フリーランスの危機感
2月下旬に新型コロナ感染拡大の影響でオーケストラ公演キャンセルのラッシュが始まり、3月8日に東京交響楽団の無観客生配信演奏会に出演させて頂いたのを最後に、オーケストラの演奏会からは4ヶ月近く遠ざかっています。現時点で室内楽などのお誘いはあるものの、オーケストラからの出演依頼はありません。
5月の段階では、「おそらく終息、或いは経済をまわすために世の中が動き始めたとしても、オーケストラはしばらく小編成、団員中心で回していかねばならないから、フリーの人間の出番は速くて年末、下手すると来年かもなあ」と考えていました。良い意味で覚悟が出来ていたというのでしょうか。
それが、ここに来て少し変わり始めました。確かにブラームスなどの交響曲でもコントラバス5本、団員のみという演奏会や、ベートーヴェンでもエキストラから削られているというところまでは想定内なのですが、中にはエキストラを使っているところもあったりして、そんな景色を目にすると「年齢的に俺はこのままエキストラとしての枠から外されるのではないか」という危機感と焦りが出てきました。まあこればかりは自分ではどうしようもないのですが、家族を養わねばならない以上、常に最悪のケースは想定しておかねばならない。
僕は指導も大好きですが、何より演奏する事が自分のライフワークだと思っていますし、例えばコントラバスコンテストなどは僕が演奏の現場で培った人脈が無ければ成立しなかったイベントだと考えています。演奏の現場から離れるという事は、そうした人との出会いの機会が失われるという事でもあります。コロナで全てが変わりつつあります。
しばらくは貯金と給付金で何とか生きていけるかもしれませんが、家族4人での生活は出費もそれなりに多い。どこかで音楽以外の仕事をしなければならなくなる事も考える必要があるかもしれません。僕は音楽でメシを食えるようになるまでに数え切れないくらいアルバイトと派遣社員を経験してきましたし、どの仕事でもリーダーや新人教育を任される立場までいったので、音楽以外の仕事をやる事に抵抗はありませんが、若い頃のように1年間通して両立出来る体力があるかどうかの自信はありません。
そして、違う仕事を始めた事で音楽業界に戻れなくなる怖さがある。実際、僕はアルバイト先や派遣先などで何度も正社員に誘われました。これまでは「音楽の道で生きていきたい」という強い想いがあったのでお断りしてきましたが、もし今お声をかけて頂いたら家族の事を考えてそちらに心が揺れてしまうかもしれない。正直、生活の事を考えると悩みはたくさんあります。
一方でレッスンは少しずつ戻ってきました。遠方の学校部活指導は未だ対面が出来ずオンラインですが、音大受験生が増えてきたこともあって、いつもより時間があるぶん、受験生たちをしっかり見てあげる事が出来ます。
来年3月のコントラバスコンテストの準備も進めています。審査員もゲストも決まりました。後は諸々クリア出来れば9月に正式発表となります。これもコロナの状況を見ながら、最悪オンライン審査といった事も視野に入れて動ねばなりません。
さらに、コントラバスに関しては新しいプロジェクトが動き始めたので、そちらも準備を進めていく必要があります。
というような事を一日に一度は考えつつ、今は運転免許を取得するため教習所通いを続けています。以前ある友人に「お前は車が無いからスタジオを頼みにくい」と言われたり、車所有が条件の演奏依頼があったりした事もあって、「この先こんなにまとまった休みがある事はないから今免許を取ろう」と緊急事態宣言が解除されてすぐに教習所を申し込みました。
ところが、通常なら閑古鳥が鳴いているはずの教習所はとんでもない混み具合で、最初にハンドルを握れるのは申し込んでから1か月後。既に第1段階の学科はほとんど終わっているのですが、技能が全く進まない状況です。ちなみに今月中旬に技能を4時間受けたら次はまた8月中旬。学科でも大量に覚えなければならない事ばかりで、いろいろと忘れてしまうのではないかと恐怖心すらありますが、まあのんびり免許を取ろうと頑張っております。
つらつらと書いてきましたが、来月の今頃自分は何を考えているのか。また、記してみようと思います。
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