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今週のマフィン(2023.10.1〜8)

10/4(水)
・ブロッコリー チェダーチーズ ホワイト&ブラックペッパー



数年前、iherbにはまった時期があって、暇をみつけてはチェックしていた。何がおもしろいって、海外のスナック。味の組み合わせが新鮮で眺めているだけで刺激的だった。
海外旅行に行ったときも、スーパーの棚をつぶさに確認して知らない味の組み合わせを徹底的に探してしまうのだけれど、その時と同じ感覚になり、暇さえあればiherbアプリ(アプリまでダウンロードしていた)を眺めていた。

そんな中で気になって買ったもののひとつが、ブロッコリー&チェダーチーズのスナック。味の組み合わせに惹かれて、これは絶対おいしい!と思いカゴに入れた。
でもいざ届いて食べてみると、なんだか思ってるのと全然違った。あまりおいしくなかった気がする。塩気が足りなくて、いまいちパンチのない、もそもそとした丸いライスパフみたいな。

「きっとこんな味だろう」と思っていたものとのギャップにはがっかりしたけれど、「きっとこんな味」という想像ができたことで買う前からワクワクさせてもらえたので、その時点でお金を払う意味はあったのかもしれない。

ブロッコリーが手に入り、蒸しながら「チェダーチーズと合わせよう」と思ったのは多分そのスナックが起源。あの時食べられなかった「こんな味」を自分で再現したかったので、マフィンにできてよかった。
私が食べたかったのは、塩気をしっかり効かせて、チェダーチーズをたっぷり感じるやつ。不完全燃焼になっていた理想の味を想像のままに作った。

ブロッコリーは旨みがたっぷりで、深い味になる。でもちょっとぼんやりしたやさしいパパ、みたいなイメージで(私はよく野菜を脳内で人に例えていることに、今書きながら気づいた)、ぬぼーっとしがちなので、キリッとしたスパイスを加えたくなる。
ブラックペッパーを生地に入れ、仕上げにホワイトペッパーも加えて引き締めた。

10/7(土)
・すずほっくりと塩




西荻窪で店をやっていた頃は、土曜の早朝に家を出て店まで歩き、そこからひたすらにマフィンを焼いていた。
予約制で14:00〜のオープンだったのだけれど、それでも早朝から焼き始めないと間に合わない。いちど焼き始めると、焼いてはオーブン、冷めたら梱包(当時は予約販売だったので全部包んでいた)の繰り返しで食事を食べる暇がない。でも朝ごはんを食べないと途中でバテるので、りんごとか蒸した芋とか、さくっと食べられる何かを持っていっていた。
吉祥寺に住んでいて、近くに自然食品店があり、冬になると農家さんの芋が外に並ぶ。小ぶりな芋で朝ごはんにちょうどよく、時々そこで買って、家で蒸して店に持っていっていた。
そんなある土曜の朝に、食べた芋が衝撃的においしくて何度も見返した。
今まで食べていた芋とは食感が違う。同じように蒸したのに、もそっとしていて、その後にしっとりする。
家で適当に蒸した芋は、いつもねっとりしているか(蒸しすぎ)、逆にガリっとしているか(火入れがいまいち)。でもそんなものだと思っていた。
でもこの芋は食感が完成されていた。例えるなら、食べると水分が欲しくなる系のスコーンに似ている。口の中の水分とられる系(いい意味で皆さんこの言葉を使っていると解釈している)。
一気にこの芋のファンになり、以来家ではこの芋ばかり買うようになった。
と、言っても私は特別芋くりかぼちゃが好きなわけではない。20代前半くらいまでは好きだったけれど、今はどちらかというと、あまり食べない。

そんな中でもこのお芋だけは必ず買う。今年もこの季節がやってきたのだと思うと嬉しい。そんな芋を使ったマフィン。

すずほっくりをシンプルに紹介したかったので、芋と塩だけのマフィンにしようと決めた。チーズやスパイスは合わせない。
でも、それだけだとひとつ食べ切るのに飽きてくる。doyoubiのマフィンは大きいから。
生地に特別な旨みが出るように、スパイスや野菜を忍び込ませた。
そして、塩も強めに入れた。すずほっくりは甘さが控えめなので、その甘さが引き立つように。

なので見た目はシンプルなマフィンだけれど、不思議と手が進むと思う。

それにしても今日はとてもお店が混んだ。鎌倉に来て最初の1ヶ月を思い出すような混雑。終盤に、列の後ろの人へ「すみません、売り切れてしまう可能性があります」とお伝えにいくときの申し訳なさといったらない。

なんでこんなに混むのだろう、と思ったけれど、やはりこのすずほっくりの効果なのかもしれない。
お芋ってやっぱりみんな好きなのだな。

・肉味噌とセロリとジンジャー

それでも、実はわたしのおすすめはこの肉味噌セロリだった。

大きなセロリの株が売っていて、これを丸ごとマフィンにしようと思った。
シンプルに味噌につけて食べたいな、と思い肉味噌を合わせることに。
居酒屋のお通しみたいなマフィン。

肉味噌は甘みをつけたくて、刻んだ玉ねぎも一緒に炒めた。
豚肉だけにしたかったのだけれど、いつものお肉屋さんに行くのが遅く、合い挽き肉しかなかった。結果肉肉しさは増したけれど、もうちょっと油をおさえてもよかったな。さっぱりさせたかったので、すりおろしたしょうがも混ぜ込んだ。

セロリは生地に入れると苦味のある不思議な味わいになる。
これが甘い肉味噌とよく合った。
葉野菜は粉に混ぜ込むことで個性が引き立つ気がする。

一日声が枯れていて、お客さんにお大事にと声をかけていただいた。
みなさん優しい。
そして私が小声だと、お客さんも無意識に小声になっていくのがちょっと面白かった。

マフィンの温め方や、これは常温で、これはぜひ温めて、など
お話したいことが山ほどあったのに、最低限しか声を使えず、寂しい。
送り出すまでがマフィン作りだなと痛感した日。


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