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68 - 「運命」問答

なんと正気でなんと人生に期待しない人々だろう。(W・バロウズ)

68(*67はこちら

Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 「運命」ってどう思ってるの?

Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): 運命ね。

C: 「全部決まってる」って考え方。神様には過去も現在も未来も一緒で、原因と結果に関係はなくてって。

JC: そうだな……。うん。運命ね。

C: うん。

JC: うん……運命ってのは無い。無いと思う。

C: そうなんだ。

JC: 所詮運命って神ありきの……「信仰対象になる神」ありきの考え方だよね。だから「最近の宗教」の話。運命っていうのはあんまりピンとこない。

C: 原因と結果は?

JC: 原因と結果……うぅん。その結果に辿り着く為に原因があるし、原因があるから結果がある。だから2つに1つではないと思う。

C: そう捉えると運命と限りなく近くない?

JC: 同時に進行してるわけでしょう、原因も結果も。そこにより大袈裟な表現をストーリー立てて考えていくと……まぁその人の人生は面白いのかもしれないけど。でも現実的に考えると、描き出さなきゃ描かないわけだから。「描くことが運命でした」とかさ、大袈裟に言えばそういうことになるけどさ。

C: うん。

JC: 紙置いたわけでしょう。置かなきゃ描かない。

C: 置くって決めるって決まってたかもって。

JC: それ考えてると……それ考えても置く人は置くだろうし、置かなくなる人は置かなくなる。

C: 置かなくなるって決まってたかもよ。

JC: そうそうそう。それはそう決まってるんだと思う。というか決めたんだと思う。

C: 面白いよね。私は過去も未来も動くだろうと思ってるから、あんまり運命論的な考えはないんだけど。

JC: ないんじゃん。

C: だからあえて聞いてみたんだけどね。根拠原理主義みたいな話。イップスになりそうな話だよね。出来てたことが出来なくなる。

JC: あぁ~。そうそう。イップスで群れるから危険だよってことだよね。

C: イップスで群れる?

JC: 集団の意識。集合意識だから伝染するんだよ。

C: イップス全体主義。

JC: そうそう。感染しやすい。

C: イップス感染症。流行り病の正体だ。

JC: 昔友達と何人かでゴルフしてた時……いつも同じ仲間で練習しに行ってる子たちって、一人ハマっちゃうと時間差でイップスが起こるのね。自分はみんなで行かなかったからならなかったよね。

C: 1だね。常に1じゃん。

JC: ゴルフもそういうスポーツだよね。

C: やったことない。

JC: 「なんでみんなで行くの?」って。皆で集まって絵を描いてたら……イップスあるかもね。うぅん……絵はないのかな?

C: ハラスメントはあるね。みんなが集まると必ずある。

JC: ハラスメントの無い社会というのを目指してる中にいるのに、今ハラスメントだらけ。

C: そうそうそう。

JC: これが足の引っ張り合いに見えてうんざりするんだろうなと思う。

C: こういうのは今日の哲学かもね。

JC: そうかもしれない。はははは。

C: 今日の心理学かもしれないけど。

JC: 今日の社会学かな。グローバリゼーションというのはそういう蔓延り方をしている。だからみんな自分の見て来たモノの中で「これはそうだった」「ここまではそうじゃなかった」とそれぞれが振り分けて、好きな事・知りたい事とかを選び抜かないとマズい。まずね。

C: あえてそれを言葉にするなら、

JC: 「運命」です。ははははは!

C: そうなの?

JC: そうではない。

C: 「情熱と責任」じゃない?

JC: あぁ……。うぅん……。

C: 個人の。

JC: 自分自身……うん、情熱すごく大事だね。情熱は大事。

C: 私は白けやすいから。

JC: それは自分も同じだから言ってるんだと思うけどね。情熱めちゃくちゃ大事。今起こってる事の中で「これは距離取らないと!」というのも情熱だよね。マズいぞって逃げる事も情熱だから。

C: 責任は?

JC: 責任はね……。責任は社会性を伴うから別にいいんじゃない? 無くても。

C: なくていいんだ。

JC: 責任はいらないな。

C: 責任は各自。

JC: 各自。うぅん。

C: 結局責任もいるじゃん。

JC: どういう時の責任かだよね。必要になるのは。

C: 目の前の人が困ってる時?

JC: あぁ。うん。誰かが困ってて……そこで責任感に駆られて助けに行く人ってあんまりいなくない? 行くならもっと必然的じゃないかな。

C: この間JCがベロベロでひっくり返ってたおじさんに水買って渡してあげたのとか。わたしならしない。

JC: それ責任ではないじゃん。

C: 「他者への責任」ってしちゃうと「回避」とセットになっちゃうんだろうな。やっても偽善になっちゃう。

JC: もっと衝動的。一回そこのクッションが入っちゃうと責任取りたくないから関わらないよね。

C: 情熱と衝動?

JC: 衝動でいいと思う。ワンクッションが生まれるんだったら離れればいい。

C: 情熱と……なんだっけ。情熱と咄嗟?

JC: 衝動。

C: 責任回避衝動。

JC: 責任回避責任。

C: ははははは。やっぱり情熱。今日は情熱一つにしておこう。いきなり全部は無理。

JC: 情熱を燃やせっていう。

C: 無用の情熱を燃やせ!

JC: 衝動じゃないよな、確かに。リビドーじゃない。衝動はフロイト、情熱はニーチェ……かな?

つづく


2022年7月28日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
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