弾なしオチなし

逆噴射小説大賞の季節がやってきた。
同時に「また一つ歳をとるのか」などと思ったりもするが、何よりも気がかりなのはいい加減ネタがなくなってきたことだ。
何万文字も書くわけではないが、俺としちゃ「魅力的な出オチ」なんてものはそうそう思い浮かぶものではなく、ましてや800文字に収めろとは簡単なようでいて案外難しいものなんじゃねぇのかとすら思える。ハードルが低いのは文字数が少ない要素だけということに尽きる。
仕方ないのでうだうだネタを転がしてみるがあまり面白くない。
書きたいものを書いてもおもろくないしじゃあ狙ってみようとしてみても思いつかない。
終わりである。

しかし振り返ってみると逆噴射も随分と変わった気がする。俺が参加し始めた時の弾数は五発あり、それがあれよあれよという間に3発から2発へと減っていった。これがFPSゲームなら大層なナーフであり、批判殺到は免れ得まい。ただまあそれだけ参加者が増え、審査員の負担が大きくなったということなのだろう。それはそれで人が増えたということで喜ばしい話に思われる。
昔Phantomってゲームがあって、ギャングの親玉みたいな奴にこれでターゲット殺してこいって銃を渡されて「俺は一発で十分だぜ」と豪語して弾を一発だけもらい、その後見事にターゲットを仕損じるというギャグみたいな展開があった。そう考えると二発もらえるだけマシなのかもしれん。浦沢直樹の「Monster」でもおっさんが「必ず二発撃て」って言ってたしね。
まぐれあたりなんてのもあるしそこに期待したい。というかそこしか目がない。

まったく、この一年俺は何をしてたんだか。そう思って「去年の俺は何て言ってたっけ?」とnoteを見返してみたら公募に自作品を出すとか抜かしていたやがった。一年研鑽を積んでリベンジする云々。まあ結局は今日に至るまで忙しいを理由に逃げてきたわけであるが、ここまで怠惰だとなんというか我ながら愛おしくすらなってきた。
そもそも俺は引き出しが少なすぎる。いつも書くものは何かから逃げるか、何かと対面してバトるかしかない。もっとこう…知的な感じなのが書きたい。古川日出男の「アラビアの夜の種族」みたいなさ。でもあれを800文字に収めて引きを作れって中々難しい。アイユーブは奴隷の身分で云々、のところで終わってしまう。
そうなるとやっぱシンプルな内容の方がいい気もしてきた。例えばアメリカのド田舎でクソガキ三人が密かに親の銃を持ち出して遊んでいたらうっかり通行人を射殺してしまう、という感じのやつだ。死体を隠したはいいものの、近所のうるさいババアに見られていた、という引きは中々良さそうだ。グーニーズみたいで俺好みでもある。やっぱりガキがガキらしくないことするのは一気に非日常感が出てエモーショナルな気分になる。

さて、オチのつけ方を忘れた。逆噴射小説大賞とかいう出オチのことばっか考えてるからだ。
まあいい、これも人生だ。

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