葬式

火事で死んだ人を、火葬場で焼き、
車に轢かれた人を、霊柩車で運ぶ。

生き埋めで死んだ人を、石の下へ閉じ込め、
火の不始末で死んだ人の鼻先を線香で炙る。

溺死した人の頭に水を掛け、
壺が祟って鉄砲で撃たれた人を、壺の中へ入れ大砲で脅かす。

葬式とは、故人のためではなく、生きている人のためのものである。

空に浮かぶ雲を見て、その形の意味するところを、自分勝手に決めるのと同じように、空に響く乾いた破裂音を聞いて、振り絞る、声も届かぬほど遠くにいる人への、別れの挨拶だと思うのも自由だし、天地開闢の音だと思うのも自由である。

皆、自分自身のために、目の前の奇妙な儀式を解釈すればよい。


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