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フリーランス講座? - 1

あるフリーランス・イラストレーターへのインタビュー
聞き手:Chantrapas (doubles studio)

「小さい子が一人、砂場で、砂のお城を作っている。何度も何度も作り直している。できあがった城を見て満足したと思うと、すぐ壊してしまうんだ。時というのは、そんなふうにこの世を作り直しているんだね。こうして世の歴史が書かれる。できごとが刻まれ、消される。この砂場には、魔女の釜の中のように、生命がふつふつとたぎっている。ここで我々は形を整えられ、我々の祖先と同じように壊されて行く。時の風が我々の中に吹き込まれ、我々は風に運ばれる。だが、風は我々をばさっと落っことす。我々は魔法で出され、いかさまで消される。いつも我々はここに置かれ、発酵させられ、じっと順番を待っているんだ。我々の足の下にはしっかりした土台がない。砂さえもない。我々が砂なんだ」
 ぼくは怖くなって後ずさりしてしまった。お父さんの言葉が怖いだけでなく、言い方があまりにも真に迫っていたからだ。

『カードミステリー』

小谷夢(仮名)
フリーランスのイラストレーターとして20年以上活動
雑誌、行政、企業広告など挿絵を手掛ける


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Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): JC多忙につき……。

小谷 夢(こたに ゆめ/仮名・以下”夢”): ふぅん。

C: 代打・夢。

夢: 代打! ははははは。JCさん面白いね。

C: JCヤバいよね。

夢: doubles studio面白いよ。名前も考えてくれた。

C: 今日は小谷夢さん(仮名)で。フリーランスイラストレーター……何年目?

夢: 20年くらいしてそう。

C: 素晴らしい。立派なキャリア。

夢: 改名しようかな。

C: この先、夢ちゃんで。はははは。

夢: 使いたい名前。この間「昔から知ってます」と言ってくれた人いたよ。びっくりした。

C: 認知されてる。随分前のことだけど、夢ちゃんと知り合う前から〇ちゃんも作品は知ってたよ。「有名な人」くらいの認識。

夢: ははは。全然有名じゃない。長くやってるからかな。「名前聞いたことある」とかはたまにある。「そこにいた人」みたいな認識だった。

C: そうなんだね。今日のテーマだけど、

夢: うん。

C: 二つあって、一つ目は「美術教育の問題」。

夢: 全然ちゃんと受けてないけどね。

C: 自分史的に。

夢: うん。自分史でいいなら。

C: あとは「業界のインチキ」だよね。

夢: 業界のいんちき……ふふふ。

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