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今こそリメイクしてほしい邦画SFの名作・迷作3本(あらすじ、ネタバレあり)

SF映画というとどうしても洋画を思いだしますが、日本にもキラリと光る(はずだった)SF映画がそれなりにあったものです。

そんな日本のSF映画から、特に今の技術でリメイクしたら見てみたいし、ヒットするんじゃないかな、というものを3つ挙げてみました。

作品を知らない若い人にも、リアルタイムで見た同世代の方にも共感いただければ幸いです。

磨けば光る、リメイク必須の邦画SFはコレだ!

ではここから、リメイクしたらきっと大ヒットする(と個人的に思っている)邦画SFを3本まとめてご紹介します。

多少のネタバレを含みますのであらかじめご了承のほどを!

1本目:ゼイラム(1991年)

まずはこの映画から。あらすじはこんな感じでした。

地球外の惑星マイス。そこから、最悪・最強と言われた生物兵器「ゼイラム」が脱走した。

ゼイラムが地球に潜伏したことを知った賞金稼ぎイリアは、相棒のAIであるボブとともに地球に降り立つ。

地球人に知られずにミッションを完遂すべく、イリアは地球上に制限時間付きの無人密閉空間「ゾーン」を作りそこへゼイラムを誘導。

ゾーンは制限時間経過後はその中のものをすべて消滅させるため、戦闘の痕跡は一切残らないはずだった。

ところが些細な偶然から、二人の地球人がそこに入り込んでしまう。

作戦の狂いと想像を超えたゼイラムの戦闘能力に押され始め、イリアたちは予想外のピンチを迎える。

ゾーン消滅が刻一刻と迫りくる中、イリアは足手まといだった地球人と協力して戦うことを決意するのだった・・・。

「牙狼(GARO)」シリーズなどで今ではすっかり有名になった雨宮慶太監督のデビュー作です。

作風はこのころから大きく変わってないなあという感じがしますね。

主人公のイリアを演じたのは森山祐子さん。

たしかデビューして間もなかったころだったらしいのですが、それが如実に現れる演技でした笑

なんというか、見ているこっちにもその緊迫感が伝わってきます。もうガッチガチ。

まあ、「イリアもボブも、地球にきて日本語を習得したばかり」という設定だったので、それに忠実に演じていたと信じましょう・・・笑。

また、この作品はわずか3,000万円という驚くべき低予算で作られたということも特筆すべきでしょう。

ですが、見ていただければお分かりのとおり、とてもそんな予算の映画には見えません。

特に秀逸なのは「ゾーン」を設定することで、出演者の数を極端に少なくしても違和感をなくしたという点。

で、浮いたお金をイリアが持つ武器や特殊効果につぎこんでいるというわけです。

VFXも当時としてはかなりクオリティが高くて、ゼイラムの最終形態までの移行はまるで「GANTZ」のぬらりひょん戦を彷彿させるものがありますので、好きな人は見ておいて損はないですよ。

ゼイラムの登場シーンではなぜかお経のようなBGMが流れ、これがまた気持ち悪さを倍増させます。

ただ何と言っても、個人的なトラウマはゼイラムが手下として使う「リリパット」の造形ですね。

ゼイラムはいろいろな生物の遺伝子を取り込んでそれを生体兵器として利用するという特殊能力があり、この「リリパット」はそこから生み出されたもの。

これがやたら気持ち悪かった・・・。

ちなみに、途中で地球人の一人に噛みついたゼイラムが、その肉片から新たなリリパットを生み出すのですが、これもまた気色悪い・・・。気になる人はぜひ見てみてください。

こんな感じで私は大好きな作品なのですが、公開当時はまったくヒットしなかったとか。

ゼイラムのみどころ】
・低予算とは思えないクリーチャーの造形
・ゼイラムの圧倒的強さと生命力
・森山祐子の迫真(?)の演技 

2本目:ガンヘッド(1989年)

さて、お次はこちら。マニアにはたまらないやつです。
あらすじはこんな感じ。

2025年、太平洋上にある無人島8JOにある巨大コンピューター「カイロン5」が人類に突如宣戦布告。

「カイロン5」鎮圧のため、人類は自動戦闘ロボット「ガンヘッド」の部隊を投入するが、カイロン5を守る「エアロボット」の前に全滅。

同時に、なぜかカイロン5は活動を停止。島は封鎖された。

13年後、カイロン5のCPUを盗むべく島に侵入したトレジャーハンター「Bバンガー」の面々は、連邦政府の研究所から超電導物質テキスメキシウムを奪った生体ロボット「バイオドロイド」の襲撃をうけ、メカニックの青年ブルックリンと、バイオドロイドを追ってきた女性レンジャー・ニムの2人のみを残し全滅。

島に生き残っていた子供セヴンとイレヴンに助けられた2人は、カイロン5がテキスメキシウムをエネルギー源に復活しようとしていることを知る。

人類滅亡を食い止めるべく、ブルックリンは残骸の中に残っていたガンヘッド507号機を有人型に改装。13年の時を経て復活したガンヘッドとともに、カイロン5とエアロボットに挑む・・・

「機動戦士ガンダム」をはじめとしたロボットもののヒットメーカーであるサンライズと、ゴジラシリーズで特撮に定評のある東宝がタッグを組み、満を持して世に送りだした日本のSF超大作。

主人公のブルックリンを演じたのは高島政宏

その他、脇にはミッキー・カーチスや斉藤洋介、果てはあの川平慈英までが出演する豪華ぶりです。

余談ですが、高島政宏はゴジラシリーズにもちょくちょく出てましたよね。

そしてとどめに、主題歌は永井真理子。当時を知る人からすれば感涙ものではないでしょうか。

日本SF界を牽引する2社がここまでやって、ヒットしないわけがない・・・はずでした。

この映画もなんというか、時代が追いついてなかったんでしょうね・・・。

まず、全編を通じてセリフは英語と日本語がぐっちゃぐちゃ。

それはそれで今にして思えばリアリティあるのですが、バブル真っただ中の日本ではあまりピンとこなかったかなあという気がします。

ストーリーものっけからどっかで聞いたような話です。

まあそこはご愛敬としても、全般を通じて説明不足、かつ突拍子もない展開が続出します。

むしろある程度ネタバレも含めて予習しないと消化不良で終わっちゃうのではないでしょうか。

たとえば、そもそもなんでカイロン5は人類に反旗を翻したのかとか、別にエアロボットさえ使えればそのまま勝てたんじゃないか、とか。

あとはせっかくの登場人物がほとんど前半で死んでしまうあたりも、なんかもったいないなあ・・・って気がします。

ロボットSFなので、肝心の見せ場はロボットの戦闘シーンなのですが、これまたちょっと残念なのは画面が暗すぎてよくわからん!というところ。

ターミネーターとかを意識したのかもしれませんが、正直何がどうなってるのかわからずイラっとするところもあったりなかったり。

戦闘シーンをCGも使ってしっかり撮りなおせば、それだけでもかなりいい仕上がりになると思うんですけどねえ。メカの造形はクオリティ高いと思うので・・・。

でもでも、それらをすべてひっくり返しておつりがくるところが一つあるんです。

それは何かというと、ガンヘッドの「生き様」

たぶんこの映画で一番の立役者は他ならぬ「ガンヘッド」というロボットそのものでしょう。
(タイトルになるくらいだから当たり前か)

2025年の作戦失敗から13年、放置されていたガンヘッド507といういわゆる隊長機がブルックリンの手により復活を遂げます。このガンヘッド507のセリフがいちいちかっこいいのです。

特に、自分自身が確率を重視するコンピューターでありながら、絶望的な状況にあっても

「確率なんてクソ喰らえでしょう?」

とブルックリンを激励する様は秀逸。

また、ガンヘッド507は最後の決戦を前に「死ぬときはスタンディングモードで」と言うのですが、これは「ひざまずいて生きるより、立ったまま死ぬ方がいい」というインカ帝国の格言から来ているものなんだそうです。

現代風にいえば「紅蓮の弓矢」みたいな思想の持ち主ですね。

イメージとしては、「ナイトライダー」のキッドに、次元大介とツェペリのおっさんを足したような感じでしょうか。

落ち込んだときに相談すべきAIナンバーワンに認定したいくらいいいヤツです。

ネタバレになるので書きませんが、最後のガンヘッド507のセリフは恥ずかしながら、ちょっと泣きそうになってしまいました笑

ガンヘッドの見どころ】
・高島政宏が若い
・川平慈英も若い
・ハマれる人はハマれる世界観
・ガンヘッドの「粋」な生き様 

3本目:首都消失(1987年)

ラストは日本SF界の大御所、小松左京による同名小説を映画化した作品です。あらすじは以下。

ある夏の日。東京は朝から霧に覆われていた。

テレビレポーターの小出まり子は、関西テレビで報道の仕事をしている恋人の田宮洋介に見送られ、大阪から新幹線に乗った。途中、同じ新幹線に北斗電機というメーカーの技術開発部長である朝倉達也も乗り合わせる。

だが、新幹線はなぜか途中の三島駅近辺で止まってしまう。

実は、東京は外界から遮断され、中に入ることも出ることもできない状態となっていたのだ。

それぞれ東京に家族のいる朝倉、まり子は不安を抱えながら、たまたま乗り合わせた朝倉の親友で自衛官の佐久間が用意した車に乗り東京方面へ向かう。

そこで目にしたのは、高さ2km、直径50kmにおよぶ霧によって閉ざされた首都の姿だった。

霧はやがて「物体O」と名付けられた。物体Oによって機能不全を起こした日本政府の隙をついて、ソ連が不穏な動きを見せる。

また、同盟国であるアメリカも、共同研究との名目で物体Oを軍事利用しようとする動きを見せていた。

事態を打開すべく緊急全国知事会議が開かれ、「物体O」への対処法が検討される中、朝倉はある計画を思いつく・・・

1987年の公開ということで、時期は上記2作品とそう変わらないのですが、キャストがやたら時代を感じさせるのは気のせいでしょうか。

主演の小出まり子役が名取裕子、朝倉達也役は渡瀬恒彦、そして田宮洋介役が山下真司。

平成生まれの人はきっと3人とも顔が思い出せないことでしょう。

とにかく全編を通じ、そこはかとない昭和感がただよう映画です。

例えばですが、非常事態とはいえ朝倉も田宮も今の人がみたら卒倒しそうな残業を平然とやってのけますし、未成年は何のためらいもなくお酒飲んじゃうしでアチャー・・・っていうシーンが散見されます。

今なら全部カットでしょうね・・・。

SFの設定としてはスティーブン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」とか「ミスト」と似ています。

なのですが、映画としてはせっかくの設定を台無しにしてしまっていると言わざるを得ません。

散々あれやこれや言ったあげく、最後は

「いち民間企業の人が思いつきで試した手段で霧に穴が開きました。でもそれが根本的な解決になったかはよくわかりません・・・」

という話なので納得感ゼロ。

しかも結局最後、霧の中に閉じ込められた人が生きているんだか死んでいるんだかもまったく明らかになりません。

一応生きてるっぽい・・ということにはなっているものの、実際には犬が一匹出てくるだけです。なんやそれ。

エンタメ路線で行くなら、この辺の味付けは絶対に欠かせないところだったと思うんですが。

ちなみにちょっと余談ですが、「ミスト」の場合は米軍が秘密裏に行っていた「アローヘッド・プロジェクト」の失敗により、異世界から霧と共にモンスターがこの世に浸出してきてしまう・・・という設定があります。

ところが首都消失の場合はその辺の事情もまったくないので、見ている方は余計取り残された感じがするんですよね。

一方で、そこが問題じゃなくて、この作品のテーマは

「外部からの脅威によって政府機能がマヒした場合、日本はどうするのか?」

ということなのだ!という見方もあります。

というか、そっちが正統な解釈でしょう。

そういったシミュレーション要素もある映画なのですが、これは今でいうとシン・ゴジラに近いものがありますね。
(原作は徹底してこっちの路線でした)

それならとことんその路線に振り切ってもよかったと思うのですが、どうもそちらも消化不良。

まり子や朝倉といった個人をミクロの視点で追った話と、国家規模の難局をどう乗りきるか?というマクロの話をうまくまとめきれなかった感がぬぐえません。

そういう意味では、同じ小松左京の原作を映画化した「日本沈没」のほうがよっぽどうまくまとまってました。

リメイクするなら、例えば佐久間にもっと役回りを与えてあげて、個人の視点と国レベルの視点をきちんとつなげるとかすればヒット作に化ける可能性もあるかな・・・という気がします。

首都消失のみどころ】
・ザ・昭和な会社員の働き方
・冷戦時代の空気感
・犬 

結論:とにかくリメイクしてほしい

長々書きましたが、結局何が言いたかったかというと、

・とにかくリメイクしてほしい
・このnoteを読んでいただいて、もし気になったら是非見てみて!

という2点です。

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