【即売会初頒布の話】描いた絵を売れる場所があるんですか?!

どうもこんにちは。同人女れむたです。

タイトルはわたしの地元でもやっていた同人誌即売会という存在を知った時の叫びです。

そんなわけで今回は、初めて即売会で頒布するに至った経緯とその時の反省を残します。




とりあえずザックリと描き始めた経緯


自分が描き始めたのは2歳のとき。
母親が白い紙とボールペンを用意してくれて「ここにこうやって好きなもの描くんだよー」と言いながらお手本で描いてくれたのは、まるこちゃんみたいなゆるっとした可愛い女の子の絵でした。

自分の頭の中にある「かわいい女の子」というイメージを紙というスクリーンに自分の手を使って抽出することが出来ると理解した瞬間から私の人生が始まった気がします。

そこからわりとすぐに近所の同い年の子(後に同人を誘ってくる友人)もお絵描きが好きだと知り、意気投合。
今でも連絡を取り合う幼なじみになるのでした。

この後にも同人を知る高校1年生までにあれやこれやな事があったんですがそれはまたいつか。



プロじゃないのに描いた絵を売れるとこがあるってまじ?!


幼なじみとはお互いの小学校の時の転校で隣町の距離になってしまいましたが、そこまで遠い距離じゃないのでたまに親に送ってもらって遊んだり、文通したりしてました。

お互いそのときにハマってるアニメや漫画のキャラの絵を描いて「このキャラのここが好き!」とか「この巻のこのシーン泣ける!」とか今でいうツイッター(X)みたいな感覚で文章にぶつけて手紙を送り合っていた。

そんな生活を続けて数年。
お互い高校生になった年の初夏に幼なじみから運命の連絡がきます。


「同人活動やってみない?」

同人…。なんとなく知ってはいる…。あれだろ、アニ○イトとかにある薄くてくそ高い本…。なんならブッ○オフで勘違いして買ってしまったWJ系のアンソロも持ってる…。え?でもあれってプロとかが個人で描いてるやつなんでしょ?こんなまだ義務教育終わったばっかの学生も描いていいもんなの?

なんていうおそるおそるな感情を持ちつつ、その一言で興味が湧きました。
というよりこの頃のわたしは身も蓋もないことを言うとまじで金が欲しかった

今なら「同人で儲けようとするなんて間違ってる!」とかそういう意見があるのを理解してるし、そもそも儲けれるなんてサラサラ思ってないのでタイムマシンがあるならこの時の自分をぶん殴ってます。

でもこの時のわたしは「たくさんの人に自分の絵を見てもらいたい!」という承認欲求よりも「自分の絵を誰かに買ってもらえるかもしれない!」という考えでした。



理由はこの日から一年ほど前に遡ります。
どうでもいい身の上話で内容も明るいわけではないので、読みたくなかったら飛ばしてください。


もともと中〜下の上くらいの生活水準。一般よりちょい貧乏くらいの家庭でしたが、わたし個人としては紙とペンがあって絵が描けて、大好きな漫画をたまに中古で買うことが出来れば十分幸せだったので苦労したなとか我慢したなとかはあまり思わなかったです。
でもそんな生活も中3の時の両親の離婚でさらに悪化。

父親に母や弟もろとも家を追い出され、母方の実家に逃げ込みました。

ここからが地獄の始まり。

一銭ももらえない養育費。
離婚鬱と元々の身体の障害でなかなか働き口が見つからない母親。
借金を抱える祖父母。
育ち盛りの弟二人。
これから高校受験が始まる自分。

え?これ人生詰んだ?って本気で思った15になったばかりの夜。不安で不安で毎日泣きながら精神安定剤のように余ったノートの隅に絵を描いてました。

このときには高校でバイトしてお金貯めて専門学校に行きたいと思っていた夢は捨て、卒業後すぐに就職できる高校を志望。なんやかんやでなんとか高校進学しました。



という長い長い前置きになりましたが、そんなことがあったせいでこの時のわたしはチャンスだと思ったんです。

自分の絵が売れる場所があるならバイトしなくてもお金もらえるし好きな絵も描けるし一石二鳥じゃん!

活動の詳細を聞くうちにその考えにしかならなくなって、幼なじみへの返事は「やる!!!」でした。



反省点【せめて会場全体の作品傾向とかスペースの作り方くらい見とけ】


初めての同人活動は幼なじみとの合同サークルでした。
ジャンルどうしようか?と言われ、とりあえず初参加だしお互い好きなものを出そうということになりました。

で、初参加前にたまたますぐに地元の小さい同人誌即売会が開催されると知り下見。
すげー!本当に売ってる!すげー!!と感動するわたし。
ここでアホだな…と思うのは会場全体の作品傾向やスペースの作り方を把握しなかったこと。

初の同人誌即売会でテンションぶち上がってた自分は、はしゃいで感動して楽しかったー!で終わらせてしまったのです。
何しに行ったんだおめーは。

それから数ヶ月後。自分がサークル参加する初のイベントの日を迎えた。


当日わたしがスペースで出したもの

  • 色鉛筆で描いた絵をコンビニコピーして印刷したものを切って貼ったポストカード(マイナージャンル)5種 1枚10円

  • 幼なじみと合同で描いたコピー本(自分のページは鉛筆)1部200円

  • ペーパー(くっそつまんねえ内容)

  • 値札ナシ(アホ過ぎる)


結論から言うとわたしはこの初サークル参加デビューは会場には行けなかった。

本当に悔しいことに急な用事で直前に行けなくなってしまい、幼なじみに全てを託した。


用事を済ませてる間、ずっとイベントのことを考えていた。

幼なじみ、一人にしちゃって申し訳なかったな…大丈夫かな?

どれだけ買ってもらえたかな?

あんまり刷らなかったんだよな、もう全部無くなってたらどうしよう…


全部要らない心配だった。

次に会うときにいろいろ返すねーと言われて、いったいいくらになったかドキドキしながら幼なじみと約束していた日がきた。


結果は薄々分かりそうな展開だが当たり前のように売れなかった。


頒布物の反省点


ポストカード1種1枚ずつ売れたよ!と言って渡された50円。「どんな人が」とは言われなかった。幼なじみが情けで買ってくれたんだろうなとすぐに分かった。
こういう優しいとこ大好き。泣けてきそうになるのを我慢した。

ポストカードが売れなかったのは納得できた。
当時の自分なりには頑張ったけども、たとえ10円でもお金を出そうと思ってもらえるにはやっぱりクオリティは低かった。

なんなら当時のコンビニコピーの印刷技術もあまりよく無かった。
いや、コピー機のせいだけじゃないのは勿論分かってるんだけど!
でもそのコンビニコピーと自分の色鉛筆絵の相性が最悪だった。
下手な絵が余計下手に見えた。

しかもそれをハサミで切りぬいて百均で買った50枚入りのポストカード用紙に貼り付けてるようなもん誰が買うんだよ…。
そんなものを頒布しようとしたことが今思うと恥ずかし過ぎる。


値札の反省点


値札くらい…用意しろよ…。

言い訳をすると値札という概念もよく分かってなかった。
値段は自分の中で決めて設定して、欲しい人は「いくらですか?」とか聞いてくれると思ってた。

不親切過ぎる。

ちなみに会場ではどうしてたのかというと、幼なじみが代わりに型紙を切って値段書いてくれてた。
すまん…。まじですまん…。


目的に沿わなかったジャンル選定


即売会は男性向け女性向けは半々くらいでバランスはよかったと思う。
この頃はボカロが浸透してきた頃。
女性向けは銀○とかWJ系も多かったかな。

そんな中で自分の出したジャンルはただ描きたいというだけでまじでマイナー過ぎた。

「好きなものを描くから同人!」っていうのは自分ももちろん承知してる。
だが今よりネットも普及してない時代の田舎の小さな即売会。

「この人珍しい!○○で同人やってるんだ!」と、まだツイッターも無かった時代にSNSで拡散されるなんてことはなく。
作品にハマって二次創作を見たいと思った人は、ネットで検索避けされた作品をランキングとかを駆使して自力で見つけ出してた時代。
絵がめちゃくちゃ上手いならまだしも、あまりにも低い画力で「たくさん手に取ってほしい!」と思ってるのになぜこんなマイナージャンルを選んだ?と過去の自分に問い詰めたい。

ちなみにマイナージャンルで活動するのが悪いと言ってるわけじゃない。
自分も描きたい気持ちがあれば好きの情熱だけでマイナージャンルで活動することもある。
今はどんなジャンルでもSNSで活動してるとそこそこ見てもらえると思う。いい時代だ…。
わたしの目的に沿わなかったジャンル選定をしたことがこの時の反省点として残してる。



ペーパーの反省点


無料配布のペーパーすらほぼそのままの部数で戻ってきたのは泣きそうになった。
お前の絵はタダでも要らないと突きつけられたようだった。

でも今考えるとただでさえ下手くそなのに、そんな奴の落書き載せて学校生活だとか部活だとかの話を書いたよく分からんもの誰が喜ぶんだ。
(多分どこかの学祭の漫研でもらった部誌の後書きを参考にした…イ…イタ過ぎる)

幸い学校とか身バレしそうなことは書いてなかった。よかった。
いや、誰にももらわれてないんだけども。


いろんな意味で黒歴史になった合同コピー本


合同コピー本は完売した。
理由は簡単。表紙がガチの神絵だったからだ。

描いたのはわたしじゃない。
構図もイラストもタイトルロゴも全部幼なじみ。

ぶっちゃけると幼なじみはガチの学生神絵師だった。昔から上手かった。

これ本当に初の本か?ってくらいのクオリティのカラー表紙で本文ちゃんとペン入れされてて起承転結がしっかりしてるストーリー漫画。
高一でここまで上手い人は当時でも珍しかったと思う。

それに比べて自分のページの稚拙さよ。

  • ペン入れされてない(鉛筆のまま)

  • 手書き文字(別に字が上手いわけではないので読みにくい)

  • 中途半端に終わるストーリー

  • 1ページまるまる使ったつまらんあとがき(定規も引かれてないから文字ガタガタ)

幼なじみとはイラストは交換し合ってたけど、本気で描いた漫画を見るのはこれが初めてだった。

そして自分もそこそこ絵を描いてきてるだけあって、普通の人より描けてる自信があった。
井の中の蛙大海を知らずとはこのことだ。

この微妙な自信が幼なじみからの誘いをOKしてしまった元凶である。

ガチ本気の幼なじみの漫画を読んで
「え?同い年で同じくらいから絵描いて同じ頻度でお絵描きしててこんなに差ってつくもんなの?」と恐怖した。
自分の才能の無さと幼馴染の圧倒的な上手さに泣きそうになった。


正直この本を手に取ってくれた人はわたしのページなんて要らなかっただろう。金魚のフンに例えるのもおこがましい。
それくらい同じ本に載ってる漫画としてはクオリティが低すぎた。
辛すぎてしばらく自分の描いた漫画を見れなかった。


これで幼馴染の性格が悪いものならちくしょう今に見てろよと思うことも出来たが、ここまで記載したようにめちゃくちゃ優しいのである。

どこかにこの感情をぶつけたかったけども、結局ただ自分の嫉妬が醜いだけで終わりそうな気がして、心の奥底にしまいこんだ。

申し訳なさすぎてこの合同コピー本のお金は受け取れなかった気がする。
この辺の詳細はショックであまり覚えてない。



以上が即売会初頒布の記録である。

実際に頒布したポストカードやペーパーの写真を戒めのために載せようかとも思ったが、あまりにもイタくて世に出す勇気が無かった。

この黒歴史を誰にも手に取ってもらえずに済んだので、自分の墓場まで持っていこうと思う。

コピー本はどうしようもないので、もし持ってる人が居たら今すぐわたしのページを破ってシュレッターにかけてくれ。


こうして
同人女れむた(Lv.1)の爆誕である。

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