なくしてしまった恋の話
18歳。
大人にもなりきれない、
でも、なにも知らない子供でもない。
そう思っていた頃。
彼に出会った。
一つ上の、よく笑う、口の大きな先輩。
SNSで繋がって、メールのやりとりをして
何度かデートして、彼からの告白。
よくある恋のはじまりみたいだった。目の前の彼にではなく、恋にときめいていた。
その頃、私は、別の誰かのことが好きだった。
長く付き合っている相手がいる人だから、叶わないと、諦めかけていた頃の、猛アタック。
「いま他の奴のこと気になってても、いつか俺のこと1番に好きにさせるから、付き合おう」
多少強引に言われた告白は、彼の性格を
よく表していた。
まっすぐ、嘘がない、誠実さ。
一緒に過ごした分だけ、私は彼のことを好きになった。
暑がりな彼と、浴衣を断念して普段着で行った花火大会
人混みが苦手な彼に合わせて、ベンチで沢山休んだテーマパーク
彼に「美味しい」って言ってもらいたくて、張り切って新しいレシピに挑戦して、見事に
失敗した手料理
すべてが初めてで、輝いていた。
大事に、大事に2人の時間をみがいていた。
いつまでも一緒にいられるなんて
根拠もないのに、本当に信じていた。
一途にずっと思っていた。
「他に好きな人ができた。別れよう。」
別れは、あっけないほどに突然で。
受け入れられなくて、信じられなくて
何度も何度も泣いた。
あんなに眠れない夜は、人生で初めてだった。
よく食べる私が、ご飯を食べられなくなったのも、初めてだった。
「貴方がいなきゃ、私はこんなにだめになるの」
そう言いたかった、傷ついたわたしを
見せたかったのかな。
「2番目の女でも良い」
そんなバカみたいなことも本気で思った。
演歌みたいで、笑ったけど、本気でこんなふうに思うんだと、新しい感情を知った。
本気で欲しかった、あの頃のわたしの彼はいまどこにいるのかな。
すべてが初めてだった、わたしの恋。
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