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早紀16

格好つけてドッシリと座ったマダラの頭にどうしても目がいく一同。早紀がマダラの小汚い頭を見て「自分の存在が恥ずかしくないの?まだらハゲで借金取り。スッポンの糞以下よ」スッポンの糞以下とは、とんでもない言葉のあやだ。

早紀が「勝ちましたけど」とだけ呟くとスマホを置いた。100ドルベットのはずが「あなたの勝ち$2000」結構な大勝ちだ。慌てふためいたのは一拍置いてからだった。早紀の背後からそっと近づいていた了が早紀のスマホを取り上げる。「喜べるわけねーだろ。バーカ」と言うとオンカジのホーム画面に一度戻った。早紀が激怒する。「返せーっ!ゴミクズー!」声が店中に響き渡った。店員、客全ての注目は世界の美女100人に選ばれてもおかしくない女の振り上げたフォークで、キラッと光ったそのフォークは了の肩に突き刺さったままだが、了の喉輪を受けた早紀はテーブルの上に仰向けに倒れ込んだ。店員の子が大丈夫ですか?と駆け寄ると了は血の出ている肩を気にする事もなくマダラと2人で早紀を取り押さえる。

「警察沙汰になると金を回収できなくなる」全員の脳裏にそれが浮かんだ。マダラが「俺の財布から20万出して店長に持って行け!」と言い早紀の左手首をマダラが決めながら店を出た。その間「助けてー!」と叫ばれる事なく、早紀はひたすら「てめーらブチ殺すぞー!」などと私達に暴言を浴びせていたのがせめてもの救いで、誰も警察に電話をしようとする事はなかった。マダラは早紀を取り押さえたままマダラの車の後部座席に乗り込み、早紀を挟んで了が乗り込む。詩月は助手席で私が運転する事にした。早紀の興奮はまだ止まらない。了が新品のタバコを一箱、早紀の口に無理矢理ぶち込んだ。何かウーウー言っていたが、苦しくなり始めたのか次第に大人しくなった。「どこに行く?」マダラに指示を仰ぐ。知り合いの店、行きつけの店に行くのは避けたい。後々早紀に何をされるか分からない。人目の無い所に路駐も返って警察の目にとまる。さて、どうしたらいいものか…。このまま流しながら事を進めるしかない。早紀のスマホは詩月に持たせる。

「オイ!姉ちゃん!俺はなにも姉ちゃんに金を残さないとは言ってない。大人しく10000ドルベットしてくれれば残りはもう文句言うつもりはないんだ」手堅く、残り8000ドル賭けてしまいたい。どうする…。スロット10ドルベットを800回。悪く無い…。バカラやBJでもいけることにはいけるがマダラはルーレットにした。ここのカジノはローリスクベットに煩くない。ベアビッグ法で10ドルずつ35/37で200回消化。ハズレてしまえば200ドルマーチンで赤に賭ければ問題ない。

全てソフトで消化した。15分もかかってない。簡単なお仕事だった。早紀に出金させる。パスワード入力が必要なカジノだった。「オイ、さっさと出金しろ。見ぐるみ剥がれてここで捨てられたいか?」了が凄む。「条件が一つ…」早紀が条件をつけてきた。口の中のタバコを抜いてやる。「残りの10000ドルを倍にして!」試みてもいいが今はキツイ。だが、今やらなければ今日中にベアビッグで賭けた分が出金されない。やるしかなかった。さて、そうなるとベアビッグとマーチンだけではどうにもならない。倍だ。手堅く倍…。私に名案があった。関東では人気だが、西では詐欺師と騒がれた土手っ腹ブー太郎というプレイヤーの9000円のネタ。あれを使う時が来た。やり方は頭に叩き込んである。了と運転を交代し、私が後部座席に移る。隣に座るだけで早紀のプレッシャーが強い。10ドルを初期ベットにする。100ドルでもいけるかと考えたが、これは負けを前提とした攻略法。ベットアップが必須で当たり前…。100ドル以下は10→20→50→100ドルとしそれ以降は200→400→800→1600→3200ドルと上がっていく。ただのマーチンではない。ここでは説明しきれない仕掛けのあるマーチンだ。単純なマーチンでないところに9000円の価値があった。時間はかかった。一度だけ3200ドルの大台に突っ込んだ事もあった。それでも順調に勝ち進み残り500ドルのところまで来た…。「あと一歩」から始まる地獄…。地獄の始まり…。

☆フィクションです。言っておくけど9000円のnote買ってくれって事じゃありません。まぁ、自信満々の攻略法だけど。現存する攻略法で1番強い自信あるけどー!!!

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