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#自然の郷ものがたり

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阿寒摩周国立公園に住む方々の声を集録したフリーペーパー「#自然の郷ものがたり」の記事を公開しています。
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記事一覧

【自然の郷ものがたり#17】風景を変えれば、意識も変わる。地域を変える「ひとりひとりの力」【聞き書き】

弟子屈町の発展の礎を築いた川湯温泉。 かつては年間50万人以上もの宿泊客が訪れ、大型ホテルが軒を連ねていましたが、今では廃屋のホテルも目立ちます。そんな川湯の温泉街を魅力ある場所にしたいと活動を続けている人たちがいます。 取り組みの中心となっているのが阿寒摩周国立公園川湯地域運営協会。これまで見向きもされなかった温泉が流れる川の清掃活動や遊歩道の整備によって川の姿が生まれ変わったのです。活動をけん引してきた地元出身の宮﨑健一さんはバーのマスター、金子高志さんは川湯温泉駅前

【自然の郷ものがたり#22】「いちいち感動する」大自然と「なんでもつくる」仲間との出会い【聞き書き】

カフェや雑貨店が点在し、行けばなにか発見できるようなワクワク感がある、弟子屈町・JR川湯温泉駅前。 骨董品店「温古知新」は「普段づかいの骨董」をモットーにした品ぞろえで町内外にファンを増やし続けて開業10年目を迎えます。店主の池上忠昭さんと典古さんに、かつての駅前のにぎわいと「移住組」の仲間やスーパーマンのような先輩たちとの出会い、川湯の大自然の魅力についてお話を伺いました。 ※この記事はドット道東が制作した環境省で発行する書籍「自然の郷ものがたり 3」に集録されている記事

【自然の郷ものがたり#21】観光汽船と共に歩んで60年 元船長がたどり着いた阿寒という故郷【聞き書き】

見る者に覆い被さるような迫力でせまってくる雄大な雄阿寒岳、特別天然記念物の大きなマリモが展示されているチュウルイ島、季節ごとに表情を変える多様な草花が彩る景勝地・滝口。阿寒湖には、船に乗らないと出会えない景色があります。 そうした出会いを提供し、訪れる人の目と心を楽しませてきたひとりが、阿寒観光汽船で船長を務めた神好美さんです。24歳のときに阿寒へと移住し、ゆっくりと、しかし絶えず変化してゆく町の様子を間近で見てきた神さんにとって、この60年はどんな時間だったのでしょうか。

【自然の郷ものがたり#20】この風景を後世に残すために【写真企画】

阿寒の風景をめぐる阿寒湖畔から、遠く雄阿寒岳を望む 野鳥がさえずる湖畔を歩くと、開けた空に雄阿寒岳の姿。 「ようこそ阿寒へ」と両手を広げるように裾野を伸ばしています。穏やかな波が打ち寄せる湖には、特別天然記念物のマリモが育ち、アメマスやニジマス、ワカサギなど多くの魚たちが釣り人たちを楽しませます。一刻一刻と表情を変える湖を眺めていると、時が流れるのも忘れてしまいます。 温泉街の営み、阿寒の文化が生まれる場所湯けむり香る温泉街を歩くと、あちらにもこちらにもお土産屋さん。カ

【自然の郷ものがたり#19】カメラマン松葉末吉の世界【写真企画】

昭和初期の川湯温泉で活動していたアマチュアカメラマン、松葉末吉。2005年に町内で発見された松葉の写真は、地域の歴史を物語る資料としても、芸術性においても、近年、再評価の声が高まっています。松葉はバス運転手の傍ら、日常の小さな幸福の瞬間にシャッターを切り続けてきました。未舗装の阿寒横断道路を走るボンネットバス。屈斜路湖畔で戯れる着物姿の観光客。硫黄山を背景に微笑む家族—。それらは単なる懐古を超え、揺るぎなく続く人間の営みを私たちに伝えてくれます。 高い技術を持ちながらも戦後

【自然の郷ものがたり#18】弟子屈の自然を体験するアウトドアの拠点へ【聞き書き】

弟子屈町には豊かな自然を体感できるアクティビティが豊富にあります。この地で自然や町の魅力を、自転車を通して感じてもらいたいと活動を続けているのが、Okku Outdoor Challenge代表の奥村利之さん。 摩周湖や屈斜路湖、硫黄山など弟子屈町を代表する観光地を巡るサイクリングイベント「グランフォンド摩周」には開催当初から事務局として携わってきました。前職である教育委員会在職中は青少年健全育成事業を担当し、弟子屈町の子どもたちに「生きる力、生きぬく力」を育成したいと「て

【自然の郷ものがたり#16】世代をこえて。灯し続ける、未来の明かり【聞き書き】

阿寒湖温泉の西側に位置し、民芸品などを扱う土産物店や飲食店が軒を連ねて並ぶ「幸運の森商店街」。2018年から商店街の役員のバトンが、親世代から子世代へと渡されました。 2021年には、商店街独自の取り組みとして「幸運の森Tシャツ展」、「バキ原画展」、「阿寒の森 間伐材アート展」などを企画し、新たな世代がつくる商店街の動きが加速しています。今回は、同世代の4人の店主に集まってもらい、切磋琢磨しながら一緒に次の手を打ち続けていく理由、それぞれの関係性について、思いを語っていただ

【自然の郷ものがたり#15】「ここの自然が好きだから」和洋菓子作りで川湯弟子屈を見つめる【聞き書き】

川湯温泉街で唯一の和洋菓子店「菓子司 風月堂」(2022年2月現在)。観光客だけではなく、住民の生活に「和洋菓子作り」を通して寄り添ってきました。時代とともに変化する川湯温泉街を定点から見続けてきた鈴木ご夫妻。 寂しくなった町の姿に「町を誇れるようになりたい」という思いが自然と湧き出したといいます。かつての川湯の風景や、10年ほど前から取り組みをはじめた地元の農産物を使ったお菓子づくり、そして町の未来についてお話を伺いました。 ※この記事はドット道東が制作した環境省で発行

【自然の郷ものがたり#14】自分が受け取った感動を次の世代に渡す。倒れて苗床になる樹のように【聞き書き】

短大を卒業後、札幌のホテルで働いていた佐藤圭子さんは、23歳のときに転勤で阿寒へやって来ました。もともとインドア派だったこともあり、自然に囲まれた阿寒の暮らしには楽しさを見出せずにいましたが、地元の人たちとの接点が増えていくにつれ自分の中で思わぬ変化が起きたといいます。 今では自他ともに認めるアウトドア派となった佐藤さんに、自然が好きになったきっかけや、知られざる温泉と環境との関係性、倒木から学んだ価値観などについて伺いました。 ※この記事はドット道東が制作した環境省で発

【自然の郷ものがたり#13】受け継がれる「一歩園精神」、阿寒「復元の森」づくりへの挑戦【聞き書き】

阿寒にはかつて、この美しい自然を愛し、人々の幸せな暮らしを願った1人の女性がいました。 「阿寒のハポ(アイヌ語で母) 」とも呼ばれた前田光子さんは、義父である前田正名さん、そして夫の前田正次さんの遺志を継ぎ「阿寒の自然を後世に残し続ける」という悲願を叶えるため、前田一歩園の財団化に尽力しました。その影には前田家の思いを具現化してきた人々の努力がありました。 阿寒湖を取り囲む3600haもの森林を「人の手が入る前の原生林」の状態に戻す「復元の森づくり」もその1つ。今回は前田

【自然の郷ものがたり#12】アイヌ文化は共有財産 伝統を守りつなぎ新たな表現へ【聞き書き】

道東を代表する観光地のひとつ、阿寒湖温泉。雄阿寒岳と雌阿寒岳に囲まれ、特別天然記念物マリモの群生地、そしてアイヌ文化が色濃く感じられる地として、訪れる人々を魅了し続けています。 阿寒湖アイヌコタンは、前田一歩園財団の3代目園主・前田光子氏がアイヌの暮らしを守るため、土地を無償で提供したことから始まり、全道各地から集まったアイヌが独特に文化を進化させてきました。そこで生まれ育ち、伝統を踏まえながらクリエイターとして常に新しい表現を模索してきた秋辺デボさんに、<触れ合う・つくる

【自然の郷ものがたり#11】親から子へと受け継がれた、 自由な意志と確かな地域愛【聞き書き】

屈斜路湖畔に佇む、可愛らしい三角屋根が特徴的な「SOMOKUYA」。ここは小樽市出身の土田祐也さんと埼玉県出身の春恵さんご夫婦が経営していているアウトドアガイドと雑貨販売のお店です。 二人がこの町にやってきたのは、今から約20年前のことでした。ガイドとして独立した祐也さんの仕事を春恵さんが手伝うことになり、それをきっかけに結婚。2009年に「SOMOKUYA」を立ち上げ、今では高校2年生になる渉介さんと、中学3年生の英恵さんの家族4人で暮らしています。 移住者として弟子屈

『自然の郷ものがたり〜阿寒摩周国立公園の暮らし〜』第二弾を制作しました

みなさん、こんにちは!ドット道東です。 ドット道東は、前年度に引き続き環境省からの委託を受け、阿寒摩周国立公園周辺地域のブランド意識向上を目的としたプロジェクト「自然の郷ものがたり〜阿寒摩周国立公園の暮らしプロジェクト〜」をおこなっています。 世代・業種を問わずあらゆるレイヤーの方から「国立公園の近くで住むことの豊かさ」について取材・集録した1冊は、地域内外の方から反響をいただき、2021年度に第二弾を発行するに至り、第二弾の制作も弊社で行うことになりました。 第一弾同

【自然の郷ものがたり#10】自然と共生する阿寒湖アイヌコタン。伝統を楽しむ、アイヌの案内人【聞き書き】

世界から高い評価を受けている阿寒湖アイヌコタンの木彫り作品。「風と光を彫った彫刻家」として知られる瀧口政満を父に持つ瀧口健吾さんは、自身も木彫り作家として、アイヌの精神を受け継いでいます。 亡き父より「イチンゲの店」を引き継ぎ、伝統を大切にしながらも、アイヌ文化の案内人として新しい取り組みをはじめたお話をお聞きしました。 ※この記事はドット道東が制作した環境省で発行する書籍「#自然の郷ものがたり」に集録されている記事をWEB用に転載しているものです。 カムイノミとの出合