3.11からの10年とモノづくり
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3.11からの10年とモノづくり

全国450の販売取扱店と200超の仕入れ先が支えているピュアボックス。もちろん東北にも各県すべてに事業パートナーがあります。
その一つ。青森の【トキワ養鶏】は農畜産業の理想である“循環型”を確立し、全国から視察を受け入れる当時の最先端農業組合法人でした。商談のご縁があり事業モデルを説明するために伺った先方の東京事務所。「人と犬が食材を分け合えば、未利用食材は無くせる」と考えをぶつけると、会議室をでた当時の組合長はその場で「今日からペットフード事業は“ピュアボックスだけ”と組むことにした!」とスタッフに宣言。心がつながり魂が震えた瞬間を今でも忘れません。

そんなトキワ養鶏の状況が一変したのが2011.3.11でした。

東北の震災が起こってしまった金曜日。事態の把握ができず、平静を装いながら戸惑いを隠せないままでした。テレビが映す沿岸部の映像は凄惨なものだったのですが、被害がほとんどなかった岡山では想像が現実を超えることはなかったと思います。これからどうするのが正しいのか、ただただ整理できなかった状況。「月曜朝には会社としての行動をスタッフに伝える。指示を間違えてはならない。だから土日の2日間で可能な限り情報収集をし、正しい行動を熟考しよう。」そう決めました。その2日間を思いおこすと…

《仮説》
■東北にある取引先の状況は2つに分かれる。甚大な被害を受けた会社と被害は少ないが風評によるダメージを受ける会社。無傷な会社は一社もないだろう。
■被害規模は正確にわからないが、復興は数年単位で長期化する。
■消費の安全が脅かされるため、安心の担保が急務となる。
■被害を直接受けていないピュアボックスのような企業が社会的使命を全うすれば、経済は必ず回復できる
《考察》
■取引先への現状確認は先方事情に合わせる。追いかけず、細心の注意を払う。
■商流・物流が一時的に変わるが、何としても元に戻さなければならない
■先ず優先的に取引先に対してできることを整理し、要請を受ける準備
■諸外国がどのように介入するか注視しつつ(疾風に勁草を知る)、自分たちを含め、日本国全体が被災者である振る舞いはしない。
《方針》
日本全体の士気が落ちると復興の妨げになる。特に私たちが意気消沈するのではなく、取引先がいつでも再起の動き出しができるよう備えて待つ。
《行動》
風評に惑わされることなく、取引先とのビジネスを再開する意思を伝える。

先ずは東北の取引先に向け、行動することにしたのです。

迷いを吹き飛ばした組合長の言葉

2日間で精一杯考え抜き、気持ちは整い迷いはありません。特に風評被害によって仕入れが他府県に移るのではないかと不安を募らせる生産者や加工者にむけたビジネスの繋ぎなおしが急務と考え、状況が落ち着いていない初期段階から連絡をとり続けました。トキワ養鶏に「東北各所の状況が分りません。それでも電気・水道・ガソリンが復旧し、要請があれば青森に行きたい!」とだけ伝えると「迎える準備ができたら早めに来て欲しい」と返答があったのです。3月28日。震災から2週間ほどで青森に、私と開発担当者の2名で。

ただ正直なところ時期が早すぎて不謹慎なのではないかと葛藤がありました。現地に到着してすぐ、食事処でのこと。怒鳴りつけられるのを覚悟で「早く皆さんとのビジネスを再興したい」と率直に伝えると、組合長から意外な返答が。「今取引先から一番聞きたかった言葉です!!!」そう力強くおっしゃっていただけたのです。2週間温めてきた新商品《ドットわん豚ごはん》。グループ会社である岩手・薬師酪農※の母豚を主原料に共同開発することが決まりました。※薬師酪農は廃業のため、現ドットわん豚ごはんの主原料は高知の豚肉に変更しています。

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素晴らしい母豚との出会いに感動

内陸の高速を250キロ走らせて岩手山麓にある薬師酪農へ。そこにいる母豚は清潔なじゅうたん引きでヒーターの付いた豚舎にいました。暗がりの中でぼんやりと光が灯り、大変なことが何もなかったようにゆっくりと時間が過ぎる場所。岩手山の溶岩石をしたたる伏流水を飲み、特別配合の餌を十分に食べてストレスなく暮らす母豚の肉質は素晴らしいものでした。パッケージは東北復興への願いが全国に届くよう、精神的支えである岩手山・岩木山をモチーフにデザイン。4月に開発が始まり発売は9月。絶対にやり遂げる執着で、実に5ヶ月という駆け足での商品化が実現したのです。

高知_豚ごはん

東北とはご縁があり、その後も毎年欠かさず商談に行っています。一向に進まない復興事業を目の当たりにし、それでも生きる人々の強さを教わりもしました。“はや”なのか“もう”なのか。いつまでも心に刻まれて忘れない10年。東北が元の豊かさに戻ることを信じて、末永く協業できる仕事を作っていきたいと思います。

今年もまた訪れる、素晴らしい東北の春を待ちのぞみながら。

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■自然食ドッグフード「ドットわん」■
直販サイトはこちら
https://www.dotwan.jp/

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