水無川のほとりで

神奈川県在住の、50代既婚男性。大学院修了後、20数年間勤務した会社を数年前に早期退職…

水無川のほとりで

神奈川県在住の、50代既婚男性。大学院修了後、20数年間勤務した会社を数年前に早期退職。現在は、保有する金融資産(株式、投資信託)からのインカムゲイン(配当金、分配金)で、つつましく暮らしています。趣味は、読書。宮下奈都さん、原田マハさん、三浦しをんさんの作品が、お気に入りです。

最近の記事

【書評】岸田秀『一神教vs多神教』

今回は、ちょっと「毒」のある本を紹介します(「刺激が強い」という意味で)。 岸田秀『一神教vs多神教』(2002年) 岸田氏は心理学者で和光大学名誉教授、本書がどんな内容か紹介するため、目次を以下にリストします。 第1章 一神教は特異な宗教である 第2章 自我は宗教を必要とするか? 第3章 なぜ多神教は一神教に負けるか? 第4章 科学も一神教か? 第5章 正義はなぜ復讐するか? 第6章 一神教は戦争の宗教か? 第7章 イスラムはなぜ聖俗分離できなかったか? どうでしょ

    • 【書評】南木佳士『トラや』

      南木佳士『トラや』(2007年) 文学界に愛猫家が多いのは有名ですね。他界した愛猫をいとおしむ作品も多数ありますが、今回は医師で芥川賞作家、南木佳士氏の『トラや』に触れます。 母猫が育児(育仔?)放棄した仔猫2匹(トラ、シロと命名)を南木氏は家で飼い始めます。同時期に南木氏は鬱病に罹り、精神的に大変つらい日々を過ごします。 あるとき、南木氏は強い希死念慮から、自害を企図します。まさに事を起こさんとしたとき、二匹の仔猫からの行動で落ち着きを取り戻し、自害を踏みとどまる。

      • 【書評】久保俊治『羆撃ち』

        久保俊治『羆撃ち』(2009年) 北海道在住の猟師、久保俊治氏によるノンフィクションの体験談。この作品では、以下の二点が強く印象に残っています。 一つは、久保氏が猟師として抱いている、獲物(動物の生命)に対する畏敬の念。羆を倒した直後、以下の想いを綴っています。 (以下引用) 『嗅覚も聴覚も体力も、到底お前たちには及ばない。その及ばないことを補うために、銃を使わせてもらうが、自然の中では対等の同じ命であると思っている。俺が負けたときは、誰も山で見つけ出してくれないだろう

        • 【書評】沢木耕太郎『凍』

          本コラムが私、noteデビューです。ちょっと、ドキドキ。 小学校の頃から、読書が好きでした。数々の作品を読んできて、面白かったものは沢山あります(そういった本についても、今後投稿していければと考えます)。でも、読後数年を経てなお、印象が強く残り続ける作品はそう多くありません。その中の一冊を、まずは紹介したいと思います。 沢木耕太郎『凍』(2005年) 実存する著名な登山家、山野井夫妻(泰史、妙子)が2002年、ネパールとチベットにまたがる高峰、ギャチュンカン北壁にアタッ

        【書評】岸田秀『一神教vs多神教』