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115 - 用語集⑧「月と太陽」/⑨「人間が監視カメラ化する」

「馬鹿なことを!」と、筒形花火が言う。「ロマンスは絶対に死にはしないさ。それは月のようなもので、永遠に生きつづけるのだよ。たとえば、あの花婿と花嫁は、互いに深く愛し合っている。今朝包装紙に包まれた薬莢から、お二人のことをすっかり聞いたんだよ。偶然その薬莢はぼくと同じ引出しの中にいてね、最近の宮廷の新情報に通じていたんだよ」
(『すばらしい打ち上げ花火』)

115(*114はこちら

Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 見るべきニュースがない。

Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): ないない。ないもん、Twitter見てても。

C: 用語集に戻りましょう。「月と太陽」あらためて。


doubles studio用語集⑧「月と太陽」

JC: 月と太陽。うん。なんなんだろうね。

C: ヨーロッパを中心に暖冬だったでしょう。

JC: うん。出来るんかいって。ふふふ。

C: エネルギーが無いと、これから寒いと……それが「嫌だ!」って。集合意識がそうなるとあったかくなるんでしょう。

JC: うぅん。

C: というのが太陽?

JC: 人々の思い。

C: ん! って。その総体が太陽? はははは。

JC: うぅん、まあ太陽だけじゃないと思うけど。

C: 昨日の満月凄かったね。膨れまくってた。

JC: 凄かったね。

C: 真っ赤っか。腫瘍かな、というくらい。

JC: 落ちて来るんかなって。

C: うさぎが見えた?

JC: 見えたのかな。

C: 「兎って漢字に見えた」って言ってた人いた。

JC: ははははは! 漢字になるの。はははは。へえ……。色が独特だったでしょう? 自分は線香花火の最後の方みたいに見えて、落ちるんじゃね? って。

C: 照らしてましたね。もう光量がね。

JC: 明るかった。もう神秘じゃなくなってきたよね、そういうのもね。だから困った時はそっち頼み。ホログラムだとか、遠くじゃなくてもっと近くて小さいとか……そう言ったって自然界に心の拠り所というのは見出すもので、それは凄い事だなぁと思う。なんでわざわざ海や山に行ったりするのか。

C: そうなんです。

JC: ね。不思議なことだよ。前は……何だろう。

C: インスピレーション?

JC: そうね、格好良い事だったかもね。人がいっぱいいる所が嫌とかでも、スピとかオーガニックとかでもない……凄く必然的なものになってきた。それを遠ざけるための「歴史」というスパンを考えてみると、その中を「生かされている」。うん、今の人類というのは生かされているのかなぁと。

C: ふん。

JC: 本当はみんなにとって向いてない環境を、向いていると、進化だと。それを「便利」とかいう言葉で片付けられて……。

C: コンビニでおにぎりが買えるとか?

JC: 買えるもんね……。全然いいよ? それはそれでいいんだけど、そういう事のバランスってあるんじゃないかな。

C: 自動で消毒液が出てくるとか。

JC: もうね……あれは本当にしまった方がいいって。いつまでやるんだろう? 怖いってあんなの……。「オートマチック」というのを疑わない限りは戻って来ない。

C: ざっくりフューチャーを。

JC: うん。でも、それをメインに主張してしまうと、逆に人の恐怖を煽ってしまったりね。そこに経済的価値を見出して、いい加減な事を言って幅を利かす……それも嫌なわけ。だから難しい。今みたいに先進国と言われていた国々が貧しい国になってしまった以上、オートマチックであっても、謎の自然主義であっても、どちらにしてもこの状況を加速させてしまう。対極に突っ走ってしまう。

C: うん。

JC: 今はそういう状況になってるな。

C: 妥協じゃない結節点もあるでしょう? シリコン素材の湯たんぽとか。

JC: おぉ。

C: まさに。

JC: もう春だけどね。はははは!

C: 車で何回か使ったじゃん。

JC: あれいいね。

C: あれすごいんだよ。すごい保温力、かつお湯じゃん?

JC: うん。

C: まさに科学技術と自然が……。

JC: お湯。水。ははははは。

C: これからは氷枕にもなるよ。

JC: ははは。

C: そういう感覚を求めてるところはある。科学素材を何でも拒否するわけではない。

JC: そう、そこ言わんとするところ分かるわぁ。あるんだよたまに。「これはセーフ」みたいな。「正解!」ってやつね。

C: そうなの。良い結節点があるはず。

JC: さっきの水の話と繋がるけど、そこまで「地球が弱くて繊細」みたいなさ。

C: うん。

JC: その設定は傲慢だよ。何その……一個人がどれだけ強力なエネルギーを持ってるのよ。はははは。何かを間違えてる。それは突き詰めていくと、創造性を欠いている人にしか生まれてこない発想だから。日常の中に創造性があれば分かることだと思う。

C: このままスムーズに……用語集⑨は「人間が監視カメラ化する」。

doubles studio用語集⑨「人間が監視カメラ化する」

JC: あぁ、相互監視の話。

C: マスク取るにしてもね。横見て、みんなで取りましょうじゃ……創造性を欠くゆえに。

JC: もちろん。直結だよね。

C: もう少しメモがあるけど。

JC: うん。

C: <どこか遠くの事ばかり考えて 今いる場所を忘れそうになる>

JC: あぁ……。それね、リアルに感じるのは時間軸だと思うのね。「今」という瞬間にフォーカス出来ない、出来る方が凄いという、難しい事になっちゃってる。それは単純に集中力というレベルまで掘り下げる必要もなくて、それくらいトピックとして意識しないと本当に欠陥だらけ。今がない。すごい不思議なことだよ。

C: だよね。

JC: めっちゃ分かるけどね。そういう世の中だもん。そうやって出来てる。余程「今」というものに対して興味がないと難しいかもね。

C: そういう面白さもあるでしょう? 作品に残すために山に登ってみるとか。

JC: あるよ。

C: 撮った素材を載せる方が目的で……という事を真に受けちゃう人がいるだろうな、と思うんだよね。

JC: あぁ、なるほどなるほど。

C: それはあくまでもその人の仕事で、切り取りであって。

JC: そこね、めっちゃ難しいな……。

C: 感覚的すぎる話になっちゃうけど、ある人のある一面だけを真に受けてしまえる事が、わたしにとってのメタバースだなと。

JC: あぁ、なるほどね。限りなくそれに近付いてはいるんじゃない? 本能的貪欲さみたいなものを奪うには、結構簡単なやり方だなと思う。一人一人が自分の人生を生きているわけだから、そこにあるビジョンというのは……それだと自分が見て「そこ」を見ることになるよね。そうすると自分を見られないわけで。そこに客観性をもたせるというのはある程度は大事だけど、そこにモラルとか抑圧とか、なんだろう……「加点式」みたいな脳みそが働くようでは、どんどんどんどん人間というのは……当たり前だけど、ストレスだよね?

C: うん。

JC: 単純にね。

C: とんでもないストレス。絶対足りない。

JC: すごい危険性があるよ。ああいうカルチャーもね。初めは良いとみんな思ったかもしれないけど。メタバースね……。まるで「これから始まりますよ」みたいな言われ方だけど、もうメタだからね。はははは。

つづく


2023年3月8日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
#doubles_studio_talk でトーク部分を一覧表示できます。

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