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仏と結婚した、その先。

親戚縁者一同しあわせな結婚をした者がいない。
彼らを見ながら結婚は愚かな選択だと考えるようになった。

私はいま結婚している。

愚かな選択にならないよう、細心の注意を払って条件を割り出し、相手を選んだ。
夫は私の条件をすべてパスしたがそれは一般的なものではなかったため、
周囲が夫を見て「すてきな旦那さん」とか「理想的」とかは言わない。
羨ましがられない男、という条件は私にとってなによりも大切だった。
そこを抜群にクリアしているのが夫である。
 
いわゆるいい男の隣にいることをなにより重視
している女もいることだろう。
いい男の条件については、ここでは言わない。
ただ、欲しがられるなにかをふんだんに持っていれば未婚でも既婚でも奪われる確率が高まる。
それを避けなければならなかった。

夫の籍に入る以前に私には未婚で出産した別の相手との娘がいた。
娘は目に入れても痛くない…そういう古い形容があるがまさしくそんな大切な存在。
死ぬかもしれなかった私が折れない精神を取り戻したのは娘のおかげである。
守りたい気持ちは何にも負けない。
そんな娘と浮き沈みのない生活を送るために
この社会では配偶者がいることが都合がよいと知った。
子を産んではじめてわかった。
遠い国に行ったりせずともすぐ近くに
偏見の目で見る人間がいたからだ。

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子の父親として、可能な限り長く共闘するならば他人に奪われるような魅力を振りまく男を避けなければならない。
私は10代の頃から夫を知っている。
茫洋としたタイプで淡々と暮らしていて
可もなく不可もなく、急な思い付きで行動するような人物ではないことを知っていた。
実際に同じ屋根の下で暮らしてみると
考えを擦り合わせながら協力して育児をすることができた。
互いに干渉しすぎず別々の趣味を持ち、休日は共に過ごすこともできた。
他人と暮らすなどまっぴらごめんだったが夫は私の感情を波立たせずに同居が可能な唯一の男だった。
恋をしているときはいろいろと病気のようになるが夫には恋をしていなかったため、まともに暮らすことができたのだった。

私は神経過敏で、他人の挙動が気になりすぎて心身の疲労が激しく消耗しやすい。
生まれつきもあるだろうし幼少期の家庭環境が大きく影響している。
両親が激昂しやすく姉はすぐ泣くため自分は正気を保つしかなくうまく感情を外へ出すことができなかった。
未だに吐き出し方がわからなくてここで吐いている。

夫には自分の心のもやもやを伝えたりしない。
彼の心はつるっとしている、、、というかはっきり言うと細かい機微が伝わらないから。
お互い不快だったり不便なことはすぐに相談して解決するが、もっと奥のほうの満たされないなにかなど共有できる相手ではない。
もしかしたら夫自身もそうなのかもしれない。
どちらでもいい。

すべてを配偶者で満たすことなどできないのだ。

家庭をうまく営むためには恋は邪魔だと考えていまの選択に至っている。
じりじりと恋するより最も必要なのは信頼関係だ。それを愛とか言う場合もあるだろう。
あるいは友情などと。
私の結婚はこの視点ではうまく行っている。
問題はさまざまあるが互いを尊重しているし、
愛だの嫉妬だのといったやきもきして責め合うような揉め事は一度も起きていない。

私の考えがよいかはわからないが、結婚が破綻する理由の多くは金銭感覚と愛情のもつれだと周囲の大人が見せてくれたので問題の種を排除しておいた。
大好きな相手と結婚してうまく家庭生活を営めると夢を見られるひとがうらやましくもある。
愛されて素直に育ったのだろうな、と思われる。
私は恋したり愛したら狂気の世界に住むことになるのでとてもじゃないが、まともな家庭人として生活できる自信がない。
両立は難しいと感じる。
だからいまは身の丈に合った生活をしているだけ。

ほんとのしあわせって、なんだろうね。
13回引っ越しをしてきて、常に波風が立っていた私の人生がはじめて凪いだのは結婚したから。
夫が毎日同じ行動をして、毎日家に帰ってくるから。
私は風の向くまま、なにもかも変えてきて、それでいいと思っていた。
でも、こどもはそういう子じゃない。
同じ気持ちにさせたくない。
愚かで自分勝手な私はどこかで溺れて助けを求めていたのかもしれない。

夫には毎日、ありがたいと思っている。
私たち夫婦はいつも、ありがとう、を互いに言い合っている。
結婚したのは、恋人どうしではない我々にとって当たり前の流れではなかったから。
相手に願いを委ねるのではなくて、自分を生きながら隣にいてもらえる。
これに対しての、ありがとうなんだと思う。

おもしろいこともないけれど、変わらず受け入れてくれるつるっとした仏がいる。


毎日手を合わせている本尊を捨てたら、罰があたりますか?



不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。

覗いてくれたあなた、ありがとう。

また私の12ハウスにきてくださいね。




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