【書評】沢木耕太郎『凍』
本コラムが私、noteデビューです。ちょっと、ドキドキ。
小学校の頃から、読書が好きでした。数々の作品を読んできて、面白かったものは沢山あります(そういった本についても、今後投稿していければと考えます)。でも、読後数年を経てなお、印象が強く残り続ける作品はそう多くありません。その中の一冊を、まずは紹介したいと思います。
実存する著名な登山家、山野井夫妻(泰史、妙子)が2002年、ネパールとチベットにまたがる高峰、ギャチュンカン北壁にアタックした顛末を沢木耕太郎氏が綴った作品です。
内容について、「とにかく凄まじい」の一言。下山途中、何度も雪崩に遭遇しゴーグルを吹き飛ばされた泰史は、あまりの寒さの中で(眼球の表面が凍り付いた?)視界を奪われます。ほぼ垂直の氷壁に身体を張り付かせる絶望的な状況下、それでも『絶対に、生きて帰る。』との意志を失わず最善のアクションを模索し続ける二人。この作品を読み終えたとき、「人は、自分の生命にここまで執着できるんだ」と強く感じました。
なおこのときの体験は、山野井氏自身によっても『垂直の記憶』(2004年)の中で、語られています。
以上、お読み頂きまして、誠にありがとうございます。
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