「一番に美しい感情ってなんだと思う」
彼女は射抜くように見つめる。私は彼女へ向いたまま、逃げられない、そう思った。
「そうだね、生きたいって欲求かな」
はぁ、とため息をついて、彼女は酷く茶番だという風に。
「私を見て」
恐怖だ。それは真っ直ぐで、複雑な私には眩しい。
それは常に、心を揺らし続けるものだ。
ノックを受ける両開きの扉には、鍵が22個も付いている。
総じて、狂ってる、私もお前も。
「碌な答えにならない」
「でしょうね」
不信と期待と、煮え切らない。
何度目の問答か、十を越えて、数えなくなった。