人権と道徳

道徳の主な批判についてはこちらをご覧ください。

https://note.mu/dotokuka/n/n1dba9a45eb9e

道徳批判の4つ目、人権を蔑ろにしているのではないかということについて書いてきます。

人権と道徳はとても似ていることをしています。それは、どちらも人そのものの生き方や考え方を扱っているからです。していることは本当によく似ているのですが、似て非なるものだといえます。

人権はマグナカルタ、権利の章典、人権宣言などの歴史的な流れから、国家の個人に対する過度な干渉を制限することを中心に置いてきています。また、人々の多様な生き方や考え方を認めていこうという方向で、人権は拡大しています。

例えば、奴隷制は世界各国で廃止されています。それは、人を物として扱っているため、人の尊厳を踏みにじるものだからです。

現代の日本の道徳の中にはいくつか人権という観点から批判を受けているものもあります。

・その日のご飯を買うのもやっとなのに、大舞台での活躍よりも、小さな子どもとの約束を取るべきか。(生命の危機的状況にあるにも関わらず、誠実さを取るべきなのか。)

・家族形態が多様化している中で、父、母、子、祖母、祖父が存在する家庭を前提とした家族愛について考えても良いのか。(その子にとっては残酷なことではないか。)

・愛国心を醸成することは戦争へとつながるのではないか。

確かに、というところもあるので、その点に関しては、よくよく考えないといけないところはあります。そのため、批判を受けるべきところはしっかりと受けるべきです。(批判の中には、それはこじつけでは?というのもあります。)

では、人権的価値観が道徳的価値観にとって代わることができるのかというとそうでもありません。むしろ、取って代わろうとすること自体が人権侵害です。同時に道徳的価値観も完璧な物ではありません。今現在のところは取り合えず善いとされていることでも、時代が変われば悪になることは大いにありえます。

だからこそ、人権と道徳のどっちが大切なのですかという問い自体がナンセンスです。どうしてもというのなら両方大切です。というのが私の考えです。


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