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再建築不可物件ってどんな物件?ケースを交えながら説明

再建築不可物件とは?

建築基準法の要件を満たしておらず、建て替えができない物件のことです。

■住居を売りに出そうと思い不動産屋に行ったら「再建築不可物件だ」と言われ想定したよりもずっと安い査定額を提示された
■改築しようと思ったのに「再建築不可物件だからできない」と業者に断られてしまった
■不動産を相続したが「再建築不可物件だから売れないよ」と不動産屋から聞かされた

以上のような状況で、どのように対処すべきかわからずお困りではありませんか?

再建築不可物件は、住宅地にしばしば存在する不動産なのですが具体的にはどのような物件を指すのでしょうか?

そして、なぜ「売れない」と言われるのでしょうか?
(後ほど詳しく記載しますが、再建築不可物件であっても、売り方さえきちんと知れば売れます!)

この章では、再建築不可物件がどのようなものかについて解説していきます。

再建築不可とは何の事を指すのか

近年ニュースやテレビ番組などでもよく耳にする、目にするようになった言葉、「再建築不可」ですが、この意味は現在ある建物を壊して新たな建物を建築することができない物件のことを言います。文字通り再建築することができない物件です。何故、再建築ができないかというと建築基準法という法律が大きく関わっています。

建築基準法で定められている規定とは

■建築基準法上の道路(原則として公道などの幅員4m以上)に接していない
■建築基準法上の道路に間口が2m以上接していない

再建築不可になる土地の種類「接道義務」と言われていますが、これは災害や事故、火災などが起こった場合に避難経路の確保や緊急車両が出入りしやすいことを目的としています。東京都内においても住宅密集地などでは再建築不可の物件が今だそれなりの数で存在おり、合わせて空き家も増えている事から問題となっております。

再建築不可物件ってどんな物件?

再建築不可物件とは建築基準法の要件を満たしていないため、建て替えや増築ができない不動産のことです。

建築基準法が制定される前に建てられた物件や使用しているうちに隣家との境目などが変わり、建築基準法を満たさなくなってしまった物件など事情は様々ですが、要は現在建物が建っていること自体が「違法」の状態となっている物件です。

「違法」とは言ってもすぐに退去を命じられたり、取り壊しをしなければならなかったりするわけではありません。
再建築不可物件に住み続けたとして、罰則が課されることもありません。

また、建て替えや改築・増築は不可ですがリフォームをすることは認められています。

ただし、繰り返しになりますが、建て替えや増築が認められていないため不動産の評価としては低くなります。

逆の立場(再建築不可物件を購入する側の立場)で考えれば古い建物を取り壊して、新しい建物を建てられなかったり家族が増えたから増築したりしようと思ってもできない不動産はやっぱり使い勝手が悪いですよね?

そのような事情から、再建築不可物件は「売れにくい」と言われてしまう訳あり物件として知られているのです。

リフォームと改築の違い

再建築不可物件で認められている「リフォーム」と認められていない「改築」とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

広い意味での「リフォーム」は、住居の改築や改装のことなので「改築」もリフォームの一部ともいえますが狭い意味では、部分的な改築や改装のことを指します。

ここでは違いを分かりやすくするために、それぞれの具体例を紹介します。

再建築不可では認められない改築

■柱や骨組み・建物の基礎などの組み換えを伴うリフォーム
■2階建ての建物に3階部分を付け足す工事
■敷地内に新らしい建物を増やす工事


再建築不可でも認められるリフォーム工事

■内装工事
■建物の基礎や柱を残したフルリフォーム
■ベランダやバルコニーの設置
■バリアフリー対応にするための工事

※ただし、これらの「リフォーム可」の工事内容でも工事の内容や物件の状態によってできないケースがあるのでリフォーム業者に相談してから判断しましょう。 再建築不可のリフォーム意外と知らない問題点

再建築不可物件の調べ方

「再建築不可物件だ」と急に言われても困るから事前に調べる方法はないの? かなり古い家だから、建て替えができないのなら先に教えてほしいとの疑問や不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

ご自身の住宅が再建築不可物件であるかどうかは自治体の役所の窓口に行けば簡単に調べられるので、その点はご安心ください。 なぜ再建築不可物件になっているのか? という「理由」についても、同時に調べることができます。この時必要書類としては、物件の場所が分かる地図のみでOKです。

ただし、役所では再建築不可であることと、その理由までは教えてくれますが どうすれば売れるのか? 損をしないためにはどうしたらよいのか? といったところまでは基本的には教えてくれません。
あくまで現状の確認ができるのみ、であることをあらかじめ理解しておきましょう。

再建築不可の主な原因|接道義務とは?

再建築不可物件の理由は、実はそれほど多くのパターンがあるわけではなく要因の大半は「接道義務違反」です。 接道義務違反とは 「原則として、幅4m以上の建築基準法上の道路に、住居の間口が2m以上接していること」という要件を満たしていないことを指します。

語句の定義だと少し堅苦しくて分かりづらいと思いますので接道義務違反の4つのパターンを具体的に紹介します。

接道義務違反の4つのパターン

旗竿地(はたざおち)
旗竿地 分譲住宅地などで今も良く見られる旗竿地(はたざおち)とは奥まった部分に住居があり、道路と敷地との接する部分が、通路上に狭くなっている物件のことです。

竿付きの旗のような形状をしていることから「旗竿地」といわれます。
※「延長敷地」と呼ばれることもあります。

旗竿地自体は接道義務違反に当たりませんが道路と接している面の幅が2m以下の場合には、接道義務違反にあたります。

暗渠(あんきょ)
暗渠とは、かつては川(水路)だった箇所にフタをして作られた道のことです。
一見、道路と何ら変わりありませんが、建築基準法上の「道路」とは認められていないため

暗渠に面した物件は、再建築不可物件になってしまいます。

袋地(ふくろち)
袋地 袋地とは、周囲を住宅に囲まれていて、公道にも私道にも一切面していない住宅のことです。

袋地の場合、自宅に入るためには必ず他人(囲繞地)の敷地を通らなくてはなりません(囲繞地通行権)。
原則として、他人の敷地を通行する対価として通行料を支払う義務があります。

面している道路の幅が4m以下
原則として、住居は幅4m以上の道路と接していなければなりません。

従って、住宅に面している道路が4m以下(地域によっては6m以下)の場合は間口が2m以上面していても「接道義務違反」になってしまいます。

◆新宿区や足立区では一部の特例があり
東京の新宿区や足立区では、自治体独自の規定として接道義務に関する特例があります。
新宿区では間口1.5m以上、足立区では間口1.8m以上あれば、接道義務は問題なしとされますが避難通路などの確保が必要となります。

よくあるケース① 
現在の建物の建築当時、建築確認申請という行政手続きを行わず、建物を建築していた。(無許可建築)
建築物を建築する際、建築確認申請という行政に対して建築基準法等法令に従って、どのような敷地にどのような建物を建築するのか、という書類を提出し、行政より許認可を受ける必要があります。再建築不可物件は、この建築基準法に定める接道義務を満たしていないので、この許認可を得られません。いわゆる無許可で建物を建ててしまった違反建築ということです。

よくあるケース②
建物建築後、接道義務を無視して敷地分割をしてしまった。
現在の建物を建築後、接道義務を確認せずに敷地分割をしてしまい、現在の建物の敷地が接道義務を満たさなくなってしまったケースです。敷地分割をした道路側の土地を含めて一つの敷地(建築敷地)とし、新たに建替え(再建築)することは可能ですが、敷地分割をした道路側の土地を第三者に売却していた場合、現在の建物の敷地で再建築することはできません。

よくあるケース③
現在の建物の建築時に、事実と異なる申請をしていた。
現在の建物の建築確認申請時において、接道が2m以上ないにも関わらず、2m以上接道しているように申請を行っていたり、他人の土地を跨いで建築確認申請を行っていたり、事実と異なる内容により、建築確認申請を行っていたケースです。今と比べ、建築確認申請に対する確認機関・検査機関が十分でなかった時代もあったようです。

よくあるケース④
現在の建物の建築当時、行政から特別な許可を得て建築を行った。
建築基準法には、但し書き許可という特別な許可が存在していました。平成30年(2018年)9月25日に法改正され、但し書き許可はなくなり、建築基準法第43条第2項2号許可となりましたが、建築当時の許可内容及び制限・条件と現在の許可内容及び制限・条件が異なるケースがあります。建築当時は許可が得られてものでも、現在の条件・制限に当てはめると許可が得られないケースがあります。

どうして建築基準法で接道義務が定められたの?

再建築不可に設定されてしまうと、物件が売れにくくなり運用も難しくなることから「なぜ接道義務が定められたの?」

と不満を感じられるのではないかと思います。

確かに、土地があるのに建物を取り壊して自由に建物を建てられないのは売る側にとっても購入する側にとっても「困ったこと」になる場合が多いですよね。

しかし、接道義務が定められているのは安全性を確保するためです。

接道義務違反の物件は、日常生活を送るには問題ないように思えても火災や震災の際に、避難経路が確保できなかったり道路を車が通行できなかったりするなどの、問題が生じる可能性があるからです。


再建築不可物件のメリット・デメリット

ここまでお伝えした内容から、再建築不可物件がだいたいどのような物件なのか、イメージしていただけたでしょうか?

この章では、再建築不可物件の特徴を踏まえてどのようなメリット・デメリットがあるのかについて、解説していきたいと思います。

メリット・デメリットを知ることで物件をどのように扱うかの方向性も決まってくるのではないかと思います。

再建築不可物件のメリット

再建築不可物件の主なメリットを挙げると4点です。

◆(購入者側のメリット)通常の物件よりも安く購入できる
再建築不可物件は、他の一般的な物件と比較すると評価額が安いので安く購入できる可能性が高い物件です。


◆固定資産税・都市計画税が安い
評価額が低いため、毎年かかる固定資産税と都市計画税も安くなります。


◆リフォームすれば長く住み続けられる住居に変身する場合もある
注意したいのはリフォーム代金です。物件の状況やリフォーム業者の選び方によっては新築物件を購入できるほどの、リフォーム費用が掛かってしまうことがあります。


◆「再建築可能」に変えられる可能性がある
要件を満たして自治体に申請すれば「再建築可能」として認められ不動産価値を高められることがあります。
ただし、要件が厳しいことと専門的な対応が必要なことから専門家以外の方が対応しようとしても難しいです。

再建築不可物件のデメリット

デメリットについても紹介します。

メリットと比べると、デメリットははっきりしていて、具体的にイメージしやすいのではないかと思います。

◆建て替えができない
建て替えができないことは何よりも大きなデメリットです。
老朽化によって建物の骨組みまで損害が起こったときはもちろんですが自然災害や火事などで倒壊してしまったときでも、建て替えできません。


◆なかなか売れない
再建築不可物件は建て替えができないため、一般的な不動産のようには、なかなか売れません。
さらに再建築不可物件は、銀行の住宅ローンがおりにくく余計に売りにくくなってしまう、という面があります。

また売却ができたとしても、一般的な不動産に比べると買取額は少し安くなってしまう可能性が高いです。

◆居住する際に使い勝手が悪い
接道義務の具体的なパターンで紹介したように囲繞地(周囲を他人の敷地に囲まれた物件)や旗竿地(道路との間口が狭い物件)などは住居としての使い勝手が良くないこともあります。
例えば、日照が悪かったり、隣家との境界があいまいだったりといった事情により、居住するうえで少し不便に感じられることもあります。

不便さを解消するためにリフォームをしたり、周辺の住民の方と話し合いや調整をしたりするのが一般的です。

再建築不可物件には売却以外の選択肢はないの?

再建築不可物件の整理や運用を考える場合基本的には「早く売却すること」をおすすめしていますが売却した後で「やっぱり売らなければよかった」とならないように、売却以外に取りうる方法について確認してみましょう。

セットバックにより再建築不可を回避

セットバックとは道路の道幅を確保するために、敷地の位置を後退させることです。

敷地に面している道路幅が4m確保できていないときセットバックをすることにより道路幅を確保でき、建て替えできるようになるということです。 参考リンク:セットバックについて

セットバック以外の再建築可能にする方法

セットバック以外にも再建築不可を再建築可能にする方法がいくつかあります。これらの方法が取れれば再建築不可ではなくなるので、建物の価値は上がります。

◆隣家から土地の一部を購入する
例えば、土地の間口部分が2mにわずかに満たない時隣家から少しの土地を購入することで、再建築不可物件ではなくなる時があります。

ただし、隣家との交渉は非常に専門的で、スムーズに進むとは限りません。
交渉の進め方によっては、トラブルに発展してしまうこともあるので注意が必要です。

◆建築基準法の接道義務但し書きの適用を申請する
建築基準法の接道義務は、制定後に条件がやや緩和されました。
それが「建築基準法43条但し書き物件」です。

道路建築法上の「道路」に接していなくとも公園や広場など、十分な広さがあり安全性が確保できる土地に接している場合には例外的に、再建築が許可されるというものです。

リフォームをして住居や賃貸物件として活用する
再建築不可物件のままリフォームをして、見栄えを良くしたり暮らしやすい住居にしたりして運用する方法もあります。

しかし、リフォームや運用の際にも、いくつか懸念事項があります。

◆リフォームの懸念事項

①リフォーム業者が見つけられるか否か?
再建築不可物件のリフォームに関する知識や技術のある業者を探さなければなりません。
②リフォーム金額が予算内に抑えられるか否か
リフォームに費用が掛かりすぎると、その後売却や賃貸経営をしても、収支がマイナスになってしまいます。また、そもそも費用を捻出できないことも考えられます。
③周辺地区に住む方々の了承が得られるか否か?
再建築不可物件は、住宅が密集していることが多いので、周辺の方々の理解も重要です。
④住居としての安全性が確保できるか否か?
柱や基礎は元のものから変更できないので、耐震性などの不安が残る場合があります。


再建築不可のリフォーム意外と知らない問題点

◆賃貸運営の問題点

①集客を自身でおこなわなければならない
賃貸運営をする場合は、入居者が現れないと利益が得られません。
広告やインターネットサイトなどを使って集客しないと結局、利益があがりません。
②生活習慣として利用しづらい住居の場合、住民が入りにくい
リフォームをして建物の見栄えを良くしても、駐車場が利用できなかったり他人の敷地を通行しないと入れなかったりするような、使い勝手の悪い住居の場合、住民を見つけるのは難しいでしょう。
③後からメンテナンスに手間と費用が発生する可能性がある
特に古い物件の場合は、雨漏りや家の傾きなどの問題が後々生じる可能性があります。
費用が掛かるだけではなく、住民からのクレーム対応の手間や負担も生じてしまいます。

再建築不可物件で一番やってはいけないケース

それは再建築不可物件を更地にしてしまうのは最悪の選択です。 ・使っていないから ・建物に税金がかかっているのがもったいない などの理由から更地にすることを考えられる方が見うけられますが
いったん更地にしてしまうと、以下のデメリットがあります。 ・新しく建物を建てられない(「建て替え」になってしまうため) ・住居としての固定資産税の優遇がなくなり、固定資産税の額が上がる ・使い道がなくなり売れなくなる つまり
売ることも居住することもできない、使い道のない不動産になるにもかかわらず高い税金を払い続けなければならない、という「負の財産」になってしまうということです。

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再建築不可物件を所有するリスクは?

再建築不可物件を所有するリスクはあるのでしょうか。居住している所有者からしてみれば、建替えができないだけで、建物を利用することだけを考えた場合、再建築できる物件と比べ何ら遜色なく利用することができます。しかし、再建築不可物件は、以下のリスクがあることを知っておく必要があります。

リスク① 緊急車両が通れない可能性がある
再建築不可物件の多くは、道幅が狭かったり、建物が奥まっていたりと、消防車や救急車が通れない場所に存在しています。建築基準法で定めている道路は道幅4m以上、接道幅が2m以上というのは、交通上・防災上・安全上の観点から定められています。万が一の際に大きな影響が出る可能性があります。


リスク② 近隣トラブル
再建築不可物件には、他人の土地を通行利用しなければ自分の土地に入れない袋地が存在します。袋地の所有者は、袋地を囲む囲繞地に対し、囲繞地通行権(民法210条)という権利を有しています。しかし、人と人との問題ですので、些細なことで近隣所有者とトラブルになり、今まで通れていた道または他人の土地を通れなくなったなどのケースは少なくありません。


リスク③ 建物維持管理に多大な費用が
再建築不可物件は建替えができない為、リフォーム等を行い、建物を維持管理する必要があります。建替えができない為、内装が外装だけでなく、基礎や柱などの建物躯体の維持管理をしなければいけない可能性が高いです。


リスク④ 空き家になりやすい
再建築不可物件は、上記①~③などのリスクから、空き家になりやすいです。例えば、車が入らないから・維持管理にお金がかかるから・もっと利便性の高い場所に移り住むなど、いろいろな理由により、空き家となり、放置されるケースも多いです。空き家の状態のまま放置されると、防災上・防犯上の問題があることともに、平成27年(2015年)に施行された空家等対策特別措置法に基づく特定空き家等に指定された場合、固定資産税・都市計画税の住宅用地の特例措置の対象から除外され、税金が大幅に増額する可能性もあります。

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■お困り不動産どうする■
再建築不可物件ってどんな物件?ケースを交えながら説明
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