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←まえ 電車は周期的に揺れる。 全国模試を受けるために、少し遠い私立大学へ電車で向か…
アスファルトが湯気を立てそうなくらい暑苦しい八月に正気を保っていられるなんて、狂気その…
金山駅から名鉄の常滑行きへ乗って、神宮前駅で降りる。昔は小さな駅だったけれど、いつの間…
鞭もつ手で涙を 馭者はおしかくし これでは世も末だと 悲しくつぶやく * どうして、来…
それは、あの日の一年前のお話 海の向こうの水平線、曖昧に境界を塗り潰す薄雲が張った、蒸…
「ねえ、なぞなぞしない?」 佐登瑠夏、僕の婚約者はいつも急だ。 一番驚いたのは付き…
どうしてって、偶々、と答えるしか。 ねぇだから、なんにでも答えが必要なの、それは無責任なの。 友達は、世界は、なんとなくで出来てるよ。なんとなく遊んで、なんとなく食べて、なんとなく寝て、起きて、出掛けて、生きて、愛して、私、悪くないと思う。そもそも、何がいけなかったの。わからない、子どもだから、じゃなくて、教えて、ちゃんと。 v 私、普通になりたかったの、だから、貴方じゃなくて、聞いたの、先生に。先生は、大丈夫だって、お前は何にもおかしくないって。なのに、先生の家に
ダンダラダンダン、ダンダラダンダン。 小気味良いリズムに、歩を鳴らして歩く。 脳内で…
叢雲が月を覆い隠すように、私の心中は曖昧さを極めていた。紅茶に注いだシロップが、溶け残…
キーンという音が、1日鳴り止まなかった。 始めは電子機器が壊れたのかと思って、部屋中を…
「一番に美しい感情ってなんだと思う」 彼女は射抜くように見つめる。私は彼女へ向いたまま…
(本作は「命日」の外伝です、先にそちらを読むかはお任せします。ハッピー七タデイ!) 微…
「本記事は、ある人の散文(或いは詩)を元に、私が独自の解釈を交えて物語化したものです。最…
抜けるような夏の青空が、頭上に広がっている。どこまでも深い青なので、宇宙は青色をしてるんじゃないかと思った。 それを我が物顔で独り占めする伊織は、ケラケラと笑う。 「実は今日、死んできました」その顔は生命に溢れていて、僕は彼女の命日を、彼女と祝うことにした。 病院の屋上、辺りは簡素な手摺りで囲われていて、そこには何かの残骸らしきビニール紐がひらひら揺れている。周りを見ると、片手だけの軍手やコーラの空き缶といった、人の痕跡が散らばっている。 僕は手摺りの向こう、パラペ