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"doubt weekly" 2022/9/14(ゴダール追悼)

doubles studio weekly news
2022年9月14日収録・9月15日公開


Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 都合によりJCがオフラインのため、

Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): もうくたくた……。

C: 今週は、というか今日のトピックは「ゴダール」1つだね。

JC: ゴダールなんかあったの?

C: やっぱりオフラインだね。はははは。今日はわれらがゴダールでしょう。朝ニュース見てメモしておいた。

メモ:一切追悼したい気分にならない死に方、ウェットになっちゃだめよ

JC: あぁ。

C: スイスの安楽死システムを早速使われたみたい。

JC: どこまでシュールなんだろうな。完全に置いていかれた気分だな。

C: 「ゴダールの新作はAIだ」って、けっこう前に噂話があったよね。わたしの中ではその噂を回収するのかなくらいの……体が死んでもどっかに残ってるんだろうな。

JC: うん。

C: ウェットになっちゃ駄目。ダメージ受けそうな人いっぱいいるだろうから。強めに言っておこう。

JC: あぁ。ゴダールがどういう死に方で死のうがショックも何もないけどね。散々今まで……1本で何本分の価値があるのかという映画を観させてもらったからね。お疲れ様、という感じはあるけどね。

C: うん。スイスの最新のあれを使ったのはどう?

JC: さすがじゃないかな。

C: 新しい物好き。

JC: 新しい物。最後まで進み続けた。すごい。

C: 全然ウェットにならない。

JC: ぜんぜん。うん。

C: アンゲロプロスが死んだ時なんかは唐突だったけどね。

JC: 変な話、アンゲロプロスは日本では……あの人亡くならないと有名になれなかったというか。死をもって日本で浸透していったような気もするからね。ドゥルーズなんかもそうなのかもね。あるんだろうね、時差みたいな。

C: うぅん。

JC: うん。

C: お疲れ様でした、と。

JC: ほんとそうだね。最期まですげえなと思って……それ? はははは。最後2本は観てない。

C: 『イメージの本』『さらば、愛の言葉よ』だね。

JC: 『ソシアリスム』が最後。観たな。凄かった。

C: ハンディカムみたいなので、あれ船上パーティーのシーンだったかな。

JC: うぅん。うん。

C: 入力オーバーで音割れまくってるの、超カッコよかった。

JC: うん。

C: 逆に言うとそこしか覚えてない。ははは。そこがインパクトがありすぎて。

JC: そうかもね。結構そういうのある。あまりにもそこが凄すぎて。

C: 飛んだなぁ。

JC: うん。良い映画ってそういう気もするな。1カット1シーンみたいなのが絶対「バン!」と残ってて。他は伏線ですか、くらいのね。それがそのアーティストと重なってる人は幸運だよね。鑑賞者としてね。全然違うトコ見てる人いる。はははは。

C: そこじゃないと言えばさ、

JC: うん。

C: 『気狂いピエロ』って好き?

JC: あぁ~。もうでも長い間観てないからなぁ。

C: ゴダールすごい好きなんだけど、『気狂いピエロ』はどちらかと言うとよく分からない。

JC: そうかもね。初期の頃の作品は分かんないやつ多い。ただカッコよかったというのは……フランスってすごい、フランスってカッコいいな、というのが初期作品のイメージ。

C: 格好いいというか、ポスターの方が格好いい。

JC: そうそう。ずっとポスターが続いてる、みたいな。ストーリーのインパクトというのは……馬鹿馬鹿しいストーリーだったしね、蓋開けてみれば。

C: 代表作とされてるけど実はあんまり重視してない。ニュース的には<『気狂いピエロ』と『勝手にしやがれ』の巨匠>でしょう?

JC: ははははは! そんなことないよ。あの頃は伏線に過ぎないでしょう。序章だよね。

C: 私が好きなのは『メイド・イン・USA』と、

JC: あぁ。その辺くらいだからね。ちょっと自分は時系列は分からないけど。『中国女』『右側に気をつけろ』とか。あぁ変態だなっていう。

C: 一番好きなのは『ゴダールの決別』。

JC: 渋いね。

C: 『決別』一番好き。

JC: 大人だね。すごい大人の意見だよそれ。

C: はははは。『気狂いピエロ』よく分かんなくて『決別』好き……。好きになったきっかけは『ウイークエンド』かな。ポップで分かりやすかった。

JC: あぁ。そうかそうか。

C: 色々観た後やっぱりいいなぁと思うのは『はなればなれに』と『アルファヴィル』。

JC: うんうん。『アルファヴィル』は異色作だよね。面白かったなぁ。隠れた名作。結構引き込まれたもんね。あの映画でSFに対する苦手意識が無くなった。

C: それすごい分かる。

JC: 『アルファヴィル』ね……あんなサスペンス性のある映画それくらいじゃない? 近未来チックで。

C: そうかもね。勿論全部観たわけじゃないからね。

JC: 『メイド・イン・USA』とか凄かったな……面白すぎた。

C: しつこい感じ!

JC: そうそう。クドいのね。なんでMade In U.S.Aなのか、タイトルをずっと意識しておかないとあのクドさをクリア出来ない。くくく。

C: 分かんない分かんないって言われがちな作品。

JC: そうなの? エスプリの塊。

C: 人というのは色々だなぁと思うと、やっぱりゴダールは作品数が多いから参考になるよね。人が出る。

JC: まぁ……ちょっとその話はどうなの。一本選ぶのは無理だな、と思うけど。

C: 極めて個人的に『決別』を。

JC: やっぱり……自分の中ではゴダール1本、1回も観た事が無い人に「これ観て」って言うなら『ノートルムジーク(アワーミュージック)』だと思う。

C: 今言おうと思った。ははは。

JC: うん。あれだなと思う。

C: 間違いない。

JC: あれ観てハマらなかったらどれ観ても駄目だと思う。

C: うん。

JC: めっちゃ難しいけどね。政治の話多いし。

C: それはどうでもいいっちゃどうでもいいと言うか。そこ気にし出すとイップスなるからね。

JC: あぁ。そうそう。あの難解さに引っ掛かると、良い映画全体が観れなくなるよってことだよね。あくまでも映画は映画なんだっていう。

C: 本当に素晴らしいね。

JC: あの海岸に抜けるシーンでしょう、全ては。バッと森のシーンに切り替わる瞬間だよね。

C: 庭作業で頭打つところではない。

JC: そこも面白いけど。はははは!

C: そこじゃない。

JC: うん。

C: 今週はジャン=リュック・ゴダール追悼特集ということで。

JC: 追悼だね。

C: ありがとうございました。おやすみなさい。


2022年9月14日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)

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