てるための措置

  8. この他の必要な措置

第42条(災害復旧において順序の保障)

災害復旧は、被害を受けた道路や橋、鉄道、電力網、上下水道網、通信網、病院、住宅、学校、託児所、幼稚園など、重要対象から先に行う原則で、復旧規模と順序を合理的に定めて行う。この場合、復旧対象の設計を先行させる。
当該年度に復旧できなかった対象は、翌年の建設および大保守計画にすり合わせ、抜かりなく復旧させる。

第43条(2次被害発生時の安全対策)

災害救助事業に参加する機関、企業所、団体は、有毒性、または放射性物質などが流出するような2次被害が発生した場合、人民保安機関の指揮により安全対策を厳しく立てて、救助事業を行わなければならない。

第44条(災害地域の出入禁止、または制限と障害物、危険対象除去)

人民保安機関および当該機関は、非常設災害防止対策委員会の指示により、災害発生地域を遮断し、災害救助成員および救助手段を除く、その他の人員および運輸手段の、災害地域への出入りを禁止、または制限し、災害救助事業の障害となったり、救助成員の安全に危険を与える施設物、設備などを適時に除去するための措置を取らなければならない。

第45条(災害救助および復旧参加義務)

機関、企業所、団体と公民は、災害が発生した場合、非常設災害防止対策委員会の統一的な指揮に従い、災害救助および復旧事業に義務的に参加しなければならない。
災害救助および復旧事業の分担を受けた機関、企業所、団体は、必要な設計と労力、設備、物資を適時に保障し、災害救助および復旧任務を迅速に遂行しなければならない。

第46条(災害救助、復旧事業における相互協調)

災害発生時、機関、企業所、団体は、災害救助および復旧事業に関連し、互いに緊密に協調しなければならない。

第47条(災害救助事業に対する支援)

災害地域に隣接する地域の人民委員会と機関、企業所、団体は、災害地域において要求する場合、その地域の災害救助事業に必要な労力、設備、物資などを積極的に支援しなければならない。

第48条(災害救助事業条件保障)

当該機関、企業所、団体は、災害発生時、災害救助事業に必要な人員と運輸手段、電力、燃油、医薬品などを、最優先に保障しなければならない。

第49条(災害救助事業に必要な建物、設備、土地の利用)

災害救助事業を行う機関、企業所、団体は、災害地域で必要な建物や設備、土地を利用できる。
当該機関、企業所、団体は、特別な理由がない限り、災害救助事業条件を積極的に保障しなければならない。

第50条(災害救助および復旧物資の緊急動員)

国家非常設災害防止対策委員会は、必要に応じ、鉄道駅や港などに停留していたり、輸送途中にあったりする物資や、工場、企業所において生産する物資を、災害救助および復旧に緊急動員して利用できる。
当該機関、企業所、団体は、災害救助及び復旧に必要な、緊急動員させる物資を適時に保障しなければならない。

第51条(災害救助及び復旧事業に対する総和)

各級非常設災害防止対策委員会および当該機関、企業所、団体は、災害救助および復旧事業が終われば、それに対する総和を厳格に行わなければならない。この場合、資材、物資消費状況を正確に総和し、災害防止および非常災害危機対応のための改善対策を立てなければならない。

第6章 非常災害物資の造成と供給

第52条(非常災害物資の定義)

非常災害物資は、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に緊急に動員利用するために、国家が別途用意する物資である。
非常災害物資には、セメント、鋼材、燃油、板ガラス、丸太、電動機、ポンプ、電線類などの設備や、物資、食糧や医薬品、寝具類、火食器材、被服などの生活必需品が属する。

第53条(非常災害物資の造成計画)

非常災害物資の造成は、人民経済計画にすり合わせて行う。
国家計画機関と当該機関は、非常災害物資の造成計画を、定められた比率に従い、指標別に数量を明らかにし、機関、企業所、団体に示達しなければならない。

第54条(非常災害物資の造成計画実行)

非常災害物資の造成計画を受け取った機関、企業所、団体は、非常災害物資を優先的に生産保障しなければならない。
非常災害物資造成計画を受け取っていない機関、企業所、団体も、別に定めるところにより、必要な非常災害物資を自ら造成しなければならない。
災害防止及び救助、復旧のために、他国、または国際機関から取り入れた協調物資は、中央災害管理事業指導機関が登録および管理する。

第55条(非常災害物資の保管、供給及び利用)

非常災害物資を保管管理する機関、企業所、団体は、それが流失、または腐敗変質しないよう、責任をもって保管管理しなければならない。
非常災害物資は、中央災害管理事業指導機関の指示により供給したり、利用したりする。
非常災害物資を、非常災害危機対応、災害救助、復旧事業ではない、他の事業に供給したり、利用したりできない。

第56条(非常災害物資の供給順位)

非常災害物資は、災害地域の子ども、老人、障害者、女性などの脆弱な対象に対する救助事業と、国家的に重要な対象に対する非常災害危機対応、災害救助、復旧事業に優先的に供給し、その他の対象は後先を定めて供給する。

第57条(非常災害物資の輸送)

交通運輸機関は、非常災害物資を災害地域、または目的地まで適時に輸送しなければならない。

第7章 災害防止および救助、復旧事業に対する指導統制

第58条(災害防止および救助、復旧事業への指導)

災害防止および救助、復旧事業に対する指導は、内閣の統一的な指導のもとに、中央災害管理事業指導機関と地方人民委員会が行う。
中央災害管理事業指導機関と地方人民委員会は、災害防止および救助、復旧事業に対する指導体系を正しく築き、災害防止および救助、復旧事業を定期的に掌握し、指導しなければならない。
非常災害危機対応期間には、国家非常設災害防止対策委員会が国家的な非常災害危機対応、災害救助および復旧事業を統一的に指導する。

第59条(災害保険)

機関、企業所、団体と公民は、災害保険に義務的に入らなければならない。
災害保険事業は、保険法規に依る。

第60条(監督統制)

災害防止および救助、復旧事業に対する監督統制は、中央災害管理事業指導機関と地方人民委員会、当該監督統制機関が行う。
中央災害管理事業指導機関と地方人民委員会、当該監督統制機関は、国家の災害防止および救助、復旧政策執行状況を定期的に監督統制しなければならない。

第61条(行政的責任)

次の場合には、機関、企業所、団体の責任ある活動家と個別的公民に、情状に応じて行政的責任を課す。

  1. 住民の退避訓練と設備、資材の疎開訓練の実施、非常連絡網体系や退避場所と経路の準備など、災害防止のための事前準備を正しく行わず、十分に防止できる被害を負わせた場合

  2. 災害性自然現象に対する観測と警報を直ちに行わず、災害防止および非常災害危機対応を行うのに支障を与えた場合

  3. 非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に対する指揮を直ちに行わず、被害を負わせた場合

  4. 非常災害危機対応期間、非常設災害防止対策委員会の統一的な指揮に服従せず、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に支障を与えた場合

  5. 非常災害危機対応期間、機関、企業所、団体の任務を直ちに遂行せず、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に支障を与えた場合

  6. 災害復旧において、住宅、公共建物、施設物の建設設計と施工、監督を建設法規の要求通りに行わず、やっつけ仕事で行ったり、反復施工したり、建設物の質を落としたりした場合

  7. 災害救助および復旧に必要な条件保障を直ちに行わず、災害救助および復旧事業に支障を与えた場合

  8. セメント、鋼材、燃油をはじめとする非常災害物資の造成、供給秩序に背いたり、略取、または他の用途に利用するなど、非常災害物資を非法処分し、非常災害危機対応、災害救助および復旧事業に支障を与えた場合

  9. 被害発生状況や救助、復旧状況を虚偽報告し、災害救助および復旧事業に支障を与えた場合

  10. 非常災害危機対応期間、商品価格をむやみに上げたり、生活必需品の価格が上がるのを待って売らなかったりといった行為をした場合

  11. 流言飛語を広め、社会的安定を破壊し、民進を混乱させる行為をした場合この他、この法律に背き、災害防止および非常災害危機対応、災害救助、復旧事業に支障を与えた場合

第62条(刑事的責任)

この法の第61条の行為が犯罪に該当する場合、機関、企業所、団体の責任ある活動家と個別的公民に、情状に従い刑事的責任を課す。

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